「高く・早く・安心して・静かに」は、同時に手に入らない
ハッピーハウスの真山(さのやま)です。
理由を言葉にし、優先順位を決めたら、いよいよ動き出す段階です。その前に、3つだけ胸に置いておいてほしいことがあります。
不動産売却は、よく「情報戦」であり「心理戦」だと言われます。物件を市場に出せば売れる、という単純なものではありません。相場、価格、税金、買主や不動産会社とのやり取り。いろいろな要素が絡み合います。情報が足りなかったり、気持ちに流されたりすると、思わぬ遠回りやトラブルにつながります。
精神論で終わらせず、「では何をすればいいか」までお伝えします。
■ 心構え① 知る――知識は、自分を守る盾になる
売却でいちばん避けたいのは、「知らなかったために損をする」という事態です。
どんな費用がかかるかを知らないまま進めると、手元に残るお金の計算が大きく狂います。売った利益に税金がかかる場合があることを知らずにいると、翌年に慌てることになります。
とはいえ、すべての分野の専門家になる必要はまったくありません。必要なのは地図です。売却全体がどんな流れで進むのか。各段階で何が起き、誰に相談すればいいのか。
地図さえあれば、説明を鵜呑みにせず「それはどういうことですか」と聞けるようになります。この一言が言えるかどうかで、結果が変わります。
具体的な行動
細かい数字を覚える必要はありません。まず全体の流れをざっと通して知っておく。「こういう順番で進んで、こういう人たちが出てくるんだな」とつかめれば十分です。
■ 心構え② 焦らない――冷静さが、いちばん高くつく
「一日も早く売りたい」「市場が冷え込む前に売ったほうがいいのでは」。よく聞く声です。お気持ちはよく分かります。
ただ、焦った判断は高くつきます。本来得られたはずの条件を逃したり、十分検討しないまま契約してしまったり。「今下がる前に急がないと」と不安をあおる言葉に出会ったら、いったん深呼吸してください。
もちろん、いつまでも先延ばしにしてよいという意味ではありません。空き家の維持費がかかり続けているなら、ある程度のスピードは要ります。大事なのは、焦って即決するのでも、不安で動けなくなるのでもなく、情報をそろえたうえで落ち着いて決めることです。
なお「売れやすい時期」には季節的な傾向があるとも言われますが、物件の種類や地域によって違います。「この時期を逃すと損だ」と決めつけず、ご自身の物件と状況に合わせて見極めてください。
具体的な行動
大きな判断を求められたとき──たとえば「今日中に決めてください」と言われたときは、その場で即答しないと決めておく。「家族と相談してから返事します」の一言で十分です。一晩おくだけで、判断の質は変わります。
■ 心構え③ 専門家を使う――「丸投げ」ではなく「協働」
不動産会社、税理士、司法書士、弁護士。専門家はあなたの味方です。一人ではこなしきれない業務を代わりに担ってくれます。
ただし、丸投げと協働は違います。
丸投げは「よく分からないので、お任せします」。協働は「ここは分からないので教えてください、そのうえで私が決めます」。決めるのは、いつでも売主であるあなたです。
そのために必要なのが、心構え①の地図です。地図を持っている人は、専門家をうまく使えます。
具体的な行動
説明を受けて分からない言葉が出てきたら、その場で必ず聞き返す。「素人なので、もう一度お願いします」で構いません。恥ずかしいことではありません。聞き返さずに進むほうが、ずっと危険です。
■ 今日の結論
知る、焦らない、専門家を使う。この3つは、どれも特別なことではありません。
ただ、この3つができている売主の方は、結果が違います。20年以上この仕事をしてきて、はっきり感じるところです。
次回からは、いよいよ具体的な話に入ります。まずは「売却は7つのステップで進む」という全体の地図をお見せします。
売却の全体像をまとめて知りたい方は、拙著『不動産売却の教科書 完全版』(Kindle版)もご覧ください。
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