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半血兄弟姉妹の相続について

三上隆

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テーマ:相続 半血兄弟姉妹

 皆様は、”半血兄弟姉妹”という言葉を聞かれたことがあるでしょうか。

 亡くなられた方(被相続人)に子供がおらず、両親・祖父母もすでに亡くなっている場合には、その方の兄弟姉妹が相続人となりますが、その兄弟姉妹の中で、亡くなった方と父母のどちらか一方が違う方のことをさす言葉で、いわゆる異父兄弟姉妹または異母兄弟姉妹という事になります。

 民法は、第900条で「法定相続」の割合を定めていますが、その第4項の中で「~父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする」としておりまして、兄弟姉妹で相続分に差が出る事を規定しています。

 こちらに関しましては、平成25年9月の最高裁判決において、摘出でない子の法定相続分を半分としていた民法の規定を違憲とした判決と少し似ていますが、こちらは亡くなった方が親で、相続人が子の場合において、その子供によって相続分に区別がある事が憲法違反、ということになった判例です。
 
 親の相続において、子供の相続権は平等となりましたので、それと誤解されるケースもある様ですが、半血兄弟姉妹の方の相続分は2分の1のままとなっております。

うっかり見落としをされる事も

 ご存知の通り、相続人となる方が兄弟姉妹の相続の場合、戸籍を取得する際には、亡くなられた方だけではなく、その両親の出生までも遡って戸籍を取得する必要があります。
 
 これは、相続人となる兄弟姉妹が何名おられるのか、という事を確認する為に必要とされているのですが、再婚などで新しく戸籍を編成された場合はわかりやすいのですが、兄弟姉妹の中で養子になられた方がおられた場合、その時期によっては、亡くなられた方の両親が出生した時の戸籍の末尾に記載されている、という場合があります。

 現在の戸籍は、戸籍法によりまして、「市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編成する」と定められております。
 この為、夫婦とその子供以外の方が同じ戸籍に記載されることはありません。

 ただ、改製原戸籍と呼ばれるかつての戸籍には、家を単位として戸籍が編成されておりましたので、「戸主」という名称で、その家の筆頭者を表記しており、筆頭者の親族も同じ戸籍に記載されていました。

 例えば、戸主の弟が婚姻した場合、分家などをしない間は弟もその妻も、戸主の戸籍に記載されますし、弟夫婦に子供が出生した場合も、戸主からみた続柄として、甥や姪という表記で記載される事になります。

 そんな時代におきまして、戸主の子供が女性で、子供を出産して婚姻をしていない場合、その子供は戸主の孫として、戸主の戸籍に母(戸主の子供で記載)と共に記載されます。
 その後、母親である戸主の子供が婚姻する前に、生まれた子供が他家の養子になった場合、その子供は養子先の戸籍に記載されて、元の戸籍からは除籍される事になります。

 その養子になられた方が、異父兄弟姉妹として相続人の立場にあるかどうか、ということは、その方が戸籍に初めて記載された改製原戸籍を確認してわかるのですが、その方が戸主の孫として記載されていた場合には、戸籍の末尾の方に記載されていますので、見落とされる可能性もあります。

 実際に、相続人ご本人もそのような方がいることは知らなかった為、戸籍に記載してある事に気づいておられず、更に一部の金融機関でもそれを見落としてしまい、その相続人の方に預貯金を解約してしまった為、問題になった事もありあます。
 
 私も以前に、半血兄弟姉妹の方が相続人におられた相続のお手伝いを、させていただいたいた事があります。
 戸籍を読む際には、ひとつひとつ文字を確認しながら、順番に辿っていくのですが、先入観をもって戸籍を確認してしまうと、確かに見落としてしまってもおかしくないと感じました。
 
 ただ、その相続のお手伝いにおきましては、それぞれの方が、自分に兄弟姉妹がいることを初めて知られるきっかけとなり、その後対面を果たされるまでをお手伝いさせていただくことが出来ましたので、私にとっても、貴重な体験として記憶に残る相続となりました。

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三上隆
専門家

三上隆(行政書士)

相続まちの相談室/行政書士 三上隆事務所

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