遺品整理は「処分」ではない――専門家が知っておきたい、家の中に残されたものの意味
私たち明日香サービスには、司法書士、弁護士、行政書士、社会福祉士など、成年後見に関わる専門職の方からご相談をいただくことがあります。
長くお付き合いをしている先生方もいらっしゃいます。
こうした仕事で私が大切だと思っているのが、「専門家によって見えているものが違う」ということです。
法律の専門家が見ているもの。
福祉の専門家が見ているもの。
不動産の専門家が見ているもの。
そして、遺品整理業者が現場で見ているもの。
同じ家でも、それぞれ違います。
例えば、成年後見の案件で施設入所が決まり、ご本人が長年暮らしてきた自宅を整理することになったとします。
先生方からすれば、財産管理や契約関係、退去など、さまざまな手続きがあります。
一方、私たちが家に入ると、そこには「生活」があります。
冷蔵庫の中に残った食品。
食卓の上に置かれた新聞。
寝室の衣類。
押し入れの中のアルバム。
仏壇。
趣味の道具。
そして、長年使ってきた家具。
書類の間から出てくる写真や手紙。
それらを一つひとつ見ながら、
「これはどうするべきだろう」
と考えることになります。
ここで大切なのは、私たちが勝手に判断しないことです。
法律上重要な書類なのか。
相続に関係するものなのか。
ご家族が残したいものなのか。
それは私たちだけでは分からないことがあります。
だから、先生方に確認する。
必要なものを一度取り置く。
判断がつかないものは、勝手に処分しない。
当たり前のことのようですが、私はここが非常に大切だと思っています。
もう一つ、成年後見に関わる現場で感じるのは、「ご本人の意思」です。
ご本人が施設へ移られる場合でも、できる限り、
「これは持っていきたい」
「これは残したい」
という意思を確認しておくことが大切です。
もちろん、ご本人の状態によって、それが難しい場合もあります。
だからこそ、周囲にいる専門家が連携する必要があります。
私は遺品整理業者として、法律や福祉の判断をすることはできません。
しかし、現場に入っているからこそ見えるものがあります。
そして、その「現場で見えたこと」を先生方にきちんと伝えることも、私たちの役割の一つだと思っています。
専門家同士が、それぞれの専門領域だけを見ていては、見えないものがあります。
法律だけでもない。
福祉だけでもない。
不動産だけでもない。
そして、遺品整理だけでもない。
一人の人の暮らしを支えるためには、それぞれの専門家が持っている情報や経験をつなぐことが必要です。
私たちは、先生方の仕事を代わることはできません。
だからこそ、先生方が安心して次の判断をするための「現場」を、丁寧に整える。
それが、成年後見に関わる遺品整理業者として、私たちが果たすべき役割だと考えています。


