「高く・早く・安心して・静かに」は、同時に手に入らない

真山英二

真山英二

テーマ:不動産売却

ハッピーハウスの真山(さのやま)です。

前回は「なぜ売るのか」という理由の話をしました。今回はその次、何をいちばん大事にするかという話です。

理由が整理できたら、次に決めていただきたいのが優先順位です。ここが決まると、その後の判断に一本の軸が通ります。

■ 同じ目的でも、大事にするものは違う

たとえば「相続した実家を整理して、兄弟で分ける」という同じ目的の方でも、考えは分かれます。

「一円でも高く分けたい」という方がいます。一方で「金額より、もめずに早く終わらせたい」という方もいます。どちらが正しいということはありません。ただ、この二人は、まったく違う売り方をすることになります。

■ 売主が優先することは、だいたい4つ

① できるだけ高く売りたい

家の魅力を最大限に伝える工夫と、適切な売り出し価格の設定が要になります。場合によっては、事前に費用をかけて手を入れることも検討します。

ただし、価格を優先すると、売れるまでの時間は長くなりがちです。

② 早く売りたい

転勤の期限が迫っている。維持費の負担を早く終わらせたい。相続の問題から解放されたい。こうした事情でスピードを優先する場合です。

このときは、価格を多少調整してでも、早く買主が見つかる進め方を選びます。

③ トラブルなく、安心して売りたい

金額やスピードより、「あとで問題が起きないように、きちんと売りたい」という考え方です。

売った後に建物の不具合をめぐって買主と揉める、といったことを避けたい。そのためには、家の状態を正確に把握し、告知すべきことを漏らさず、契約の中身をよく理解しておく必要があります。手間はかかりますが、これがいちばん自分を守ります。

④ 近隣に知られず、静かに売りたい

事情があって、大々的に広告したくないという方もいます。広告の出し方を限定するなど、進め方の工夫が必要です。

ただし広告を絞れば、買主の目に触れる機会も減ります。現実には、買取業者への売却という形になることが多いです。

■ ここが肝心です

この4つを、同時に全部手に入れることはできません。

「いちばん高く、いちばん早く、誰にも知られずに売りたい」──お気持ちはよく分かります。ただ、現実にはなかなか両立しません。

高く売ろうとすれば時間がかかる。早く売ろうとすれば価格を譲る場面が増える。静かに売ろうとすれば買い手の数が減る。あちらを立てればこちらが立たず、が不動産売却につきものの関係です。

だからこそ、順位をつけておく。これが後悔しない売却の出発点になります。

■ 紙に書いてみてください

頭の中だけで考えるより、書き出したほうが本当の気持ちが見えます。

ステップ1 次の4つに、大事な順で1位から4位まで順位をつける。

・高く売ること
・早く売ること
・トラブルなく安心して売ること
・周囲に知られず静かに売ること

ステップ2 1位にしたことについて、「なぜそれを優先したいのか」を一文で書く。

例:「早く売りたい。なぜなら、相続税の納税期限が◯月◯日に来てしまうから。」

ステップ3 書いた順位を、ご家族など関係する方と共有する。

このステップ3が、実はいちばん大事です。家族の中で優先順位がずれていると、話が進むほど揉めます。先に合わせておけば、後の判断が驚くほど速くなります。

■ 今日の結論

優先順位があいまいなまま売り始めると、不動産会社に勧められるまま進んでしまったり、途中で「やっぱりこうすればよかった」と迷いが出たりします。

価格の決め方も、かける期間も、進め方も、すべてこの優先順位から決まってきます。

次回は、売却に臨む前に整えておきたい3つの心構えをお話しします。精神論では終わらせません。「では具体的に何をすればいいか」までお伝えします。


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真山英二
専門家

真山英二(宅地建物取引士)

株式会社ハッピーハウス

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