平成27(2015)年度・灘中二日目・大問三・詩」の解説
みなさん、こんにちは。
国語専門オンライン学習塾 啓理学舎の篠田です。
今回は、「令和2(2020)年度・灘中二日目・大問三・詩」の解説をさせていただきます。
題名は「台風」(池井昌樹)です。
問1
(解説)
この設問は線部1「・・・・・」の様子を問いています。
そのため、解答は、「〜の様子」になります。
1連1〜2行目は、「ちち」の言葉であるとすると、2連1行目「そうですね」は誰の言葉でしょうか?
それは「はは」の言葉と考えられます。
その理由は、2連3行目「ちちははがかたらっている」と書かれているからです。
1連3行目前後をまとめてみると、下記になります。
1連1〜2行目 :「ちち」の言葉。「たいふう」が過ぎたことを言っている。
1連3行目 :「・・・・・」
2連1行目 :「はは」の言葉。「ちち」の言葉に同意している。
2連2〜3行目 :「ひくいこえ / ちちははかたらっている」
つまり、1連3行目の「・・・・・」は、ははが本当に「たいふう」が過ぎ去ったかどうか確認をしている様子を表していると考えられます。
よって、解答例は以下となります。
(解答例)2行40字程度
「はは」が台風が通り過ぎ去ったかどうかを、外の気配を感じて確認している様子。(38字)
問2
(解説)
この設問は、理由を問いているため、解答は「〜のため」または「〜から」となります。
線部2の後の2連4〜7行目を見てみると、
「あけがたちかく / ふとんのなかで / それをだまってきいている
/ おさないぼくは〜」
なっています。
「ちちはは」の近くで「ぼく」(息子)が寝ていることがわかります。
「ちちはは」はその息子を起こさないように「ひくいこえ」で話していると思われます。
よって解答例は次のようになります。
(解答例)1行20字程度
寝ているむすこを起こさないようにしているから。(23字)
問3
(解説)
線部3「きえてしまった」、線部4「いってしまった」は比喩表現です。
これらを抽象的な表現に言いかえなさい、という問題です。
まず、線部4「いってしまった」は「ちち」が亡くなってことを表す表現だと考えられます。
なぜなら、2連9行目に「しせつのははともながくあわない」と書かれているので、「ちち」は亡くなり、「はは」は老人施設に入っていると思われます。
また、線部3「きえてしまった」のは「おさないぼく」です。
2連10行目「つまはとなりで」と書かれているので、「ぼく」大人になって結婚していることがわかります。
つまり、「ぼく」は亡くなったのではなく、大人になったため、「おさないぼく」ではなくなったことを示すと考えられます。
解答例は以下となります。
(解答例)それぞれ1行20字程度
線部3:幼かった「ぼく」が大人になったこと。(18字)
線部4:「ちち」がすでに亡くなっていること。(18字)
問4
(解説)
まずは、選択肢「イ」は「〜うれしさ」となっています。
「うれしさ」を表現しているところはどこにもないため、「×」となります。
また、選択肢「ア」は、「〜悔しさ」と表現しているところはないため、「×」です。
選択肢「ウ」は、「妻との生活」は「急に失って」いないため、「×」です。
選択肢「オ」は、「母親は早く亡くし」ていないため、「×」です。
選択肢「オ」ですが、
2連11行目に「このこえをきくもうだれもいない」と表現しています。
「このこえ」とは、「ちちはは」の声だと考えられます。
「ちち」は亡くなり、「はは」は老人施設に入っているため、昔のように「ちちはは」と過ごすことができない寂しさを表現していると考えられます。
よって正解は、「エ」となります。
(模解)
「エ」
問5
(解説)
この設問は、「場面」と問いているので、「〜の場面」といたします。
まずは、線部6の「なごり」の意味を考えます。
「ものごとが過ぎ去った後に残る気配やしるし」です。
また、線部6の「そようですね」は2連1行目と同様に、「はは」の言葉です。
つまり、昔「おさないぼく」が聞いた「はは」の言葉が、名残惜しいと今の「ぼく」が感じている、ということになります。
解答例は以下になります。
(解答例)2行40字程度
息子が幼い頃に聞いた母の言葉を思い出し、母親の気配をなつかしんでいる場面。(37字)
さて、どうだったでしょうか?
「詩の読解」は、一字一字丁寧に読んでいけば必ず解くことができます。
しっかり頑張っていきましょう!



