色が企業の印象に与える影響とは?

小泉達治

小泉達治

テーマ:デザインとブランディングの関係

企業とカラーコーディネートの関係

「色」の印象をブランディングに活用しましょう

「色」が企業の印象に与える影響は非常に大きく、企業のブランドイメージや消費者の感情に強く関わります。さまざまなデザイン物にはそのことを十分に配慮する必要があります。もちろんクライアント側の好き嫌いもありますが、一般的な「色」の印象を踏まえた配色が企業のブランディングにとって非常に重要であるということを理解しておかなければなりません。

1. ブランドの認知と記憶に残りやすさ

色は、視覚的な刺激として最も強く、ブランドが消費者に記憶されやすくなるための重要な要素です。以下の具体例を挙げると分かりやすいでしょう
赤: コカ・コーラやレッドブルなど、エネルギッシュで活力を感じさせる色として使用されます。赤は人々の視覚に最も強く印象を残す色の一つで、目を引きやすい色でもあります。
青: IBMやFacebookが使用する青は、信頼感、冷静さ、安定感を表現する色です。特にテクノロジー企業や金融機関は青を多用することで、消費者に安心感を与えます。
黄色: マクドナルドのロゴに代表されるように、黄色は楽観的で、ポジティブなエネルギーを感じさせる色です。感情を明るくし、消費者を引きつけやすくします。
こうした色の選定は、単なるデザインの一環ではなく、心理学的な根拠に基づいた戦略的なものです。特定の色は、感情的な反応や行動を引き起こしやすく、その結果として消費者がブランドに対してどのようなイメージを持つかに影響を与えます。

2. 企業のメッセージや価値観の伝達

企業が発信するメッセージや価値観は、色によって視覚的にサポートされます。
緑: 環境に配慮した製品や持続可能性を掲げる企業は、緑を使用して「自然」「エコ」「健康」などのメッセージを視覚的に伝えます。緑は自然界でよく見られる色で、消費者にリラックス感や調和を感じさせます。
黒や金: 高級ブランドやラグジュアリー商品には、黒や金がよく使われます。これらの色は洗練された印象を与え、ステータスや高品質を象徴します。シャネルやロレックスのようなブランドが黒や金を効果的に使用しているのは、こうした理由からです。
このように、カラーコーディネートはブランドのアイデンティティを視覚的に補強し、企業の価値観を消費者に理解させる手段として機能します。

3. 感情的なつながりを強化

人間は色に対して感情的な反応を示すため、企業は適切な色を使用することで、消費者との感情的なつながりを強化することができます。以下に、色がもたらす一般的な感情や心理的影響をまとめます
赤: 興奮、情熱、危険、活力(例:スポーツブランドやエナジードリンクに多い)
青: 信頼、冷静、安定、安全(例:銀行や保険会社、テクノロジー企業)
緑: 自然、健康、成長、調和(例:オーガニック商品や環境保護団体)
オレンジ: 活発、暖かさ、創造性、親しみやすさ(例:食品ブランド、キッズ向け商品)
紫: 創造性、贅沢、神秘性(例:美容関連、ハイエンドサービス)
これらの色の感情的効果を活用することで、企業は消費者に対して、特定の感情や行動を誘発することができます。例えば、暖色系は緊急感やアクションを促進しやすい一方で、寒色系は信頼感や安定感を高めます。

4. 競合との差別化

市場が競合であふれている場合、独自のカラーコーディネートを採用することは、視覚的に競合他社と差別化を図るための有力な手段です。たとえば、清涼飲料水の市場では多くのブランドが赤や青を使用していますが、ある企業が緑や黄色を主色に選ぶことで、他のブランドとの差異が視覚的に明確になります。
また、同業他社が使っていない色をあえて選ぶことで、消費者に対する印象がより鮮明になり、選ばれる理由の一つとして働きます。独自性を保ちながらも、業界のトレンドや消費者の好みに寄り添ったカラーを選ぶことが重要です。

5. 文化や市場に応じた適切な選択

色の意味や印象は文化や地域によって異なるため、グローバルに展開する企業は、各市場での色の使い方に注意を払う必要があります。
白: 西洋では「純粋」「新しさ」を意味しますが、東洋(特に中国や日本)では「喪」「悲しみ」の色とされることもあります。
赤: 多くのアジア諸国では「幸運」「繁栄」の象徴とされるため、結婚式や新年などの祝い事でよく使われます。一方、他の文化では「警告」「危険」の意味を持つことがあります。
このように、カラーコーディネートを国や地域ごとの文化に合わせることで、より消費者に共感されやすく、企業のメッセージが適切に伝わるようになります。

6. ウェブサイトや広告における効果的な配色

企業のウェブサイトや広告デザインにおいて、カラーコーディネートは視覚的な階層やユーザーの行動を誘導する手段としても機能します。
コール・トゥ・アクション(CTA)ボタンの色: CTAボタン(「今すぐ購入」「問い合わせ」などのアクションを促す要素)には、視認性が高く、行動を促す暖色系(赤、オレンジ、黄色)がよく使われます。これにより、ユーザーが自然とボタンに目を引かれ、アクションを取る確率が高まります。
コントラストの活用: 重要な要素を目立たせるために、背景と強いコントラストを持つ色が使われます。例えば、白い背景に対して黒や深い青のテキストを使用することで、読みやすさが向上し、情報が視覚的に伝わりやすくなります。

まとめ

カラーコーディネートは、単なる視覚的な選択ではなく、企業のブランド戦略、消費者心理、文化的背景に基づいて慎重に選定されるべき要素です。適切なカラーを使用することで、企業はブランド認知を高め、メッセージを効果的に伝え、感情的なつながりを築くことができ、結果として企業の成功に寄与します。
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小泉達治
専門家

小泉達治(デザイン)

有限会社コイズミデザインファクトリー

ブランディングや商品企画、グラフィックデザイン、WEB・オンラインショップ構築、テキスタイルデザイン、プロダクトデザイン、イラスト、写真・動画を社内制作。企業のデザインをコンサルティングする実績多数。

小泉達治プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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