日繰りが「会社と家計の橋」になる。 ー自分でつけるから整う(日繰りで整える、家族経営の台所(第8回))

平岡誠司

平岡誠司

テーマ:経営のモヤモヤをワクワクに(おかね編)

家計簿感覚でできる、冬の資金繰り。― 日繰りで整える、家族経営の台所(第8回)

家族経営では、
会社のお金と家計のお金が完全に分かれる日は少ないかもしれません。

・家計から会社に資金を補助する
・会社から生活費を出す
・家族が経費を立て替える
・会社の支払いを家計口座で行う

こうした“行き来”は、
家族で営む商いでは自然なことです。

しかし、冬の資金繰りが厳しくなる時期には、
この行き来が増えて「どこからどこへ流れたのか」が見えにくくなりがちです。

そこで役に立つのが、日繰りです。

日繰りは、お金が混ざることを責めるためのものではなく、
会社と家計をやさしく橋渡しするための道具です。

1. 書き方はどの形式でもよい

大切なのは「自分でつけること」

日繰りの形式は自由です。

・ノートに手書き
・Excelでシンプルな表
・スプレッドシートで色分け

どれを選んでも問題はありません。

大切なのは、
自分で数字を書き、
自分で確認することです。

形式にこだわる必要はなく、
「続けられる形」が最も正しい選択です。

2. 家計からの補助・家計への戻しが整理される

家族経営では、
家計と会社の間に小さなお金の往復が生まれます。

・今月は会社が厳しいから家計から支援する
・家計が苦しいから会社から少し戻す
・立て替えた分をまとめて精算する

家計と会社を完全に分けることは現実的ではありません。

しかし、
「何がどれだけ動いたか」
が分かれば十分です。

日繰りはその整理を助けます。

・家計からの入金(はいる)
・家計への出金(でる)
・その結果の残り(のこる)

この3つが書かれていれば、
家計と会社の関係が把握できるようになります。

3. 会社と家計の“距離感”をつかむことができる

日繰りを続けていると、
会社と家計の間のお金の動きに一定のパターンがあることに気づくことがあります。

・冬は家計からの補助が増えやすい
・春は比較的安定する
・特定の支払月に家計の負担が増える

こうした流れが見えるようになると、
必要以上に心配したり、
逆に無理して補助したりすることが減っていきます。

“どの程度寄り添うべきか”
“どのくらい距離を置いておくべきか”

家計と会社のちょうどいい関係が見えやすくなります。

4. 「橋渡し」ができると、判断が軽くなる

会社と家計のどちらも見えるようになると、
判断が驚くほど軽くなります。

・今月はどちらが支えればよいか
・どのくらい支援できるか
・家計を守りながら会社を回すにはどうするか

冬は特に、何をどう支えるか迷う季節ですが、
日繰りの一覧があれば
その葛藤が少しずつ整理されていきます。

橋渡しができている会社は、
無理なく冬を越える力がつきます。

5. 会社と家計をつなげるのは、専門知識ではなく“暮らしの感

専門的な経理処理よりも、
家計簿をつけてきた日常の感覚のほうが役に立つ場面が多くあります。

はいる
でる
のこる

という家計簿と同じ構造だからこそ、
家族経営のリアルに合うのです。

自分の手でつけた日繰りは、
自分の暮らしと商いの延長線上に自然に位置づけられます。

具体的な工夫は平岡商店サイトのまとめ記事で紹介しています

家計とのやり取りを書き込むときの工夫や、
Excelでの整理例など、より実務的な内容は
平岡商店サイトのまとめ記事「経理をワクワクに」で整理しています。

「読んでみたけど分からない」「これで合っているのか不安」という場合は、
お問い合わせページから気軽にご連絡ください。

次回(第9回)

冬を越えたあとが変わる。日繰りがつくる、小さな会社の未来の形

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Mybestpro Members

平岡誠司
専門家

平岡誠司(小規模事業者向け経営支援家)

株式会社平岡商店

経営者の実践経験を活かし、経理の見える化・日繰り・在庫管理を軸に、家族経営の経営管理の仕組みづくりを実行支援します。現場の気づきを経営判断につなげ、“らしさ”をいかした経営を一緒に育てていきます。

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