(最終回)経理はチームプレイ。未経験者でも出来る自計化で家族経営の守備力を鍛えるコツ「家族経営の経理コーチング(夏休み特集⑫)」
売上はあるのに資金が足りない…その原因と解決策とは?
長年続けてきた家族経営の小売店。売上は安定しているのに、なぜかいつも資金繰りが苦しい。税金や社会保険料、仕入れ代金、銀行返済などの支払いに追われ、自分の給料は後回し。そんな悩みを抱えていた経営者が、クラウド会計ソフト「会計freee」を導入し、経理の仕組みを見直すことで、安定した経営を取り戻した事例をご紹介します。
支援前:ドンブリ勘定で経営の全体像が見えない
この店舗では、日々の売上や支出をざっくりと把握する「ドンブリ勘定」で経営を続けていました。帳簿は手書きやExcelで管理され、現金の流れが見えづらく、税金や社会保険料の支払い時期になると慌てて資金をかき集める状態。経費削減をしても、なぜか手元に現金が残らない。経営の見通しが立たず、将来への不安が募っていました。
支援後:会計freeeで「見える化」された経営
会計freee導入後、以下の機能を活用することで経理が大きく改善されました:
- 【自動仕訳】銀行口座やクレジットカードと連携し、取引を自動で記録
- 【レポート機能】月次の収支やキャッシュフローをグラフで可視化
- 【請求書・領収書管理】紙の書類をデジタル化し、支出の記録漏れを防止
- 【家族との相互理解】クラウド上で常に最新の経営状況を共有し、改善のヒントを得る
freeeを使うことで資金繰りが楽になるわけではありません。しかし、freeeを日常的に操作し、販売管理システムと連携させながら、こまめにデータを手入れする習慣を続けたことで、資金繰りの「予測」ができるようになりました。
以前は、毎月のように資金繰りの窮地が押し寄せ、資金不足に気づくのはいつも直前。慌てて対応するしかありませんでした。今では、数週間先の支払い予定を把握し、早めに資金の手当てをすることが可能に。資金繰りが「上手になった」ことは間違いありません。
社員・家族で取り組む月次試算表と経営改善
会計freeeを活用することで、家族経営の店舗でも自分たちで月次試算表を作成できるようになりました。これをもとに、平岡商店のコーチングを毎月実施。営業終了後の限られた時間を使って、試算表の読み合わせ、前月の振り返り、決算予測、改善策の検討を継続することで、数字に対する意識が高まりました。
この取り組みを通じて、家族間のコミュニケーションも深まり、一体感が増したという声も。経営の数字を「自分ごと」として捉えることで、日々の業務にも前向きな変化が生まれました。
経営計画は「使ってこそ意味がある」──予定と実績の差が気づき
「どうせ計画通りに進まないから」と経営計画を作らない方もいますが、それこそが大きな落とし穴です。計画があるからこそ、実際の数字とのズレに気づき、原因を振り返ることができます。
この店舗では、毎月の試算表をもとに「予定と実績の差異」を確認し、なぜズレたのかを話し合うことで、具体的な改善策や対策を決めることができました。経営計画は、未来を予測するだけでなく、日々の行動を見直すための「気づきのツール」なのです。
まとめ:小売業でもできる!freeeを活かして経理と経営を見
「売上はあるのにお金が残らない」と感じている方は、まずは経理の見直しから始めてみましょう。freeeの活用と月次試算表の作成、経営計画の実践で、家族経営でも安定した資金繰りが実現できます。



