「令和4(2022)年度・灘中二日目・大問三・詩」の解説
みなさん、こんにちは。
国語専門オンライン学習塾 啓理学舎の篠田です。
今回は、「平成29(2017)年度・灘中二日目・大問三・詩」の解説をさせていただきます。
題名は「春」(山崎るり子)です。
【問1】
(解説)
この設問は、選択肢から選ぶ問題です。
1連では、「おじいさん」は「高くなりすぎた」ため、「木」を切り、「木は切り株から芽を出し」(7行目)た、と書かれています。
2連では、また「高くなりすぎた」(2行目)ため、再び「木」を切ったことが書かれています。
つまり、線部1で、「木」が「おじいさん」に「また会おう」と言ったのは、「木」が切られても「切り株から芽を出し」大きな木に成長する、ということを表しています。
ですから、模解は以下になります。
(模解)
「イ」
選択肢の問題では、まずは答えのイメージをしてから、選択肢を読むようにしてください。
選択肢は最もらしいことが書かれているため、選択肢に惑わされる可能性があるためです。
【問2】
(解説)
この設問は、「〜なぜですか」と理由を問いているため、答え方は「〜から」と答えます。
また、設問に内容についてもう少し詳しく説明いたします。
1連では、
「木」が「また生えてくるさ」(3行目)と言った後に
「おじいさん」は「また切るよ」(4行目)と言っています。
2連では、
「木」が「また会おう」(3行目)と言った後に
「おじいさんは何も言わなかった」(線部2)となっています。
つまり、1連では「おじいさん」は「また切るよ」と言ったのに、2連では「何も言わなかった」のはなぜですか、という問題です。
2連8行目に「おじいさんは家から出てこなかった」、
4連1行目に「おじいさんはふとんの中で」とも書かれています。
3連1〜4行目では「木」が成長している様子が書かれています。
つまり、「木」は成長しているのに、「おじいさん」は「木」を切るどころか、家から出てくれず、ふとんの中にいる状態です。
このことから、「おじいさん」は年をとり、体が自由に動かすことができなくなったことが考えられます。
よって、「おじいさんが何も言わなかった」(線部2)は、「木」が再び成長したときに、「木」を切ることができないと思ったからだと考えられます。
解答例は以下になります。
(解答例)3行60字程度
木が再び高く成長するまで、自分は元気でいることができないかもしれないと思ったから。(41字)
【問3】
(解説)
この設問も「〜なぜですか理由を答えなさい」となっているため、答え方は「〜から」または「〜のため」となります。
線部2の「部屋」が「どんどん暗くなる」理由は、3連に書かれていると思います。
3連では、「木」が伸びて枝葉を広げ「部屋」をおおったため、陽の日が入らず「どんどん暗くなった」と考えられます。
解答例は以下となります。
(解答例)2行40字程度
木が伸びて枝葉を広げ、部屋をおおうことにより、陽の光が入らなくなったため。(37字)
「部屋をおおう」という言葉は必ず入れてください。
なぜなら、「木が伸びて、枝葉を広げた」だけでは、部屋が暗くなるとは言えないからです。
つまり、木と部屋が離れていたら、木がどんなにしげろうとも、部屋を暗くすることはできないからです。
このような因果関係(たどる力)をしっかりと解答できるかがポイントになります。
【問4】
(解説)
この問題は、選択肢から選ぶ問題です。
この選択肢には、「おじいさん」と「木」の状態と、最後に「おじいさん」の感情が書かれています。
線部4において、「伸びていけた」は過去形で書かれています。
以前、つまり「おじいさん」が元気であったとき、「木」と一緒に成長することができた、ということを言いたいのではないかと考えることができます。
また、1連5〜6行目と2連5〜6行目に同じフレーズがあります。
「くり返しくり返し朝がきて / くり返しくり返し春がきて」
このことから、「木」は切られても再び成長しています。
つまり、「くり返し」が起きていることになります。
そして、「おじいさん」は今は体が動かなくなっているが、今までは「木」と共に「くり返し」を一緒に感ずることができたと感じていると思われます。
上記のことから、線部4はプラスの感情であると考えられます。
マイナスの感情である「イ、おびえている」「エ、同情している」「オ、悔やんでいる」は「×」となります。
残りは「ア」「ウ」ですが、
「ア」は「おじいさん」は高齢で、今後再び元気になることは考えにくいため、「×」。
「ウ」は「生長する木に一体感をおぼえ」と書かれています。
これは、線部4「木といっしょにどこまでも」を言いかえたものと考えられるため、「○」。
(模解)
「ウ」
【問5】
(解説)
この設問では、「どのようなことがわかりますか」と問いているため、答え方は、「〜こと」になります。
線部5の前に「木は実を屋根に落として / おじいさんを呼んだ」(5連2〜5行目)と書かれています。
ここでは、「木」は「おじいさん」に反応してもらうために、実を落とすことによって呼んだが、「おじいさん」の反応はなかったと考えられます。
ただし、「おじいさん」の反応はなかった、という直接的な表現はありません。
「おじいさん」の反応はなかったということは、「おじいさん」は亡くなっていた、ことがわかります。
その後線部5で、「木」は枝で「窓をつきやぶり」、「根で家をかたむかせ」ています。
これは、「木」が「おじいさん」の死を受けて、嘆き悲しんでいる様子が伺えます。
解答例は以下となります。
(解答例)1行20字程度
すでに亡くなってしまったということ。(18字)
【問6】
(解説)
この設問も選択肢の中から選ぶ問題です。
まず、「ウ」では、「ノコギリという道具の重要性」についてはまったく書かれていないので、「×」。
次に「エ」ですが、この詩では「人の人生」だけを表現しているわけでないので「×」。
「ア」「イ」「オ」を詩の全体から、「木」と「おじいさん」を対比すると以下になります。
「木」:「おじいさん」に切られたら、「切り株から芽を出し」て成長した。
「おじいさん」:「おじいさん」が亡くなったら、「北の町から若者」がやってきた。
つまり、この詩は、「生命と時の流れ」を表現しているものと考えられます。
また、「木」と「おじいさん」のつながりをも表現しているものと考えられるため、最も適するのは、「オ」と考えれらます。
(模解)
「オ」
さて、どうだったでしょうか?
「詩の読解」は、一字一字丁寧に読んでいけば必ず解くことができます。
しっかり頑張っていきましょう!



