日繰りを「家族経営の共通言語」にする。 ー台所から始まる、やさしい経営の形 (日繰りで整える、家族経営の台所(第7回))

平岡誠司

平岡誠司

テーマ:経営のモヤモヤをワクワクに(おかね編)

家計簿感覚でできる、冬の資金繰り。― 日繰りで整える、家族経営の台所(第7回)

家族経営では、
経営する人、現場に立つ人、家計を支える人など、
立場によって見えている景色が少しずつ異なります。

特に冬は、
支払いの多さや先の見えにくさから、
家族それぞれが不安を抱え込みやすく、
会話がすれ違うことも多くなります。

そこで役に立つのが「日繰り」です。

日繰りは、
難しい言葉や専門知識を使わずに
家族みんなが同じ景色を確認できる、
家族経営ならではの“共通言語”になります。

1. 数字ではなく「流れ」で話せるようになる

経営の会話は、
数字の説明が中心になると途端に難しくなります。

しかし日繰りで書いているのは、
はいる・でる・のこる
という、とてもシンプルな情報です。

・今日どれくらい入ったか
・どれくらい出ていったか
・今いくら残っているか

この“流れ”を共有することで、
経営の会話が必要以上に難しくなることを防げます。

数字を正確に説明するより、
「こういう動きになっている」という話ができることが大切です。

2. 事実を共有すると、感情のズレが小さくなる

家族経営では、
忙しさや不安から、気持ちがすれ違いやすくなります。

特に冬は、
「きっと厳しいだろう」という予想だけが先走り、
話し合いが噛み合わなくなる場面も少なくありません。

しかし日繰りがあれば、
「実際にどう動いているか」を事実として共有できます。

・どこが苦しくなるのか
・あとどのくらい余裕があるのか
・どの支払いを優先すべきか

事実が共有できると、
感情のズレが自然と小さくなり、
会話が前へ進みやすくなります。

3. 家族が同じテーブルで話せるようになる

日繰りには複雑な形式が必要ありません。

・ノート1冊
・Excel1枚
・スプレッドシートのシンプルな表

このくらいの形式であれば、
家族の誰でも一緒に見ることができます。

書いた人だけが理解できるものではなく、
誰が見ても直感的に分かること。

これが、日繰りが“共通言語”として機能する理由です。

日繰りを囲んで家族で話す時間は、
経営の会議でありながら、台所での会話の延長でもあります。

家族経営に最も自然な形で、
必要な話し合いができるようになります。

4. 小さな会社ほど「共有」が力になる

家族経営は、
規模が小さいからこそ全員の動きが経営に直結します。

だからこそ、
同じ情報を共有するだけで一体感が生まれます。

・今どこに力を入れるか
・どの仕事を優先すべきか
・どの支払いを先に押さえるか

家族が同じ方向を向けると、
日々の判断も早くなり、
不安を分担できるようになります。

冬の資金繰りは「家族が協力できるか」が大きな鍵ですが、
その土台をつくるのが日繰りです。

5. 日繰りは「協力者」を増やす

日繰りによって状況を整理できている会社は、
外部の人にとっても安心感があります。

・従業員には状況が伝わりやすい
・税理士には相談しやすい
・銀行には説明がしやすい

特に冬の厳しい時期は、
協力を得られるかどうかで乗り越え方が変わります。

家族だけで抱え込むのではなく、
日繰りを通じて情報が整理されることで、
周囲の協力も得やすくなるのです。

具体的な工夫は平岡商店サイトのまとめ記事で紹介しています

日繰りの共有方法や、
ノートとExcelの使い分けなど、実務的な内容は
平岡商店サイトのまとめ記事「経理をワクワクに」で整理しています。

「読んでみたけど分からない」「これで合っているのか不安」という場合は、
お問い合わせページから気軽にご連絡ください。

次回(第8回)

日繰りが“会社と家計の橋”になる。Excelでもノートでも、自分でつけるから整う

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平岡誠司
専門家

平岡誠司(小規模事業者向け経営支援家)

株式会社平岡商店

経営者の実践経験を活かし、経理の見える化・日繰り・在庫管理を軸に、家族経営の経営管理の仕組みづくりを実行支援します。現場の気づきを経営判断につなげ、“らしさ”をいかした経営を一緒に育てていきます。

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