僕は山を買わない
人はなぜキャンプをするのだろう。
トラベルジャーナルによると、第1次キャンプブームが訪れたのは
1980年代から1990年代半ばにかけてだったらしい。
1994年から1998年までは、オートキャンプ参加人口(1年に1泊以上オートキャンプを行った人口)が
年間1300万人を超えており、1996年には1580万人でピークだったようだ。
バブルが崩壊したのが1990年代前半
1996年といえば、僕は大学浪人の冬の時代、京大アメフト部が最後に大学日本一になった年でもある。
そのオートキャンプ人口も減少していき、日本オートキャンプ協会によると
2008年にはピーク時の半分以下の705万人にまで減ったが
また2013年からは増加していき、2019年には860万人にまで増えたようだ。
リーマンショックが起きたのが2008年、僕が弁護士登録をした年でもある。
我々の業界的には、「過払いバブル」と呼ばれる、違法金利を取っていたサラ金・ヤミ金から違法金利の返還を求める業務が一過的に増えた時期でもあった。
ちなみに、ラジオを聴いていると、未だに過払い金の回収の広告を流している法律事務所があるが
広告を流す費用対効果があるのか、甚だ疑問なほど、今では過払い金の相談など全くなくなった。
話を元に戻すと、コロナパンデミックの前からオートキャンプ人口は増加していっていたわけだから
コロナの影響で、密にならない外遊びに人が集中した、という構造ではないことが分かる。
まあそういう考えで始めた人もいるのであろうが。
さて、僕がオートキャンプを始めたのは2012年であった。
偶然にも、先に述べた、オートキャンプ人口が増えていった時期とほぼ一致している。
僕がオートキャンプを始めた理由は、以下のようなものである。
元来旅行好きで色々なところへ旅行しており、2011年に愛犬うにを飼い、しばらくはペット可のホテルに泊まっていた。
しかし次第に、ホスピタリティやご飯のグレードと料金とのバランスに満足がいかないようになっていった。
そんなとき、「GO OUT」というオシャレキャンパーの特集をしている雑誌を目にし
キャンプ場なら全国にあって色々なところに行けるし、わんこ連れOKのところも多そうやし、料理も土地の物を買って好きに料理したらええし
料金もホテルに泊まるより断然安くあがる。
よし、オートキャンプをしよう!!
というものであった。
こうやってまとめると、何だかアホみたいであるが、ほぼ事実である。
だから、「自然に触れたい!」とか、「自然と一体になりたい!」とか、「外で食べるご飯が美味しそう!」とか「やっぱ焚き火だよね!」とか何とか、そんな考えでオートキャンプを始めたわけではなかった。
僕の周りでも、オートキャンプを始めた人をたくさん見ているが
その理由は完全に一致しているものではないのであろうと思う。
子ども連れで始める人は、子どもに自然に触れさせるためであったり、子どもがやりたいと言ったから
などが主たる理由になることが多いであろう。
しかし、子どものためとはいえ、親も満足できる要素がなければ、貴重な休日を割き、車を運転していき
汗だくになってテントやタープを張り、料理も自分で作って洗い物もし、また汗だくになって撤収する
ということを繰り返しやろうとは思わないだろう。
では、人はなぜキャンプをするのだろうか。
僕の仮説はこうだ。
「生きている実感が得られるから、得たいから」
ではないだろうか。
こんなこと、どこかで誰かが言っているのかもしれないし、別の分析をしている人もいるのかもしれない。
しかし、僕の経験から導いた結論はそうなのだ。
都会で、快適な科学技術の結晶にまみれ、自分の力で生きているのか、道具に生かされているのかよく分からない
そんな中、バブルは崩壊し、リーマンショックが起こり、今目の前にある快適な生活なんて、いつなくなるのか分からない
その状況を突きつけられ、「生かされている」のではなく、自分で「生きている」実感を得たい
そうして人は、キャンプに向かっていくのではないのだろうか。
前の記事でサーフィンを始めたことに触れたが
サーフィンをした後、まったく波に乗れなかったくせに、僕はやけに爽快だった。
自然にもみくちゃにされ、でも何だか「生きてるわ!」という感覚が溢れてきて
それから数日は、やたらとお腹が空いて、ご飯が普段にも増して美味かった。
キャンプも同じなんではないかと思う。
いつもとは違う原始的な生活を送ることで、生きている実感が得られる、地に足が着いた感じがする。
そうして人は、キャンプをするのではないだろうか。
「どんなに恐ろしい武器を持っても、たくさんの可愛そうなロボットを操っても、土から離れては生きられないのよ」
天空の城ラピュタでシータが言った、まさにその通りなんだと思う。
そんな今週末はキャンプである。僕もまた、生きている実感を求めているのだ。
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弁護士西村友彦(にしむらともひこ)
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