自己肯定感(スタッフ)
みなさんは「ヤングケアラー」という言葉を
聞いたことがありますか?
ヤングケアラーとは、
障がいや病気のある家族の介護や世話をしている
18歳未満の子どものことです。
身近にそういった方がいないと、
ピンとこないかもしれません。
親が病気がちであったり障がいがあったりして
子どもが親に気遣い、家事を手伝ったり、
障がいのある子の兄弟が
自分のやりたいことを我慢していたりするのです。
そういった話を聞いても
「えらいね」「すごいね」と美談で終わってしまうことも
多いかもしれません。
しかし、ヤングケアラーである子どもは
複雑な想いを持ったり
自分の人生を歩みにくくなっていたりもします。
例えば、
障がいのある兄を持つ妹がいたとします。
兄が学校や家で困ることを妹が手伝いすることで、
妹は遊ぶ時間がなかったり
勉強に集中できなかったりするかもしれません。
「えらいね」と言われれば言われるほど、
手伝わないといけないと思ってしまいうかもしれません。
自分のやりたいことができず、
でも兄のことが嫌いなわけではない。
兄のためにと思うけれど、
わずらわしく思うこともあるのは自然なことでしょう。
それは当然の気持ちであるのに、
兄妹なのだからと
ある意味で諦めて我慢してしまうのです。
自分にはやりたいことがあるからと
兄の手伝いをしないと
「冷たい」「兄妹なのにひどい」と
言われるかもしれません。
中には、障がいのある長子の世話をするために
生まれてきたと親から言われる子どももいます。
長子がいなければ、自分は生まれてこなかったのだろうかと
そう思っても不思議はありません。
親からしてみれば、
妹が兄のために手伝ってくれるのは
ありがたいでしょうし
嬉しいと思います。
優しい妹だ、と思うかもしれません。
親は子どもより先にこの世を去ることが多いので、
自分たち親が死んだ後、
妹が兄の面倒を見てくれれば・・・と思うかもしれません。
それは親として自然な想いだと思います。
けれど、そうやって妹の「善意」によって
妹の人生は不自由になっていくのです。
もちろん、
それ自体が悪いことなのではありません。
ヤングケアラーとなった子どもたちは
他の子どもよりも多くの学びを得たりもするでしょう。
けれど、
ヤングケアラーであるがゆえの苦労も
たくさんあるのです。
「ヤングケアラー」という言葉が広まって
ヤングケアラーの苦労についての理解が深まれば
救われる人も多くいることと思います。
これを読んでいる方のなかにも、
「あ、自分はヤングケアラーだったんだ」と
気がつく方もいらっしゃるかもしれません。
そのために心の中に苦しい思いがあるかもしれません。
そんな方はどうぞ
カウンセリングでご自分の思いを吐き出して
ご自分の心を守り
誰かの親や子や兄弟としてではなく、
自分自身の人生を
より良く進めるように
向き合ってみてはいかがでしょうか。
文:スタッフsachi
代表:椎名 あつ子