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認知症と、人との関わりの大切さ

三上隆

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テーマ:認知症

支援ではない方との関わり

 認知症は、その症状や進み具合等について個人差が大きいことは、知られているところかと思います。
 特に、認知症でも初期の方であれば、日常生活をこれまでと変わらずに送る為に、周りの方々との関わりがどの程度あるのか、ということが重要な部分となります。

 ‟認知症の方との関わり”と言いますと、ご家族や介護職、後見人となる方などに任せきり、という様な話も見聞き致しますが、ご本人にとっては、家族や専門職による日常的な「支援」だけではなく、お知り合いやお友達といった、支援ではない方との関わりも大切なのではないでしょうか。
 

コミュニケーションによって起こる変化

 私がお付き合いをさせていただいている一人暮らしの方の中にも、認知症の方はおられます。
 
 ある日お会いした折、一目で表情や感情の変化などが乏しい様に感じられ、あまりお元気がなさそうな時がありました。
 こちらの問い掛けにも、案の定「あまり調子がよくない。」と仰っていましたが、他愛のないお話をするうちに、徐々に表情やお声の調子が甦られたという経験をしたことがあります。

 またある日には、「髪が伸びた」と仰るので、予約なしで美容室にお連れしてカットをしてもらったことがありました。
 普段はバスに乗って、何とかご自身で美容室に行っておられたのですが、最近は足が痛い日が増えたこともあり、少し遠のいていた様です。
   
 運良く待たずにカットしてもらえたこともあり、とても喜んでおられたのですが、後日、その方のお友達から、「美容室へ連れて行ってもらったって、電話で嬉しそうに教えてくれたよ。」という話をお伺い致しました。
 その方とお友達が、楽しそうにお話しされる様子を拝見したことがありましたので、それを思い浮かべて、その時私も少しうれしい気持ちになりました。

「孤立」をしなければ

 「人とのコミュニケーションが、体調や感情に少なからず影響を及ぼす」ということは、認知症の方に限ったことではないかもしれませんが、その世界が狭くなりがちな認知症の方にとっては、そのつながりはとても大きいものに思われますし、65歳以上の人口割合が21%を超える超高齢社会の日本では、高齢の方の一人暮らしが増えることは避けられません。

 ただ、一人で暮らす「独居」であっても、周りの方々との関わりがあり、「孤立」をしていなければ、認知症になりにくかったり、その進行が穏やかになったりするのではないか、と感じられます。
 決して簡単なことではありませんが、少なくとも‟特定の誰かだけが関わる”という状態ではいけないことは確かだと思われます。
 

知って、理解をしてもらい、つながりを続ける

 ある日、少しの行き違いから「言った」「言わない」、「なぜ、そんなことを言うの?」など、ちょっとした言い争いになった時に、当事者であるお友達が「認知症のことは知っているつもりだけど、どこまで影響しているの?」と、質問をされたことがあります。

 日常生活の様々な言動において、‟認知症がどの程度影響を及ぼしているか”ということについて、それを明確に線引きすることは難しいと思われます。
 影響していると考えられる様なことでも、その有無や程度には、日々違うこともある旨をお伝えし、「もし今はそうでなくても、今後は影響が出てくるかもしれません。」と付け加えて、私にも正解は分かりませんが、少しでも現状を知って一緒に考えていただき、ご本人とのつながりをこれまで通り続けて下さる様、お願いを致しました。
 
 以前は、同じ様なことを続けて何度か言われる様なことがありますと、「少し変なのでは」と仰っていたお友達も、笑って受け止めたり、訂正したりしておられる様です。
 それを伺った時、お二人が話をされる姿を想像しながら、「知って、理解をしてくれる」方々の存在は、ご本人の平穏な生活につながるということを、改めて感じることが出来ました。

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三上隆
専門家

三上隆(行政書士)

相続まちの相談室/行政書士 三上隆事務所

「人との関わり」や「お話を伺うこと」を大切にしておりますので、終活のお悩みや身寄りのない方の今後のご不安、相続の話し合いの部分に至るまで、‟人”と関わる部分を最後までお手伝い致します。 

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