お墓についたコケ(汚れ)など、案外自分で落とせるかもしれません
川崎市多摩区の吉澤石材店、吉澤光宏です。
今日の納骨時に参列の方から質問されたので、少しコラムで書いてみます。
内容はお墓についた汚れについて。
汚れといってもいろいろあるわけですが、詳しく聞いてみると今回の汚れはお墓についた黒ずみ。つまり水あかのようでした。
水あか(スケール)はお墓ではこんな感じについていることが多いです。
水がたまりやすい部分につきやすいわけですが、これが結構ガンコ。時間をかけて定着しているので、雑巾で拭くくらいではまず落ちません。
ではこの水あか、どうやれば落とせるでしょう?実は質問されることが多いです。
水あか落とすには、大きく分けて2種類の方法があると思います。
水あかを物理的にそぎ落とす
一つ目は物理的にそぎ落とす方法。すなわち、先端に薄い刃の付いた器具(スクレーパー)やお墓掃除用のスポンジなどを使い、固着した水あかを削り取る方法です。
画像は一枚目がスクレーパー、二枚目がお墓掃除用のスポンジで、いずれも近くのホームセンターで入手してきたものです。
水あかの程度にもよりますが、固着して比較的時間の経過していないものなら、これらでそこそこ落とすことも可能なのではと思います。
ただ、スクレーパーは鋭利な刃先がついているので、うっかりすれば怪我につながりかねません。
また刃先が悪くなってくると石の表面に引っかき傷ができることもあります。
使用にあたっては十分な注意が必要です。
スポンジのほうも(傷がつきにくいとはいえ)研磨剤が配合されているものが多いと思います。
石に擦り傷がつく可能性もあるので、使用時には目立たない場所で試してから作業を行うべきでしょう。
どちらか片方を使ってというより、両方を使いながら攻めてみるのがよいかもしれません。
ただし、一気に水あかを撃退できるほどの劇的な効果は期待しないでください。いっぺんに全部落とそうとするのではなく、時間をかけて気長に作業するつもりで臨んでください。
今回は『ここまで』というのを決めておき、続きは次回の墓参時に、と考えるのもいいかもしれませんね。
水あかを反応させて落とす
二つ目は薬で反応させて落とす方法です。
水あか自体の性質は基本的にアルカリ性。これを落とすには酸性の洗剤で反応させるべきです。
やはりホームセンターなどで、お墓の水あか用洗剤が売っているのを目にしたことがあります。
ただ使ってみたところ、思ったほどの効果は見られませんでした。
といっても、ある意味仕方のない気もします。特に酸性の洗剤の場合、御影石の表面にダメージを残す可能性が高いためです。
頑固な水あかを溶かすような洗剤なら、酸の強さもそれ相応のはず。
使用方法を誤れば石の『酸やけ』を起こすでしょう。つけて長い時間放置するのはいけません。
特に濃い色の石材の場合、洗剤がついた場所の色抜けが目立つので要注意です。
本磨き仕上げの石材を洗剤で洗う場合、洗剤の性質や濃さ、石との相性などを把握して行ってほしいところです。
そうしたことから、私は一般の方がお墓掃除で洗剤(薬品)をお使いになるのを、あまり積極的にはおすすめしていません。
不用意に洗剤を使用することで、事故につながる場合もあり得ます。
もし酸性の洗剤を使う場合、絶対にアルカリ系の洗剤と一緒に使用しないことをお守りください。
そして使用後は多めの水で完全に薬剤を洗い流すことを忘れないでほしいです。
洗剤の成分が石に残留すると、石に悪影響を与えたり変色をまねく可能性もありますので。
本格的にやるならプロにご相談ください
いずれの方法にしても、水あかは簡単にはきれいになりません。
落としやすい部分は落ちても、落としにくいところは本当にきれいになり切りません。
皆さんが自分で行う作業では、おのずから限界があることを知っておいてほしいです。
また、より本格的な清掃作業を望む場合には、一度プロに相談するのが良いと思います。
その汚れがどの程度落とせるのかも含め、きっと力になってくれると思います。