“買う”より“整える”──家族経営がM&Aを恐れないために
売上が思うように伸びない。
支払いの予定が頭から離れない。
家族の顔を見ると、余計に言葉が出なくなる。
そんな夜に、
「もう、やめた方がいいのかもしれない」
という考えが浮かぶことがあります。
この言葉は、
突然出てくるようでいて、
実は少しずつ積み重なった疲れの結果でもあります。
「やめたい」のではなく、「限界かもしれない」と感じているだけかもしれません
多くの場合、
この言葉の正体は
「会社をやめたい」ではありません。
* これ以上、迷い続けるのがつらい
* 正解が分からない状態が苦しい
* 誰にも相談できないのが限界
そうした気持ちが、
一つの言葉にまとまって出てきているだけ
ということも多いのです。
判断を急いでしまうときの共通点
「やめるかどうか」を
強く意識し始めたとき、
多くの社長に共通していることがあります。
それは、
* 疲れている
* 一人で抱えている
* 選択肢が二つしか見えていない
という状態です。
この状態で出した判断は、
後から振り返ると
「急ぎすぎていた」と感じることも少なくありません。
「続ける」か「やめる」か、その前に整理したい3つの現実
決断を下す前に、
一度だけ、次の3つを分けて考えてみてください。
① 事業の問題なのか、体力の問題なのか
数字の問題なのか、
心身の疲労なのか。
この二つは、対処の仕方がまったく違います。
② いますぐ判断が必要なのか
多くの決断は、
「今夜中に答えを出さなくていい」ものです。
③ 誰にも話していないことは何か
口に出していないことほど、
判断を重くします。
「間」の選択肢を持つという考え方
会社を
* 続ける
* やめる
この二択で考えると、
どちらを選んでも、
大きな負担を背負うように感じてしまいます。
でも実際には、
その間に、
たくさんの選択肢があります。
* ペースを落とす
* 規模を縮める
* 役割を変える
* 誰かに一部を任せる
これらは、
決断を先延ばしにするための逃げではなく、
考えるための時間を確保する選択肢です。
判断は、「整理が進んだあと」にやってくるものです
良い判断は、
気合いや覚悟から生まれるものではありません。
* 状況が整理され
* 数字が少し見えて
* 気持ちが落ち着いた
その延長線上に、
自然と見えてくるものです。
無理に答えを出そうとしなくても、
構いません。
もし、誰にも相談できない状態に戻ってしまったら
ここまで読んで、
それでも
「まだ整理がつかない」
「誰にも話せない」
と感じることがあるかもしれません。
そんなときは、
連載の最初の記事に立ち返ってみてください。
連載①のご案内
家族経営では、
誰にも相談できず、
一人で抱えてしまうことが少なくありません。
その状態に気づいたとき、
最初に整理してほしいことを
連載①でまとめています。
① 家族経営で「誰にも相談できない」と感じたときに、最初に整理したい3つのこと



