どこから手をつければ良いか分からない時、答えは現場にあります 〜金融機関と連携した加工食品業、家族経営の建て直し伴走支援の事例〜(家族経営の経理コーチング⑯)
家族経営のモヤモヤをワクワクにするビジネスストレングスコーチング。この連載では、家族経営や個人事業主の方に向けて、お金と上手に付き合うコツをわかりやすくお届けしています。
仕事の合間に読めるよう、専門用語はできるだけ使わず、実践的な内容を中心に構成しています。家族経営のお金の特徴を理解し、資金繰りを改善する実践的な手法をお伝えします。
前編、後編に分けた第六回。今日は後編です。日繰り表を“財務の見通し”としてどう使うかを解説します。皆さんの現状はいかがですか?後編が新たなヒントになるかもしれません。 前編とあわせてお読みいただければ幸いです。
日繰り表を財務分類ツールに
第五回まででご紹介した日繰り表は、今月、来月といった目先のお金の動きを把握し改善することには適していますが、振り返りや戦略立案にはもの足りない印象がありました。これらを前編でご紹介したように分類すると、次のような問いに対して考えることができるはずです。
残高Bの推移はどうなっていますか?
残高が減少、不足する月はありませんか?
減少、不足の要因はどこにありますか?
今のうちに出来ることはありませんか?
なぜ、予想が必要なのか?
コラムの第五回、計入制出(入るを計り出ずるを制す)の時にお話ししましたが「でる」「かえす」(給料、家賃、返済など)は予想しやすいですね。一方で「うる」はお客様次第、「かりる」は銀行交渉、家族の都合によりますので不確定要素が多いと思います。「はっきりしないのに予想して意味があるのか?」「どうせ予定なら、はっきりしてからやればよいのではないか?」「正確でない情報から予測を作ることは抵抗がある」。これまでご提案してきた家族経営の経営者、経理担当者から必ずと言っていいほど言われることです。
資金繰りの見通しをたてることが経営の基本です。
予想→予定→修正→確定→実行→振り返り。この流れで進めてみてください。言い換えるとPDCAサイクルです。まずは予想をざっくり立てながら、日々の事業を通じて徐々に精度を上げていき、実行後は振り返りと対策を行うのです。お金がない、いつもギリギリの方はこうした流れが習慣化されていないのではないでしょうか?。
PDCAが出来ていない中で資金調達をしても短期的にはしのげますが根本的な解決にはなりにくいのではないでしょうか?また、節税策も大切ですが、納税のためには資金が必要です。まずは資金繰りの見通しをたてる。家族経営、小規模事業者の経営の基本です。
天気予報を思い出してください。今や生活に欠かせない情報ですが、今日、明日の予報に加えて、週間予報、長期予報などを生活の中に取り入れることはありませんか?それと同じなのです。‘’天気予報があるから傘を持つ”。それと同じように“お金の予報があるから、より安心して未来を迎えられる”。そんな習慣を日繰り表で作ってみませんか?
お金に色をつけると見通しが明るくなる
小さな資本を回す家族経営や小規模事業者にとって資金繰りは生命線。事業持続性を確保するために最優先で取り組むべき事項です。資金繰りのリスクを軽減するために最悪を想定し、工夫を重ねて「よりよく壊す」ことをお伝えしてきました。 目先のやりくりに終われていた時と比べて、残高が少ない、足りない時期が予め把握できるようになるのです。
資金繰りに休みはありません。いかに先を読み、早めに手堅く備えをするか?小規模だからこそ丁寧に見通しをたて早めに対策を打つ必要があるのです。 時間のかかる作業と思われるかもしれませんが、お金の動きを可視化し、先行きの見通しを予想できる羅針盤であり、課題と改善点を気づかせてくれる財務分析ツールになるのです。自分たちのお金の回し方を丁寧に記録し、色をつけて予想し、振り返りを繰り返す。お金に色をつけると見通しが明るくなるのです。
次回は日繰り表を銀行、取引先との対話ツールに使う方法をご紹介します。試算表、決算書が読めない、数字が苦手でも説明できるプレゼンテーションのコツです。お楽しみに。
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