住宅設備屋さん
気になる言葉の一つです。
私はBeatles世代に影響を受け、高度成長の日本を見ながら大人になりました。
日本の成長とともに欲しい物が身の回りに増えてくるのですが、ものを大切に使う
事が習慣であった経験上「もったいない」の意味がよくわかる気がします。
親や先人の「もったいない」精神の2/3ぐらいは、受け継いでるんでしょうね。
事務所で若い世代の人たちと接する機会が多くあります。100均(ひゃっきん)で手軽に安く、色々な物が買える使い捨ての時代に成長してきた彼らは、壊れれば買えばいいと思うらしい。ジェネレーションギャップでしょうか?
現実としてみると、直すより買った方が安くつく場合が多いのも事実です。
「もったいない」精神が、私自身も揺らぐ事も度々あります。
この間テレビで「掛け継ぎ」と言う職業を紹介してました。「かけつぎ」とは、破れたり焦がしてしまった服などを破損場所が分からないように縫い合わせたり再生する仕事です。
全国でも少なくなった昨今、決して安価ではありませんがけっこうな需要があり、全国から依頼が来るようです。セーターかけつぎ1枚3000円。3000円あったら新しいセーターが買えるじゃないか? てなもんですが、このお店に依頼が来る服などは、子供が初月給で買ってくれた物、父親の形見のもの、色柄が気に入ってるものとそれぞれの思いが詰まった大切な服だそうです。
深い思いや記憶のある物は、やはりプライスレス。そんなものを残していきたいですね。
建物も同じで、京都の町家と呼べるものは約2万8000軒ほど存在します。
風情があって残していきたいと思うのだけど、メンテナンスが大変だったりリフォームにお金がかかったりと年間100軒ほどのペースでこの時代から消えていきます。
「もったいない」と言われ、大切にされ思いがある形が、簡単に消えていく。
生活の空間を維持するための、手間や時間がかかり過ぎるのもわかります。
複雑な思いです。
スクラップ&ビルド(壊して、建てる)の時代からリノベーション(改修し新しい価値を付けた物にする)の時代に代わってきています。ただ時代が、安価で手間のかからない手法を選ばそうとしているのも事実です。
設計をするときに考える事は、「掛け継ぎ」の職人さんと同じです。
毎日の思いや、それぞれが大切にしている事、そんな単純な生活の風景が見えてくる器を
作れないものか?
…日々奮闘中です。