「平成29(2017)年度・灘中二日目・大問三・詩」の解説

篠田啓彦

篠田啓彦

テーマ:詩の読解

みなさん、こんにちは。

国語専門オンライン学習塾 啓理学舎の篠田です。

今回は、「平成29(2017)年度・灘中二日目・大問三・詩」の解説をさせていただきます。

題名は「春」(山崎るり子)です。




【問1】


(解説)

この設問は、選択肢から選ぶ問題です。

1連では、「おじいさん」は「高くなりすぎた」ため、「木」を切り、「木は切り株から芽を出し」(7行目)た、と書かれています。
2連では、また「高くなりすぎた」(2行目)ため、再び「木」を切ったことが書かれています。

つまり、線部1で、「木」が「おじいさん」に「また会おう」と言ったのは、「木」が切られても「切り株から芽を出し」大きな木に成長する、ということを表しています。

ですから、模解は以下になります。


(模解)

「イ」

選択肢の問題では、まずは答えのイメージをしてから、選択肢を読むようにしてください。

選択肢は最もらしいことが書かれているため、選択肢に惑わされる可能性があるためです。



【問2】


(解説)

この設問は、「〜なぜですか」と理由を問いているため、答え方は「〜から」と答えます。

また、設問に内容についてもう少し詳しく説明いたします。

1連では、
「木」が「また生えてくるさ」(3行目)と言った後に
「おじいさん」は「また切るよ」(4行目)と言っています。

2連では、
「木」が「また会おう」(3行目)と言った後に
「おじいさんは何も言わなかった」(線部2)となっています。

つまり、1連では「おじいさん」は「また切るよ」と言ったのに、2連では「何も言わなかった」のはなぜですか、という問題です。

2連8行目に「おじいさんは家から出てこなかった」、
4連1行目に「おじいさんはふとんの中で」とも書かれています。
3連1〜4行目では「木」が成長している様子が書かれています。

つまり、「木」は成長しているのに、「おじいさん」は「木」を切るどころか、家から出てくれず、ふとんの中にいる状態です。

このことから、「おじいさん」は年をとり、体が自由に動かすことができなくなったことが考えられます。

よって、「おじいさんが何も言わなかった」(線部2)は、「木」が再び成長したときに、「木」を切ることができないと思ったからだと考えられます。

解答例は以下になります。


(解答例)3行60字程度

木が再び高く成長するまで、自分は元気でいることができないかもしれないと思ったから。(41字)



【問3】


(解説)

この設問も「〜なぜですか理由を答えなさい」となっているため、答え方は「〜から」または「〜のため」となります。

線部2の「部屋」が「どんどん暗くなる」理由は、3連に書かれていると思います。

3連では、「木」が伸びて枝葉を広げ「部屋」をおおったため、陽の日が入らず「どんどん暗くなった」と考えられます。

解答例は以下となります。


(解答例)2行40字程度

木が伸びて枝葉を広げ、部屋をおおうことにより、陽の光が入らなくなったため。(37字)


「部屋をおおう」という言葉は必ず入れてください。
なぜなら、「木が伸びて、枝葉を広げた」だけでは、部屋が暗くなるとは言えないからです。

つまり、木と部屋が離れていたら、木がどんなにしげろうとも、部屋を暗くすることはできないからです。

このような因果関係(たどる力)をしっかりと解答できるかがポイントになります。



【問4】


(解説)

この問題は、選択肢から選ぶ問題です。
この選択肢には、「おじいさん」と「木」の状態と、最後に「おじいさん」の感情が書かれています。

線部4において、「伸びていけた」は過去形で書かれています。
以前、つまり「おじいさん」が元気であったとき、「木」と一緒に成長することができた、ということを言いたいのではないかと考えることができます。

また、1連5〜6行目と2連5〜6行目に同じフレーズがあります。
「くり返しくり返し朝がきて / くり返しくり返し春がきて」

このことから、「木」は切られても再び成長しています。
つまり、「くり返し」が起きていることになります。
そして、「おじいさん」は今は体が動かなくなっているが、今までは「木」と共に「くり返し」を一緒に感ずることができたと感じていると思われます。

上記のことから、線部4はプラスの感情であると考えられます。

マイナスの感情である「イ、おびえている」「エ、同情している」「オ、悔やんでいる」は「×」となります。

残りは「ア」「ウ」ですが、

「ア」は「おじいさん」は高齢で、今後再び元気になることは考えにくいため、「×」。

「ウ」は「生長する木に一体感をおぼえ」と書かれています。
これは、線部4「木といっしょにどこまでも」を言いかえたものと考えられるため、「○」。


(模解)

「ウ」



【問5】


(解説)

この設問では、「どのようなことがわかりますか」と問いているため、答え方は、「〜こと」になります。

線部5の前に「木は実を屋根に落として / おじいさんを呼んだ」(5連2〜5行目)と書かれています。

ここでは、「木」は「おじいさん」に反応してもらうために、実を落とすことによって呼んだが、「おじいさん」の反応はなかったと考えられます。

ただし、「おじいさん」の反応はなかった、という直接的な表現はありません。

「おじいさん」の反応はなかったということは、「おじいさん」は亡くなっていた、ことがわかります。

その後線部5で、「木」は枝で「窓をつきやぶり」、「根で家をかたむかせ」ています。

これは、「木」が「おじいさん」の死を受けて、嘆き悲しんでいる様子が伺えます。

解答例は以下となります。


(解答例)1行20字程度

すでに亡くなってしまったということ。(18字)



【問6】

 

(解説)

この設問も選択肢の中から選ぶ問題です。

まず、「ウ」では、「ノコギリという道具の重要性」についてはまったく書かれていないので、「×」。

次に「エ」ですが、この詩では「人の人生」だけを表現しているわけでないので「×」。

「ア」「イ」「オ」を詩の全体から、「木」と「おじいさん」を対比すると以下になります。

「木」:「おじいさん」に切られたら、「切り株から芽を出し」て成長した。

「おじいさん」:「おじいさん」が亡くなったら、「北の町から若者」がやってきた。

つまり、この詩は、「生命と時の流れ」を表現しているものと考えられます。

また、「木」と「おじいさん」のつながりをも表現しているものと考えられるため、最も適するのは、「オ」と考えれらます。


(模解)

「オ」



さて、どうだったでしょうか?

「詩の読解」は、一字一字丁寧に読んでいけば必ず解くことができます。

しっかり頑張っていきましょう!

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篠田啓彦
専門家

篠田啓彦(塾講師)

国語専門オンライン学習塾 啓理学舎

保護者の方にお子さまとの接し方等をアドバイスさせていただくとともに、国語が苦手なお子さまでも特別な学習方法で真の「国語力」が身につき、さらに各教科の成績向上、中学・高校合格へ導いている。

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