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WEB相談を契機に、改めて対面相談について思う

2020年12月4日 公開 / 2021年11月16日更新

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 働き方改革

コロナ禍によりWEB会議を導入した企業や事業主も多いと思う。

WEB会議の何がよいかというと、最たるものは“時間の尊重”ではないだろうか。

会議への参加は自身のデスクで、あるいは、自宅からでも可能となり、移動時間が省かれる。合理性が強調されるため、必須の人員のみの参加となる(のが望ましい)。時間が限定されるという意識が強くなるため、より論点を絞って、整理して相手に伝えようとする。無駄を省く、時間を大切にする、という考えが徹底されやすくなるように思う。

このように多人数が遠隔で顔を見ながら即時交信できるなんて、携帯電話すら普及しておらず、ポケベルやピッチなどがようやく出始めたころに学生時代を過ごした身としては、隔世の感がある。


移動が大幅に制限されるなか、対面相談のみとするのはクライアントが求めるものを満たさないと思い、私も今回初めて、WEB相談を実施した。やってみると、「なかなか使える」と思った。

だが、「なかなか使える」ものの、やはり物足りなさを感じずにはいられなかった。
クライアントが伝えたいことを受け取れているのか、不安を感じる瞬間があるのである。また、自分が伝えたいことも、ちゃんと伝わっているのだろうかと脳裏をよぎることがあるのである。

これは、弁護士の仕事、とりわけ法律相談としては致命的である。弁護士側がそう思うということは、クライアント側も同じように感じている可能性が高いということで、それでは信頼関係を築きにくいであろう。
弁護士とクライアントとの関係は、信頼関係で成り立っている。クライアントに信頼していただくこと、弁護士もクライアントを信頼することで、初めて、お互いが納得できる解決に向かっていけるのである。

WEB会議、WEB相談は先に述べたように、合理性はある。
信頼関係が醸成された後に利用する分には、“時間の尊重”というメリットが前面に出ることもあるだろう。

だが、弁護士が、憤り、悲しさ、やるせなさなどを含めた、クライアントが体験した“生の事実”に迫ることが必要なとき、“リモート”していることは、文字通り弁護士とクライアントとの間の距離を生むのではなかろうか。距離は、クライアントの感情を閉じ込め、“生の事実”に迫ることを妨げてしまうように思う。
私は、弁護士がクライアントの体験した“生の事実”に迫れたときに初めて、その事件は、あるべき解決の場所に辿り着けるのだと考えている。

時代の流れとして、WEB相談の利用を避けて通ることはできなさそうである。
しかし、これが弁護士の対面相談を不要とすることはないだろう。弁護士とクライアントの間の信頼関係を築きあげていき、事件をあるべき解決場所に誘うためには、やはり原則は、対面相談を行うことが必要だ。

そして何より、私は、直接会って、顔を合わせて、お話を伺いたいと改めて強く思う。そこで初めて人と人とが繋がり、一緒にスタートできると思うのだ。


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弁護士西村友彦(にしむらともひこ)

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