福祉施設への入所について考える
先日、みずほ銀行に続いて、三井住友銀行も新規開設口座における紙媒体の通帳発行について、有料化することを発表致しました。
どちらの銀行も、新規で口座開設する際の発行を(三井住友銀行はネットバンキング未使用者の口座自体も)有料化するとしており、既に口座を持っている方の繰り越しなどの場合は有料化の対象としておりませんが、通帳発行の経費負担を抑えたいという思いだけではなく、“接触や対面機会を可能な限り減らす”という、コロナ禍での「新しい生活様式」に対応する為の取り組みも求められておりますので、オンラインでの取引(ネット口座)を促していく流れはこれからもすすんでいくものと思われます。
また、現在の発表では高齢の方を有料化の対象外としておりますが、有料化が認知・浸透していくにつれて、これらの除外項目は無くなっていくでしょうし、是非は別として「紙媒体の通帳発行が有料なのは当たり前」という時代は、それ程遠い未来ではないのかもしれません。
そして、金融機関との取引がオンライン上に移っていくにつれて、将来的にその方が亡くなった時、「どの金融機関の口座を持っていたか」という確認が難しくなる事態が考えられます。
これが、“デジタル遺産”の問題のひとつです。
デジタル遺産の問題とは
デジタル遺産とは、銀行や証券、仮想通貨といった金融資産・商品だけではなく、買い物や通販、ポイントやマイル、自身の所有するインターネットのWEBページ、SNS、メールに関するものも含まれると言われております。
こうしてみますと、誰でも少なからず当てはまるものがあるかと思いますが、遺族がその詳細を事前に知っているケースは少ないと考えられ、各種定額サービスの月額費用や年会費などが後から請求されて、初めてその存在が判明する様な場合もあります。
また、それらの多くはスマホを通じてやり取りされることが多い、ということに注意が必要です。
少なくとも、どの様な取引や契約をしていたかさえ分かれば、IDやパスワードを変更して解約などの手続きが可能な場合もありますが、スマホ自体を起動するパスワードが解らなければ、それを確認・変更することがとても困難になるからです。
デジタル遺産への対策
実際の相続におきまして、デジタル遺産の問題が話し合われるケースはまだ少ないかと思われますが、その存在を調査・確認することは大変な労力を伴います。
何とかその存在を確認することが出来れば、対応を検討することは可能かもしれませんが、ペーパレス化がすすみますと、取引に関する契約書や定期配布物などはなく、オンライン上のみでやり取りする、ということも珍しくありません。
ご本人は、自分にどの様なデジタル遺産があり、その内容やパスワードなどはどうなっているのか、という記録を別の紙媒体(エンディングノートや遺言の付言事項など)に記しておくことが有効となりますし、事前に取引を整理、統合しておくこともご家族の負担を軽減することにつながります。
ご家族の方では、紙媒体は無くてもメールなどで定期的な報告や連絡が届く、ということもありますので、亡くならた方のスマホをしばらく解約せずにおいておく、ということが考えられるかと思います。
ただ、デジタル遺産についての問題が一般化するのは、まだもう少し先と考えられている為か、具体的な法整備は遅れております。
この為、相続人が引き継ぎたいと希望したデジタル遺産(ポイントやWEBサイトなど)は、亡くなった方の一身専属的な契約とされるものもあり、これらが今後どの様になっていくのか、注目されるところです。