なぜ倒産?!その③

鈴木崇史

鈴木崇史

テーマ:経営の基本

こんにちは、中小企業診断士の鈴木崇史です。

引き続き『なぜ倒産』(日経トップリーダー編)の事例を通じて研究を深めていきたいと思います。

再掲:「賢者は歴史に学ぶ、愚者は経験に学ぶ」

他者の失敗例の蓄積から学んでいきましょう。

CASE③ナカテック(産業機器の製造・販売)

本章の題名は『脱3Kの夢掛けた新工場の挫折』とあります。
従業員の快適環境を実現した工場です。屋上庭園もあったそうです。
福利厚生の充実。素晴らしいですね。

年商7億円の企業がこの工場の建設に14億円を投じたそうです。

その社長は倒産後にも、新工場の建設に後悔はないと述べています。

従業員が働きやすい環境とは、豪華な設備でしょうか、オフィスでしょうか。

たぶんそんなものではないのでしょう。

休みをとりやすかったり、リモートワークが出来たり、
提携の保育園があったりと

豪華な不動産ほどお金をかけずに従業員に満足してもらうことはできたのだと思います。
記事には記載はありませんがこの「夢の新工場」の建設について従業員の意見は聞いたのでしょうか・・・

この手の話で金融機関の話をうのみにしてしまってはいけません。
私も銀行出身だからこそよくわかります。
彼らはお金を貸すのが仕事なのです。

また、この企業にとどめを刺したのは92年に顧客である大手2社からの発注がパタリと止まったことだと述べられています。
その後の新規開拓が思うようにいかなかったようです。

本書では①新工場の建設と②大手顧客との取引停止③その後の自社ブランドの新製品の失敗を倒産の要因としています。

しかし、もっと重要なのは大手2社との取引が順調な時期から新規顧客の開拓や自社ブランドの開発を行っていなかったことではないでしょうか。

好調な業績に胡坐をかいていたといっては言いすぎでしょうか?

本記事には、大企業との取引がほとんどなくなると、当社の信用も失墜したと述べられています。

本事例の教訓では大手取引先があるうちに、別の顧客開拓をすることの重要性を示唆してくれていると感じます。

この事例に登場するのは社長と金融機関くらいです。
意見を言ってくれる経営幹部はいなかったのでしょうか・・・新工場のことといい、経営者の一人相撲に見えてしまいます。

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鈴木崇史
専門家

鈴木崇史(中小企業診断士・経営革新等認定支援機関スモールM&Aアドバイザー)

合同会社SDGs経営サポート

銀行融資担当・経営計画担当の社長秘書・店舗責任者などの経験を持ち、経営から現場までのリアルを知る専門家。現場感を持つからこそ、優れた計画書が作れる。ものづくり補助金・事業再構築補助金の採択率は93%。

鈴木崇史プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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