区分所有法の主な改正内容(5)

小堀將三

小堀將三

テーマ:管理規約等・法令

 今回は、主に管理組合法人に関する規定で改正された箇所について説明させていただきます。太字箇所が改正(追加)箇所です。

 まず管理組合法人の成立要件が、規約の変更や共用部分の変更と同様に、集会に出席した区分所有者及びその議決権の各4分の3以上となります。また管理組合法人の権限については、第26条(管理者の権限)で改正される内容に準じて改正されます。
(成立等)
第四十七条 第三条に規定する団体は、集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く。以下この項において同じ。)の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)の者であつて議決権の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各四分の三以上の多数による決議で法人となる旨並びにその名称及び事務所を定め、かつ、その主たる事務所の所在地において登記をすることによつて法人となる。
2~5 (略)
6 管理組合法人は、その事務(保険金等の請求及び受領を含む。第八項において同じ。)に関し、区分所有者(保険金等の請求及び受領にあつては、保険金等の請求権を有する者。同項において同じ。)を代理する。
7 (略)
8 管理組合法人は、規約又は集会の決議により、その事務に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができる。
9 管理組合法人は、次の各号に掲げるときは、遅滞なく、それぞれ当該各号に定める者にその旨を通知しなければならない。この場合における区分所有者に対する通知については、第三十五条第二項から第四項までの規定を準用する。
一 前項の規約によりその事務に関し原告又は被告となつたとき 区分所有者  
二 前項の規約により保険金等の請求及び受領に関し原告又は被告となったとき 保険金等の請求権を有する者  
三 前項の集会の決議により保険金等の請求及び受領に関し原告又は被告となったとき 保険金等の請求権を有する者(区分所有者を除く。)

10・11 (略)
12 管理組合法人が存立する場合における第三十三条第一項本文(第四十二条第五項及び第四十五条第四項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)、第三十四条第一項から第三項まで及び第五項、第三十五条第三項、第三十八条の二第一項及び第三項、第四十一条並びに第四十三条の規定の適用については、これらの規定(第三十三条第一項本文及び第三十八条の二第一項を除く。)中「管理者」とあるのは「理事」と、第三十三条一項本文中「管理者が」とあるのは「理事が管理組合法人の事務所において」と、第三十八条の二第一項中「管理者」とあるのは「管理組合法人」とする。
13・14 (略)

 現行の区分所有法では、区分所有権を取得することが管理組合法人の目的の範囲内の行為として認められるのか、区分所有権の取得のための議決方法については、何ら定められていません。そこで、今回の改正案では、区分所有建物等の管理を行うために必要があれば、集会出席者及び議決権の各4分の3以上の決議で、管理組合法人による区分所有権の取得が認められることになります。ちなみに、法人化されていない管理組合(権利なき社団)が区分所有権を取得するためには、登記名義人を区分所有者全員にしなければなりませんので、現実的には難しいと思います。
(区分所有権等の取得)
第五十二条の二 管理組合法人は、建物並びにその敷地及び附属施(新設)設の管理を行うために必要な場合には、集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く。以下この項において同じ。)の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、そ の割合以上)の者であつて議決権の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各四分の三以上の多数による決議をすることによつて、当該建物の区分所有権又は当該建物及び当該建物が所在する土地と一体として管理若しくは使用をすべき土地を取得することができる。
2 管理組合法人は、前項の規定により区分所有権を取得した場合であっても、第三十八条の規定にかかわらず、当該管理組合法人の集会における議決権を有しない。


 管理組合法人の解散決議についても、成立の際の決議と同じ集会出席者及びその議決権の各4分の3以上となります。
(解散)
第五十五条 (略)
2 前項第三号の決議は、集会において区分所有者(議決権を有しないものを除く。以下この項において同じ。)の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)の者であつて議決権の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各四分の三以上の多数でする。

 最後に、義務違反者に対する法的措置の決議要件も変更されます。「共同の利益に反する行為の停止等の請求」については、集会出席者及びその議決権の各過半数で、「使用禁止の請求」と「区分所有権の競売の請求」と「占有者に対する引渡し請求」については、集会出席者及びその議決権の各4分の3以上となります。
(使用禁止の請求)
第五十八条 (略)
2 前項の決議は、集会において、区分所有者(議決権を有しないものを除く。以下この項において同じ。)の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)の者であつて議決権の過半数(これを上回る割合を規約で定めた場合にあつては、その割合以上)を有するものが出席し、出席した区分所有者及びその議決権の各四分の三以上の多数でする。
3・4 (略)

 このあと、復旧及ぶ建替えの規定や団地に関する規定の改正案もありますが。これについては割愛させていただきますので、改正案の説明は今回が最後とさせていただきます。

 ≪過去のコラム≫
   区分所有法の主な改正内容(1)
   区分所有法の主な改正内容(2)
   区分所有法の主な改正内容(3)
   区分所有法の主な改正内容(4)

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小堀將三
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小堀將三(マンション管理士)

マンション管理士事務所JU 高知オフィス

第三者の立場に立って絶えず公平な判断を下し、管理組合様と管理会社の良好な関係ができるよう、両者をつなぐ役目となることを目指します。大規模修繕工事、管理規約の見直しなど、様々なお悩みに寄り添います。

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