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マンション相続対策、納税者敗訴!

井村紀之

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テーマ:相続・事業承継対策

本日(2022年4月20日)の日本経済新聞の1面をご覧いただきましたか?

「路線価認めず課税」~最高裁判決 相続人側の敗訴確定~
とあります。
どういうことか、少し解説したいと存じます。

お亡くなりになった人から金融資産や不動産を相続や遺言による贈与で得た場合に相続税が課されますが、その性質は収入や資産が多い人からの富の再分配をする役割を持っていると言われています。

そこでその相続した財産がいくらなのかという評価基準が相続税法で規定されており原則「時価」での評価ですが、土地などの不動産に関しては「路線価」での評価になるということが国税庁の内部通達で公表されております。

ただややこしいことに、国税庁の「伝家の宝刀」とも言われている、財産評価基本通達総則6項で「著しく不適当と認められる財産の評価は国税庁長官の指示を受けて評価する」というのもあるのです。

今回、納税者側は、相続した不動産(マンション)を「路線価」で評価して約3億3,300万円としましたが、国税庁は上記の「伝家の宝刀」を使い「時価」での評価約12億7,300万円だとし裁判で争われたわけです。

判決は、納税者の敗訴で約12億7,300万円の不動産の相続となり、相続税が約3億3,000万円(過少申告課税含む)となりました。
理由は「路線価などの画一的な評価を行うことが実質的な租税負担の公平に反する事情がある場合は例外規定を用いる合理的な理由があり、また路線価での評価は法的根拠のない通達に過ぎない」とのことでした。

今回のケースは資産家での相続対策で、所有していた現金と借入金を利用して不動産を取得すれば、現金を残しておくより相続税を抑えることができることを知っていた点と、このような対策をすることができない納税者との間に「看過できない不均衡を生じさせ税負担の公平に反する」とのことで、国税庁の「伝家の宝刀」を認めたわけですね。

今後、近い将来に相続が発生しそうな高齢者の不動産取得やまた不動産を活用した節税対策に大きな影響があるかと思います。

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井村紀之
専門家

井村紀之(ファイナンシャルプランナー)

FP事務所RICHWAY

一般論を語るのではなく、まずは顧客一人一人で異なるお金にまつわる悩みや問題にしっかりと耳を傾け、真の思いを探り出すことに注力。解決策の提案を通して、金銭面のみならず豊かな心で生活してもらえるよう導く。

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