相続税の負担が減らせるかも?終身保険の活用法や注意点を解説
マイホームの取得には、多額の資金が必要となります。そのため自分自身で積み立てた預貯金や住宅ローンの借り入れに加えて、親や祖父母から資金を提供してもらって購入資金を準備する方もいます。
しかし、たとえ親族であっても、そのまま資金の提供を受けるだけでは、高額な贈与税が発生しかねません。そこで活用すると良いのが「住宅取得等資金贈与の非課税措置」です。
本記事を読んでいただくと、住宅取得等資金贈与の非課税措置の内容や要件、申告方法などがわかります。
住宅取得等資金贈与の非課税措置とは?
住宅取得等資金贈与の非課税措置とは、父母や祖父母などの親族から資金提供を受けて住宅を新築したり増改築したりする場合に、一定額までの贈与が非課税となる制度です。
両親や祖父母から資金の提供を受けて自己資金額を増やすと、住宅ローンの借入額が減って返済負担を軽減できます。
例えば、住宅ローンの借入額が4,000万円、金利1.3%、返済期間35年、返済方法が元利均等方式(毎月の返済額が一定)である場合、毎月の返済額は約11.9万円、利息総額は約981万円です。
もし親から1,000万円の資金提供を受けて借入額を3,000万円に減らせると、毎月の返済額は約8.9万円(▲3万円)、利息総額は約736万円(▲245万円)に減額できます。
しかし年間に110万円を超える財産が贈与されると「贈与税」の課税対象となってしまいます。贈与額が1,000万円である場合、贈与税額は約231万円です。
住宅ローンの返済負担を軽減できても、高額な贈与税が課せられてしまっては金銭的なメリットがあまり得られません。そこで住宅取得等資金贈与の非課税措置を適用すると、親から資金提供を受けた際に、高額な贈与税の課税を回避できる可能性があるのです。
住宅取得等資金贈与の非課税措置の非課税額
非課税措置の対象となる贈与額は、購入する住宅に適用される消費税率や住宅の種類によって以下の通り異なります。
省エネ住宅等 左記以外の住宅
消費税10%適用 1,500万円 1,000万円
上記以外 1,000万円 500万円
※出典:国税庁「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」をもとに作成
消費税10%が適用されない例としては、個人間で中古住宅を購入するケースが挙げられます。売主が個人である中古住宅を購入する場合、不動産会社に仲介してもらっても消費税はかかりません。なお売主が業者ある場合は、消費税10%が課せられます。
省エネ等住宅とは、以下の省エネ等基準のいずれか1つに当てはまる環境性能の高い住宅です。
1. 断熱等性能等級4若しくは一次エネルギー消費量等級4以上である
2. 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上若しくは免震建築物である
3. 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上である
※出典:国税庁「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」をもとに作成
例えば、消費税10%が適用される省エネ等住宅を新築した場合、1,500万円と贈与税の基礎控除額である110万円を合計した1,610万円までの贈与が非課税となります。
なお住宅取得等資金贈与の非課税措置を受けるためには、2021年(令和3年)12月31日までにマイホームを新築する契約や売買契約、増改築契約を結んでいなければなりません。
住宅取得等資金贈与の非課税措置を受けるための要件
住宅取得等資金贈与の非課税措置は、資金の提供を受ける人(受贈者)と取得する住宅が、それぞれ要件を満たす必要があります。
◯受贈者の主な要件
• 資金を提供する人の子や孫(直系尊属)である
• 資金の提供を受ける年の1月1日時点で20歳以上
• 合計の所得金額が2,000万円以下
• 配偶者や親族など一定の関係がある人から住宅を取得していないこと など
◯住宅の主な要件
• 取得する家屋の床面積が50㎡以上240㎡以下で、その半分以上が受贈者の居住用
• 取得するのが中古住宅である場合、築20年以内(マンションをはじめとした耐火建築物の場合は25年以内)または一定の耐震基準を満たしている など
※出典:国税庁「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」をもとに作成
なお資金の提供を受ける人の合計所得金額が年間1,000万円以下である場合、取得する家屋の床面積の要件が、40㎡以上240㎡以下に緩和されます。
続きを見てみる → 住宅取得等資金等贈与の非課税措置の申告方法と必要書類