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国語学習のショートカット

久保克己

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テーマ:得点力アップ

オレンジを目指せ!

こんにちは!暑い日が続いていますがお元気でお過ごしですか。

8月に入り新型コロナウイルスの感染者が増加の一途をたどっていますね。行動制限がないぶん自己管理が求められるのは、子どもたちにとってもしんどいでしょうね。

前回英語の学習法について考えてみました。親御さんや学生さん、教壇に立たれている方々から多くの反響を頂きました。英語力向上のカギは“音読”という大変シンプルな手法であることに驚嘆と共感のお声を頂きました。

さて、今回は同じく言語系の科目【国語】について考えてみます。
ここでの“国語力”とは「国語の読解問題で高得点を取る力」という狭い意味です

国語は得意・不得意のイメージが大きく分かれる科目です。国語の得意・不得意はテストの点数等客観的な指標よりも本人や親御さんの“イメージ”で語られることが多いです。国語が苦手だと思っている多くの生徒は異口同音に「小さいころからあまり本を読んでいなかったから…文章を読むのが遅くて書いてあることも頭に入ってこない」と言います。

果たして国語力は読書量に関係するのでしょうか。「これまで何冊本を読んだのか」で国語の点数が決まってしまうのでしょうか。

その答は“YES”であり“NO”でもあります。

確かに、幼少時より読書量が多いお子さんは言葉の意味や漢字等“文章を読むための知識”は身についていることは否めません。外国語でも母国語でも言葉(単語)の意味が分からなければ、文や文章の意味を理解するのは極めて困難です。言語知識の習得は国語学習のいわば「一丁目一番地」です。そういった意味で、読書が習慣化しているお子さんは大きなアドバンテージを得ていると言えるでしょう。学習塾が読解指導の前提を作るため、特に非受験学年(中学受験…小4・5、高校受験…中1・2)で漢字や言葉の意味を徹底的にインプットするのはそのためです。

では、知識をある程度身につければ読解力は向上するのでしょうか。

これは必ずしも“YES”とは言えません。
いやむしろ“NO”と言った方が良いかもしれません。

国語のテストで知識問題はそこそこ正解できるのに、読解問題になると点数が取れない生徒さんが多数おられます。

知識があるのになぜ文章が読めないのでしょうか。

それは冒頭申し上げた「国語という科目をイメージで捉えている」からです。
「なんとなく」文章を読んでいる(見ている)と言った方が良いかも知れません。

もっとストレートに言うと文章が「読めない」のではなく「読んでいない(見ていない)」から点数が取れないのです。

私はかつて中学受験のクラスで小学6年生に国語を指導していました。問題演習の解説時に生徒が出した解答に対して「なぜその答えにしたの?」と問いかけると返ってくる答の大半は「なんとなく…」でした。この「なんとなく」というセリフこそが国語を感覚的に捉えている証です。私は「正解かどうかはどうでも良い。自分がなぜその答にしたかを説明できるようにしなさい。不正解でも良いから」と指導しました。生徒の答が正解でもその根拠を説明できなければ不可とする指導を長年おこなってきました。

国語で陥りがちなのは「正解できたから理解できている」という思い込みです。これは生徒だけではく、指導者も陥りがちな恐ろしいトラップです。

国語に限らず問題解説で重要なのは、生徒が導き出した表面的な解答ではなく、そこに至ったプロセス(思考)を踏まえることです。生徒さんの立場で言えば、【解答の根拠を明らかにしたうえで授業を受ければ、効果は最大限期待できる】ということでしょうか。

解答の根拠を明確にすることを日々意識し、読解問題に当たれば国語の成績は向上します。

しかし、この「意識する」というのが難しいんですね。意識は目に見えませんから。

私も現役時代生徒の解答のプロセスを簡単に把握する方法を模索しました。そしてあることを試してみました。以下にそのやり方を記します。

①生徒に蛍光マーカー(黄色・ピンク色)を用意させる
②国語の読解問題を解く際に解答の根拠だと思った本文に黄色のマーカーを引かせ、
そこに問題番号を付記させる
③問題解説時に先生が提示した根拠文にピンク色のマーカーを引かせ問題番号を付記させる


たったこれだけです。これにより【生徒が考えた根拠(仮説)】と【指導者が提示する正解の根拠】が一目瞭然になります。

そして… ここからが最大のポイントです。生徒が考えた根拠文(黄色マーカー)と先生が提示した根拠文(ピンク色マーカー)が一致する(黄色とピンク色が重なる)とマーカーの色は…オレンジ色になります。つまり生徒の仮説が正しければオレンジ色となって具現化するというわけです。

成果が出なければすぐに止めようと思っていたのですが…。

1か月程で成果(オレンジ色)が現れ始め、3か月程で生徒のマーカーがほとんどオレンジ色になりました。

肝心な生徒の成績はというと…

オレンジ色の割合と比例するように生徒の成績が上がり始めました。全てのラインがオレンジ色になった生徒の偏差値が45→70になったこともありました。

このやり方のもうひとつのメリットは、自分の生徒が特訓授業等他の指導者の授業を受けた際にも汎用でき、生徒の教材のマーカーの色を見れば「どんな問題にどう仮説を立てどんな指導を受けたのか」を一目で把握できるという点でした。

ご家庭でも普段お子様が塾や学校でどんな指導を受けておられるのかを簡単に確認できますので、お試しいただくと思わぬこと(例:あれ、うちの子意外とできるかも?)が実感できるかもしれません。

今回のエピソードは中学入試を目指す生徒さんに対してのものですが、国語という教科の性質上、高校・大学受験にもそのまま汎用できます。赤本等での自学にも応用可能です。

国語は本人の資質による科目だと思われがちですが、正しい努力を重ねれば他の教科と同じように、いやそれ以上に成績を伸ばすことはできます。「自頭(じあたま)で考えること」が読解力向上のためのキーフレーズなのです。そのためには知識の習得が必要になります。できるだけ早い時期に知識面クリアしておけば、あとは2本のマーカーが飛躍の世界へと誘ってくれる筈です。

最後までお読みいただきありがとうございました。
猛暑が続きますがお元気でお過ごしください!
それではまたお会いしましょう。

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株式会社京進

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