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コラム

将来の本人保護の契約について~見守り契約、任意後見契約~

2021年8月20日 公開 / 2022年6月9日更新

テーマ:終活

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 任意後見終活 いつから

 先日、木津川市地域包括支援センター・木津西でのケア会議に参加させていただきまして、その中で「死後事務委任契約」についてお話させていただく機会がありました。
 
 死後事務委任契約は、あまりなじみのない言葉かもしれませんが、ご自身が亡くなってしまった後の葬儀や法要、様々な手続きなどを、予めご自身が信頼できる方にお任せするという契約で、私の所属するNPO法人・京都府成年後見支援センターでも、そのお手伝いを行っております。
 ⇒死後事務委任契約について(以前のコラムです)

※死後事務委任契約・NPO法人のパンフレット
死後事務委任契約パンフレット①
死後事務委任契約パンフレット②
 こちらは「亡くなった後に関すること」を契約するのですが、一方で、「認知症になってしまったら」「そうなる前に備えられることは」というご心配をお持ちの方も多くおられます。
 特に、子供や頼れる親族などがおられない方、またはおられても遠方にお住まいだったり、理由があって疎遠になっている、という方にとっては、いずれ訪れるであろう切実な問題です。
 

本人保護の為の契約について

 本人保護の為の契約や制度にどの様な種類があるのか、時間の経過と共に表したものが下図となります。


 将来の備えとしてよく知られているのは、「遺言」だと思われますが、遺言はご自身が亡くなった後、財産の引継ぎをどの様にするかということが大きな目的となりますので、認知症に対する本人保護という観点からは少し異なる部分にあります。

 また、認知症の影響により、ご自身だけでは日常生活(お金の管理や買い物、書面を要する手続きなど)を行うことが困難になった場合、「後見人」呼ばれる方の助けを借りることで、日常生活のサポートを受けるという、本人保護の制度もあります。

 後見人と言いますと、「法定後見制度」が一般的に知られているところですが、この制度は、本人の判断能力が低下してから後見人を選ぶ、という制度となっておりますので、家庭裁判所が後見人を決定する為、本人は選べないという特徴があります。
 この為、「今はまだ大きな不安を感じていないけど、将来の為の備えをしたい」という思いには、応えづらい側面もあります。

 一般的には、将来に関する問題意識を持たれている方は、その様なお考えの方が多くおられますので、“後見制度を検討する前の段階”でのサポートが必要になってきます。

認知症ではないけれど、生活面で少し不安がある

 例えば、認知症ではないお一人暮らしの方が、年齢を重ねるごとに「日常生活を一人で行うことが、少し不安」と感じられることがある場合、後見人ではなく「見守り」という契約で、定期的に訪問などを受けることにより、困っておられる内容に沿ったサポートをその時にだけ受ける、ということも可能です。

 こちらには、日常生活のサポートの他、病院や施設などへの「身元引受人」という項目を加える場合もあります。
 身元引受人は、手術や医療行為の同意は出来ないものの、万一の場合の緊急連絡先としてもらうことも可能です。

 また、見守り契約を結ばれている方は、当初はご自身で金銭的な管理をされるという場合がほとんどですが、年齢を重ねることにより、見守り契約+「財産管理」などを加えた委任契約に移行される場合もあります。

万一の場合の後見人を、先にご自身で決められる「任意後見契約」

 認知症は、最初のうちは明らかな症状として判ることも少なく、少しずつ症状が顕在化してくることが一般的です。
 この為、特にお一人で暮らしておられる方の場合、周りの方が認知症だと気が付いた時には、契約行為などを行うことが難しくなっていることが多いと思われます。

 先に、法定後見制度について少し触れましたが、「任意後見契約」とは、将来認知症などで日常生活に支障が出てきた時に備えて、ご自身が「将来の後見人をお任せしたい」と思う方との間で、後見契約を結ぶという制度です。

 また、任意後見契約は、その契約を結んだらすぐに後見人として活動する訳ではなく、将来本人の判断能力が低下して、それを本人や関係者が家庭裁判所に申立をした時に、初めて正式な後見人として選任され、実際に後見事務を行うことになります。
 この為、実際に後見人として活動するまでは、いわば“将来の後見人を予約している状態”となりますので、定期的な費用等を支払う必要もありません。

 また、任意後見契約は「公正証書」で行うことが定められているものの、後見人としてどの様なことをお願いするのか、お互いの合意によって契約内容を決められますので、自由度あるのも特徴です。
 後見人になることが出来る方は、専門家でなくてもよく、親族や第三者、法人や複数人でも構いません。
 
 ただ、任意後見人となった方は、家庭裁判所が併せて選任する「任意後見監督人(任意後見人が後見事務を適切に行っているか、監督する立場の方」に対して、本人に行った後見事務について報告義務を負いますので、誰でもいいという訳にはいかないと思われます。
  

契約は十分な判断能力があるうちに

 色々な制度や契約の利用について、いつのタイミングで行うことが適切なのか、正解というものはありませんが、見守り契約や任意後見契約などは、相手のある契約ですので、認知症などで判断能力が低下してしまいますと、行うことが出来ません。

 将来のことについて、今のうちに出来ることを考えるということは、ご自身の為だけではなく、親族や周りにおられる方も困らない様にすることに繋がっていきます。

 まずは、ご自身やご家族のことに想いを巡らせてみることが、いわゆる“終活”にとって、大切なお時間となるのではないでしょうか。

この記事を書いたプロ

三上隆

“これから”を考えた相続や終活のご提案をするプロ

三上隆(相続まちの相談室/行政書士 三上隆事務所)

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