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死の準備を通して、残りの人生について考えるきっかけを提供

死の準備を通して人生の輝かせ方を教える終活の専門家

薩野京子

死の準備を通して人生の輝かせ方を教える終活の専門家 	薩野京子さん
薩野京子さんセミナー風景

#chapter1

参加型のセミナーで、知識を得ながら、残りの人生へ想いを巡らせる

 年を重ねれば当然のように終活をする時代になってきました。では、具体的に何をすればいいのか、そんな疑問に答えるのが終活カウンセラーです。終活カウンセラー協会認定終活講師の資格を持つ薩野京子さんは、自分の死の準備をしながら生きることを考え、残された生を輝かせるきっかけをくれる終活カウンセラーです。

 終活カウンセラーの多くは葬儀社に所属し、葬儀社がおこなう終活セミナーで話をするため、葬儀の話が中心になりがちです。けれども、薩野さんが開催する終活セミナーは、常に二本立て。一般的な葬儀や埋葬についての実際的な知識だけでなく、死と対になっている生を考える話を必ずするようにしています。

 残された生について考えるためにおこなうのが、たとえば「バケツリスト」作り。「バケツリスト」とは、死ぬまでにやりたいことのリストで、アメリカなどでは生活に溶け込むほど多くの人に知られているそうです。セミナーの参加者に「バケツリスト」を作ってもらうことで、改めて生きることについて考えたり、自分の望む生き方に気づいたりするといいます。

 ほかにも、遺影を意識したポートレートの撮影会や、少人数のときはディスカッションをするなど、ただ話を聞くだけではなく、参加型であることが薩野さんのセミナーの特徴です。

 もちろん、葬儀や埋葬、相続に関する実用的な情報も提供します。具体的には、「キャッシュカードやクレジットカードは、遺族が解約するのは手間がかかるので、使っていないものは解約するなど、整理しておいたほうがいい」といった話をすることもあります。

 さらに、相続に関して具体的に何かする必要があれば司法書士などの専門家を紹介することも可能です。また依頼があれば個別相談も対応できるそうです。

#chapter2

母親の死をきっかけに得た死生観と大学で学んだ葬儀に関する知識を役立てようと、終活カウンセラーに

 薩野さんが終活カウンセラーになったのは、自身の母親を亡くしたことがきっかけでした。喪失感に苦しみ、死について考えるようになった薩野さんは、生と死に関する本を読み漁ったといいます。そして自然に頭の中で「バケツリスト」を作り始めました。

 残りの人生でやりたいことを考えたときに頭に浮かんだのは、高等教育を受けること。そこで慶應義塾大学文学部の通信課程に進み、死生学を学ぶため、哲学や社会学、民俗学などの単位を取得しました。卒業論文では『現代の葬送儀礼について』をテーマにし、葬儀に関する深い知識を身につけたのです。

 その知識を生かそうと考えた結果、たどりついたのが終活カウンセラーでした。あえてフリーの終活カウンセラーとして活動を始めたのは、終活カウンセラーという資格を通して、やりたいことがはっきりとあったからです。

「生と死を考える集いのような試みを行うことで、ひとりでも多くの人が死を思いながら生きること(=メメントモリ)に気づいて、イキイキと生きていくきっかけを生み出せればと思っています」

 そこから、死の準備を通して生きることを考える、二本立てのセミナーが始まったのです。

 大学での研究で得た葬儀に関する知識や母親の死を迎えた経験は、葬儀に対するアドバイスにも表れています。家族葬など小規模な葬儀を希望する人が増えている最近の流れを踏まえつつも、「単に流行に流されるのではなく、葬儀の意味をわかった上で選択していただきたい」と口にします。

「葬儀は亡くなる人のためのものだけではなく、送る人の気持ちの整理する場でもあるんですね。自分がこだわりたい部分だけを決めておいて、遺族が気持ちを込める余白を残しておくのもいいのではないかと思います」

 飾ってほしい花や、流してほしい音楽など、こだわりたい部分だけをエンディングノートに書いておくことで、本人の希望と遺族の想いの両方を叶えることができそうです。

死の準備を通して人生の輝かせ方を教える終活の専門家 	薩野京子さん

#chapter3

死と生について一緒に考える場を提供していきたい

 今後は、まだ仕事に就いている男性でも足を運びやすいように、土日にセミナーを開催することも考えていきたいという薩野さん。「定年退職後、心に穴が空いてしまって、どう生きていったらいいだろうと考えているような男性にもぜひ足を運んでほしい」という展望も持っています。

「いくつから終活を始めてもいいし、やりたくないならやらなくてもいい」と、終活カウンセラーらしくないことも口にしながら、「でも常に死を意識することは大切なので、みんなで死と生について考える場を提供していきたい」と、意欲を燃やしています。

 終活をして、自分の死の準備をするからこそ、残りの人生を大切にしたくなるもの。薩野さんの終活セミナーに参加すれば、生きることへの深い気づきが得られそうです。

(取材年月:2019年6月)

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葬送に関する実用的な知識と、自身の死について考えることを通して残された人生をどう生きるか考えるきっかけの両方を提供する。

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