「平成30(2018)年度・灘中二日目・大問三・詩」の解説

篠田啓彦

篠田啓彦

テーマ:詩の読解

みなさん、こんにちは。

国語専門オンライン学習塾 啓理学舎の篠田です。

今回は、「平成30(2018)年度・灘中二日目・大問三・詩」の解説をさせていただきます。

題名は「三日箸(みっかばし」(壺坂輝代)です。

正月箸


【詩の構成】


問題を解く前にこの詩の構成について、お話させていただきます。
これをわかっていると問題を解きやすいからです。

1〜3連:大晦日(1連3行目)

4連:元旦の朝(4連1行目)

5連:小正月(5連1行目)

6〜7連:いま(6連1行目)

上記を見て分かるように、時系列で詩は構成されています。

「1〜3連」「4連」「5連」はお正月前後の日ごとの時系列ですが、「5連」「6〜7連」は、10〜20年後のことのようです。

また、「1〜5連」のときの「わたし」は小学生ぐらい、「6〜7連」は成人してからのことが書かれているようです。

このあたりを頭に入れて問題を問いていきましょう!



【問1】


(解説)

この設問は、線部1を抽象的に言いかえなさい、という問題です。
そして、設問のA〜Dの空欄を埋めることで言いかえなさい、という問題です。

まずは、線部1の「正月さま」は何か、ということですが、

2連1〜2行目には、「正月さま」の材料がある場所(ちかくの山)と材料(樫の木の新しい枝)が書かれています。

3連には、「正月さま」の作り方が書かれています。
また、3連2行目から、「正月さま」は「箸」だとわかります。

4連4〜5行目には、その「箸」の使い方が記されています。

5連2行目には、「三日箸」と書かれているため、その「箸」は「三日箸」だとわかります。

ですから、解答例は以下になります。


(解答例)

A:ちかくの山

B:三日箸

C:樫の木の新しい枝

D:持ち帰っ



【問2】


(解説)

この設問は、「わたし」の気持ちを選択肢の中から選ぶ問題です。

各選択肢には、読点が1つあるので、前半と後半に分けて考えます。
ただし、「ウ」のみ、読点ではなく、「祖父が失敗しないか」の前で区切って考えます。

後半部分には、「気持ち」とその気持ちの原因または内容が書かれています。
また、前半部分には、正月を祝う神様について述べられています。

「ア」:前半部分には「初めて見るので」と書かれていますが、
1連1〜2行目に「正月さまを迎えに行くぞ / 祖父の恒例の声を待っている」と書かれています。初めてではいと考えられるため、「×」。

「イ」:前半部分に「正月を祝うためにまつる神様は本当はいない」と述べられていますが、2連2行目に「どんなかたちで正月さまが姿を見せるのか」と書かれているため、「×」。

「ウ」:後半部分に「祖父が失敗しないか、はらはらしている」と書かれていますが、1連2行目に「祖父の恒例」と書かれているため、「祖父」が失敗するとは考えにくいと思われます。よって、「×」。

「オ」:前半部分に「神様をあてにせず」と書かれていますが、詩の中にそのような表現はないため、「×」。

よって、答えは下記となります。

(模解)

「エ」



【問3】


(解説)

この設問は理由を問いています。そのため、解答の語尾は「〜から」となります。

答えの理由は2つあると考えられます。

⑴ 樫の木の新しい枝だから作っているため。(2連2行目)

⑵ 大晦日(12月31日)に作り、元日(1月1日)に使い初めているため。
(4連1〜3行目)

よって、解答は以下となります。


(解答例)1行20字程度

新しい枝で大晦日に作り、元日に使い始めた箸だから。(25字)



【問4】


(解説)

この設問は、「これはどうすることですか」と問いています。

線部3を抽象的な表現で言いかえる問題で、語尾は「〜こと」としなさい、ということです。

線部4「三日のあいだ」とは、4連1行目より「正月の三日間」と言いかえることができます。

また、線部4の「染み込ませる」という言葉の意味は、大きく分けて2つの意味があります。

⑴ 物理的な意味で「実際にしみこむ」という意味です。

例)布にインクを染み込ませる。

⑵ 比喩的な意味で「心・意識にしみこむ」という意味です。

例) 祖母の言葉が胸に染み込んだ。

この問題の答えも上記のように2つの意味が含まれると考えられます。

⑴ その箸を使って、正月にお雑煮やおせちを食べることによって箸に入れ込む。

⑵ 一年間の願いを箸に入れ込む。


(解答例)3行60字程度

特別な箸を使って正月の三日間にお雑煮やおせちを食べることによって、一年間の願いを箸に入れ込むこと。(49字)



【問5】


(解説)

この設問は、「小正月」を5連の内容を参考にして、行事の目的と内容を問いている問題です。

この問題の解答は「〜の行事」となります。

「小正月」の一般的な意味を紹介しておきます。

「小正月」とは、1月15日に行われる行事で、「大正月」(元日を中心とした行事)が終わった後に行われるため、「小正月」と呼ばれます。
一年の豊作、健康、家庭円満などを祈る行事として行われてきました。

この設問は、「この連(5連)の内容を参考にして答えなさい」と書かれています。

つまり、5連の内容とプラスαで答えなさいという問題です。

5連2行目より「正月飾りを焼く」ことがわかります。
また、5連4行目に「ねがいごとが天に定住するように」と書かれているため、正月飾りを焼いて願いごとがかなうように祈る」考えられます。

この設問に従って記すと次のようになります。

「何のために(目的)」1年の願いごとを神様に届けるために
「何をする(内容)」正月に使ったお飾りなどを燃やす

となります。

解答例は以下になります。


(解答例)2行40字程度

1年の願い事を神様に届けるために、正月に使用したお飾りなどを燃やす行事。(36字)



【問6】


(解説)

この設問は「なぜですか」と理由を問いているため、答え方は「〜から」または「〜のため」となります。

線部6の前連(6連)をしっかりと見てみましょう。

6連4行目の「心入れ」の意味は、次のように2通りです。

○心がけ、心遣い、好意

○熱中、心を打ち込むこと

また同じく「呼び覚ます」の意味は、

○眠っている人に声をかけて目覚めさせること。

○忘れていた記憶や感動をよみがえらせること。

です。

「心入れを呼び覚ましながら」を抽象的に言いかえると、

「(祖父の家族への)心遣いを思い出しながら」

となります。

また、設問には、「現実には「祖父」は亡くなっていると思われます」と書かれています。

亡くなった祖父が来訪したと感ずるためには、祖父と同じような気持ちになったと考えられます。

よって、解答例は以下となります。


(解答例)2行40字程度

家族のために三日箸を作ることで、祖父の家族への心遣いを感ずることができたから。(39字)



さて、どうだったでしょうか?

「詩の読解」は、一字一字丁寧に読んでいけば必ず解くことができます。

しっかり頑張っていきましょう!

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篠田啓彦
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篠田啓彦(塾講師)

国語専門オンライン学習塾 啓理学舎

保護者の方にお子さまとの接し方等をアドバイスさせていただくとともに、国語が苦手なお子さまでも特別な学習方法で真の「国語力」が身につき、さらに各教科の成績向上、中学・高校合格へ導いている。

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