お墓工事のお問い合わせで、見積金額が即答できないワケ
石は他の素材に比較して、本当に長持ちする材料です。その石でできたお墓は長く使っていけるものの代表格ともいえるでしょう。
特に花崗岩(白御影石など)・閃緑岩(黒御影石など)や安山岩(神奈川の小松石など)に関しては、形がボロボロに崩れてしまうことはあまりないと思います。
しかし砂岩(千葉の房州石など)や凝灰岩(栃木の大谷石など)などは、案外傷みが早いのもまた事実です。こうした柔らかめの石は加工が容易なこともあり、以前には多用されてきました。ただお墓に関していえば、素材が傷むことで思わぬ事故につながる可能性が出てきます。
今日は普段お参りで訪れるお墓で、少し気を付けていただきたいことについて書いてみます。
傷むのは石が「悪い」のではなく、素材の性質
お墓ばかりではなく、石塀や造成地の石積みとしても使われてきた大谷石。耐火性もあるので北関東では屋敷の藏に使われていることも多いです。
また、最近では温かみのある表情が評価され、店舗等の内装材としても見直されてきています。調湿効果もあるので、今でも納骨室に使用している石材店もあると聞いています。
そんな良材である大谷石はもともと地中に埋まっていた石。空気に触れ天日に晒されることによって少しずつ傷んできます。
最初は青々(薄緑)とした石肌が茶色く変わり、石の継ぎ目(合口=あいくち)に隙間が出てきたりするのが一つの変化のサインです。お墓の立地にもよるのでしょうが、お墓を作って30~40年ほど経過するとかなり傷みが目立つようになります。
具体的には合口のモルタルが縁切れになる、石の表面が剥がれ落ちるなどの症状です。特に石材に細工を施してあるような部分はそれだけ石に負担がかかっているので傷みやすいのかもしれません。
下の写真は塔婆立て。解体の時に鉄製の桁を外してみたところ、桁の取り付け口のところで折れてしまいました。表面も裂けたように剥がれています。
お墓参りの時、掃除に夢中で入り口脇の柱や塔婆立てに手をついたりすることがあるかもしれません。見た目でひびなどがわからなくとも、年数の経った大谷石は倒れたり折れたりする危険をはらんでいます。このあたり、ぜひ注意していただきたいと思います。
最後に大谷石の名誉のために書いておきます。こうした劣化はこの凝灰岩の性質であり宿命です。でも、それぞれの岩石がそれぞれに特長(良い点)を持っているということも知っておいてください。
花崗岩と比べて傷みが早いという一点をもって悪い石と言うのは、いささか大谷石がかわいそうだと私は思います。少なくとも30年、40年というスパンはもってくれるわけで、他のものと比べれば十分に長持ちであるともいえます。
大谷石のリフォームについては以前に弊社ブログでも記事を書いています。ぜひこちらもご覧ください。