無料相談会でよくいただく3つのご質問と、持って行くと話が早い書類
ハッピーハウスの真山(さのやま)です。
今回から1年間、毎週このコラムで「不動産の売却」についてお話ししていきます。査定、不動産会社の選び方、販売活動、売買契約、決済と引き渡し、そして翌年の確定申告まで。売却の始まりから終わりまでを、順番にたどっていく予定です。
第1回の今日は、いちばん手前の話をします。査定を頼む前、不動産会社を探す前の話です。
■「自分だけが、こんなことで迷っているのでは」
不動産を売るという経験は、多くの方にとって人生で何度もあることではありません。だからこそ、いざその場面に立つと、何から手をつければいいのか分からなくなります。
私がご相談を受けていて、よく耳にする言葉があります。
「こんなことで悩んでいるのは、自分だけでしょうか」
そんなことはありません。売る理由は人それぞれですが、迷いや戸惑いは、驚くほど共通しています。皆さん同じように立ち止まり、同じように「これでいいのだろうか」と考えながら、一歩ずつ進んでいかれます。
そして、その「理由」によって、気をつけるべきことがまったく変わってきます。
■ 売主の方は、だいたい4つに分かれます
① 相続した家を売る方
ご両親から家を相続したけれど、自分はすでに別の場所に生活の拠点がある。近年とても増えているケースです。
このタイプには、独特の難しさがあります。兄弟姉妹など複数人で相続すると、「売る・売らない」「いくらで売る」で意見が割れることがあります。また、名義の変更(相続登記)が済んでいないと、そもそも売却を進められません。
なお相続登記は、2024年4月から義務化されています。手続きそのものは司法書士などの専門家にご相談ください。
さらに、金額だけでは割り切れない感情がついて回ります。「親の思い出が詰まった家を手放していいのか」。この迷いは、とても自然なものです。
② 実家を売る方(生前整理を含む)
ご両親がご健在のうちに、将来を見据えて実家を整理しておきたいというケースです。親御さんが高齢になって広い一戸建てが負担になってきた、施設への入居が決まった、といった場面です。
ここで難しいのは、親御さんご本人の気持ちと、子世代の都合の両方を大切にしなければならない点です。「親に売却の話を切り出しにくい」と悩む方は、本当に多くいらっしゃいます。家族の合意に時間がかかるのは、当たり前のことだと思ってください。
③ 住み替えのために売る方
お子さんの成長で手狭になった、転勤が決まった、駅の近くやコンパクトな住まいに移りたい。前向きな理由が多いのが、このタイプです。
気をつけたいのは、「売る」と「買う」を同時に進めなければならない点です。新しい家の資金を今の家の売却代金でまかなう場合、売却と購入の時期がずれると、資金繰りや仮住まいで苦労します。段取りが結果を左右します。
④ 空き家を処分する方
すでに誰も住んでいない家を、これ以上持ち続けるのが難しくなって手放すケースです。
空き家は、住んでいなくても固定資産税などの維持費がかかり続けます。管理を怠って「特定空家」等に指定されると、固定資産税が上がる場合もあります。加えて、建物が傷み、草木が茂り、近隣にご迷惑をかけてしまうことも。「いつかなんとかしなければ」と思いながら、先延ばしにしてきた方も多いのではないでしょうか。
■ 複数にまたがっていても、かまいません
ここまで4つに分けましたが、実際にはいくつも重なります。「相続した実家が空き家になっている」という方は、①と②と④の全部に当てはまります。
大事なのは、きれいに分類することではありません。自分がどこに立っているのかを、言葉にしてみることです。
なぜなら、立ち位置によって、最初にやるべきことが変わるからです。相続なら、まず名義を確認する。住み替えなら、売りと買いの順番を決める。空き家なら、いま何にいくらかかっているかを把握する。──入口が違えば、最初の一歩も違います。
■ 今日の結論
査定を頼む前に、一度だけ立ち止まってみてください。
自分はなぜ、この家を売ろうとしているのか。
遠回りに見えますが、これがいちばんの近道です。理由がはっきりしている方ほど、その後の判断が速く、迷いが少ない。20年以上この仕事をしてきて、はっきりそう感じています。
次回は、その先にある「何のために売るか」──理由ではなく目的の話をします。この2つは似ているようで、まったく違うものです。
売却の全体像をまとめて知りたい方は、拙著『不動産売却の教科書 完全版』(Kindle版)もご覧ください。本コラムで扱う7つのステップを、1冊で通して解説しています。
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