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薩野京子

死の準備を通して人生の輝かせ方を教える終活の専門家

薩野京子(さつのきょうこ) / 上級終活カウンセラー

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コラム

終活の先に見えてくるもの

2019年11月11日 公開 / 2021年1月7日更新

テーマ:終活とは

コラムカテゴリ:くらし

コラムキーワード: 終活 いつから

 終活という言葉が生まれてから、実はちょうど10年ほどになりました。初めて「終活」という言葉を使用したのは、2009年に週刊朝日が組んだ「現代終活事情」という特集だったそうです。 
 大分一般的になってきた終活ですが、終活をしようと思ったときに、まず何が思い浮かぶでしょうか。おそらくは身の回りの整理、遺言書の作成、また葬儀はどのようにやってもらおうかだとか、どこにどのように埋葬してもらおうかなどを頭に浮かべる人が多いようです。
 愛する者に財産を残すことや、心のこもった言葉を残すこと、片付けを済ませておくことは間違いなく重要な終活の一部分であると言えましょう。
また、遺族にとっても葬儀や埋葬の決定は万一の時、大変助かるでしょうし、本人も以降は死後のあれこれを案ずる必要がなくなり、安心して日々を過ごせるようになるに違いありません。
 私の開催するセミナーにおいては、決定したことは(遺言の内容を除いて)エンディングノートに必ず記入しておくことをオススメしています。また遺言書については、在り処を記入しておいてくださいとお話ししています。
 
 そしてもう一つ必ずお話しているのが、実際的な終活を一通り済ませ、それで終わりにしないでほしいということです。
 「終活」を通し、せっかく死を意識した行動をし、程度の差こそあれ死を見つめたのだから、「では、その日までどう生きようか」と残りの生を見つめて、生き方を振り返る機会にしてもよいのではないでしょうか。
 私がこのように、生をみつめる機会にしようなどと偉そうに言わなくても、終活の機会を得た後、化学反応的に残りの生を意識しだす人は少なくありません。
 一方、「私は子供やきょうだいに迷惑をかけないよう、準備をしておきたいだけ」と言う人もまた、一定の割合でいらっしゃいます。
 しかし、周囲、特に子供たちにしてみれば、親がどう老いてどのような死に方をするのかということは大きな問題となります。どのような死に方をするのか―、ということはその日までどのような生き方をするのかということに他なりません。準備万端となり、する事がなくなり、何となく過ぎていく日々…。いざその日が近いことを知った時、急にうろたえる姿は見たくないはずです。
 
 死は誰にでも平等に訪れる自然な現象の一つであり、その日が来たら、山あり谷あり歩いてきた人生を卒業するのです。
 (お節介は承知なのですが)是非、卒業時に後悔ばかりを嘆かなくてもよいように、残りの生を生きてもらいたいものです。
 あいにく、卒業式の日取りは決まっていません。ある日突然来る卒業もあります。「明日突然卒業が決まっても、後悔のない卒業か」と自問してみれば、一日一日、一秒一秒の重みが変わってくるのではないでしょうか。
 
 私は、母を亡くした後、急に死が現実のものに感じました。以来、「そうか、明日死ぬかもしれないのだ」と死を常に隣に置くようにしてきました。常に人生を真摯に見つめ、研鑽に努めてきたと言いたいところですが、生来の怠け者ゆえ断言できないのが残念です。しかし、後々悔やむであろう不道徳な振る舞いだけは出来なくなりました。
「あんなことしなければよかった」と肉体がなくなる時に悔いたくないのです。そのような考え方が身についてしまうと、他人の悪行にも腹が立たなくなってきます。なぜならば、「あんな悪いことして(あんなひどいことを言って)死ぬときに悔やまないのだろうか」と案じてしまうからです。
 善い行いも、悪行の償いも肉体があるうちにしかできない。
 また、理想を目指すことも肉体がなければできない。
 
 大層なことでなくても「やりたいこと」「達成したいこと」「こんな人間でありたいという理想」…。自分で設定した卒業及第点に到達すべく、一日一日を重ねていくことを考えてみませんか。案外そんなことで日々が充実し、怒りっぽく卑屈な老人になる可能性はぐんと減るようにさえ思います。
 生と死は一対。生だけに注目していては完全に人生を理解したとは言えません。
 また、死だけに注目しても同様です。光の存在を無視して、影だけを学ぼうとするようなものなのです。
 
 終活が一段落したら、いや、終活をしていなくても「その日までどう生き、どのような自分で卒業しようか」考え始めてほしいと、お節介な終活カウンセラーは切に願っています。

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