今不可能なことが、ずっと不可能とは限らない
以前書かせてもらったが、「キャンプのあやしいルール 真相解明」という書籍に
専門家の一人として、コメントを載せていただいた。
「キャンプというレジャーに、法律が関係することなんてあんのかいな」
と思われるかもしれないが、意外にも、関係する場面は色々とある。
今回は、その中で、キャンプ場を開設する際の法律との関わりについて書いてみたい。
キャンプのための特別な法律はない
まず前提として、キャンプ場経営についての業法は存在しない。
業法とは、例えば、保険業法、美容師法、旅館業法などのように
特定の業種について規律している法律である。
したがって、キャンプ場を開設することそのものについて
特別な資格や許可、届出等は必要ではない。
誰でも、キャンプ場を開設し、経営することが可能である。
現実にも、キャンプ場を経営してみたいと考える方は相当数いるようで
セミナーのようなものも開催されているようだ。
キャンプ場にする土地に対する規制はあり得る
キャンプ場を開設、経営することそのものに
特別な手続き等は不要だが、どこにでもキャンプ場を自由に作れるわけではない。
例えば、キャンプ場にしようとした土地が
農地であれば、農地法に基づく農地転用許可等が
森林であれば、森林法に基づく林地開発許可が
都市計画法の規制が及んでいれば、開発許可が
必要な場合がある。
農地の場合は、農地以外の用途に用いることが禁じられているため
農地ではなくしたうえで(転用)、キャンプ場として利用することになる。
林地開発許可、開発許可は、「開発行為」をする場合に必要となるため
当該土地をキャンプ場にするために「開発行為」が必要な場合に
都道府県から許可を受ける必要が生じる。
その他にも、河川法や自然公園法が関わってくることもある。
設置する設備によって必要な許可や関係する法律がある
また、キャンプ場経営を規制する法律がない関係で
キャンプ場に必ず設置しなければならない施設というものもない。
しかし、通常、管理棟やトイレといった建物は建築するはずだから
その建築については、建築基準法を遵守する必要がある。
そこから進んで、キャビン、バンガロー、トレーラーハウス、常設キャンピングカー
などの宿泊可能な設備を備える場合には、旅館業法上の簡易宿所営業の許可を
取る必要がある。
(これについては、常設テントも対象となるという説もあるようだ。)
簡易宿所については、消防法を守る必要もある。
更に、キャンプ場内に風呂の設備を設ける場合に
簡易宿所の許可がないときには、公衆浴場法の許可が必要である。
このお風呂を温泉にする場合には、温泉法も関わってくる。
他にも
BBQ用の食材を販売する場合には、食品衛生法の許可
酒類を販売する場合には、酒税法の許可も必要となる。
最後に
単にキャンプ場を開設した、というだけでは、収益が見込めないであろうから
魅力あるキャンプ場にしようして、施設や設備、サービスを充実させていけばいくほど
関係する法律が増えていき、たくさんの許可等を取る必要がある
ということになる。
快適生活研究家の田中ケンさんが
群馬の山奥に「outside Base」というキャンプ場を作って
のんびりアウトドアを楽しんでおられる(ようにみえる)のは
キャンパーの憧れではないだろうか。
キャンプ場を作ろう、とお考えの方と一緒に
キャンパー兼法律家として、魅力あるキャンプ場開設のお手伝いができれば嬉しいと思う。
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弁護士西村友彦(にしむらともひこ)
夷川通り法律事務所
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