センセーショナルな言葉に踊らされる「葬」にかかわる業界。ここはあえてその言葉の裏を考えてみたい。
こんにちは。川崎登戸の町石屋、吉澤石材店です。
川崎市を中心に近郊でお墓工事を中心に石工事を行っています。
さて、今日は古い大谷石製外柵の解体工事をしていました。この作業、『お墓のリフォーム』の場合、あるいは『お墓じまい』で片付ける場合と、作業実績としてはかなり多いです。
以前本コラムでも書いたように、大谷石は風化しやすい性質があります。中には横から押したら崩れてしまいそうな部材もあったりします。
そんな今にも壊れそうなお墓でも、いざ解体に入ると案外しっかりしていることも多かったりします。この状態でよくバラバラにならなかったなと思ったりすることも。
その秘密は据付け工事時のほんの少しの手間にあったりします。その一つがこれ。
『カスガイ』です。石に穴をあけてモルタルで固定します。(石は御影石、大谷石ではありませんが)
こんな小さな金具ひとつでも、石同士をしっかりと繋ぎ止めてくれます。実際に今日解体の大谷石外柵でも、このカスガイを確実に入れてありました。少し見にくいですが黄色い〇の部分にカスガイがあります)
石の表面がボロボロになりながらも、見えない部分でしっかり頑張ってくれていたんですね。
有ると無いとでは大違い。補強金具
最近ではお墓工事の場合、接着剤施工が増えています。この場合、モルタルで固定するカスガイ補強ではなく、L型やI型の補強金具を使用することが多くなります。これらも石同士を物理的につなぎ合わせます。
また塔婆立てなどの細長い部材では、石に穴をあけてステンレス製のダボ(棒)を継ぎ目に入れたりもします。
これらの補強金具は、完成すると全く見えなくなる部分に使用します。なので金具で補強していなくても外見からは判別できません。また大地震や災害の時にどれだけ有効なのか、それに関しては何とも言えないところもあります。
でもこうした補強をきちんとすることで、こんなふうに新しいお墓の目地が開いてしまうことを極力減らすことはできるはずです。
しっかりとしたお墓を作る―。方法は変わっても昔の職人の魂はきっちりと引き継いでいきたいものです。お墓でも目に見えない部分にどれくらい手間ひまをかけるか。これってかなり大事な部分だと私は思います。
また、よろしくお願いします。