どこから手をつければ良いか分からない時、答えは現場にあります 〜金融機関と連携した加工食品業、家族経営の建て直し伴走支援の事例〜(家族経営の経理コーチング⑯)
家族経営のモヤモヤをワクワクにするビジネスストレングスコーチング。このコラムでは、家族経営、個人事業主さんのような小規模な事業を経営する方向けに、お金と上手に付き合うコツを分かりやすくお伝えしていきます。
いま現在「お金がない」、「いつもギリギリ」、「見通しが立たない」、「とにかく数字が苦手」といった経営に携わっている方、これから起業や事業承継を考えている方、迷っている方、「今さら聞けない」といった方にもお勧めします。
補足)資金調達、投資、補助金、助成金、節税等といった話とは異なり、家族経営、個人事業の方が商いを長く続けていくための豆知識、コツをお伝えしていきたいと思っています。予めご了承ください。
目次
「家族経営のお金」三つの特徴(前回のおさらい)
さて、第一回目では家族経営のお金の話をする上で、三つの特徴があることをお伝えしました。一つめは小額で経営の変化の影響を受けやすく「すぐなくなる」ということ。二つめは個人のお金と事業用のお金が混在する「どんぶり勘定」であること。三つめは出資や融資を受ける額は小さく、自分のお金だけでなく、取引先、社員、世間から形を変えてお金を「借りて回している」ということをお伝えしました。
他にも特徴はあるかと思いますが、本コラムでは家族経営、小規模事業者といった小さな会社がお金と上手に付き合うコツをお伝えすることを目的としており、前述のようなまとめ方をしております。ご了承ください。
お金を回すってどういうこと?
家族経営にとって「お金を回す」とはどういうことでしょうか?普段の生活でお金を扱わない日はほとんどありません。休業日と言えども水道光熱費、家賃などは発生しますし、銀行口座やクレジットカードで様々な取引が決済されていますね。資金繰りをやったことのない方には実感が湧きにくいかもしれませんが、思った以上に家族経営の資金繰りは繊細で難しいです。一般論では学びの機会はたくさんありますが、実際に資金繰りをやってみるとひと時も気が休めないものです。「やりくりする」といった言葉には少し馴染みがあると思いますが、景気や市場、取引先の変化、近隣に競合店が出来た、工事が始まって人の流れが変わったなど、ちょっとした変化によって資金繰りも刻々と変化します。それをどのように把握するのか?ということです。
どう苦しいのか見える化できてますか?
答えは簡単です。銀行通帳を思い出してください。日付、摘要、金額、残高が記載されていますね。お金を回すとは、銀行通帳と同じように家族経営で扱うお金を記録し把握することなのです。それだけのこと?と思われるかもしれませんが、実はこれが基本です。
お金がない、いつもギリギリで回っている、不安で見通しが立たないといった不安感や悩みを抱えている家族経営、小さな会社の経営者、経理の方にぜひとも知っておいていただきたいのですが、資金繰りを良くしたい、楽になりたいと思うのであれば、まずすべきことは「どう苦しいのか」を見える化することなのです。いくら資金をつぎ込んだところで資金繰りが見える化されていなければ、先行きの見通しや不安感は解消されません。私は家族経営の事業再生、経営再建のお手伝いをすることが多いのですが、資金繰りが苦しい会社の多くは残念ながら資金繰りが把握しきれていないのが実態ではないでしょうか?
”三つの『る』”で回ります
もう少し詳しく説明します。お金の動きを把握するためには、次の情報を記録していくことが必要です。一つ目は「入金額」です。主に銀行通帳、お店のレジなどが中心かと思いますが、毎日の入金額(はいるお金)を正しく記録することです。二つ目は「出金額」(でるお金)です。先ほども触れましたが、毎日さまざまな支払いが行われていると思います。おそらく、入金に比べると多様な決済方法があると思います。お店のレジ、銀行通帳、クレジットカード、電子マネー、ご経営者や経理担当者、社員のお財布から立て替えて支払うお金が正しく記録されておく必要があります。そして最後は「残高」(のこるお金)です。
入金(はいる)、出金(でる)、残高(のこる)
ここでお気づきになった方もいらっしゃるかもしれませんが、どこまでの範囲で入金、出金、残高を記録すればよいのでしょう?ここに家族経営のお金の特徴をふまえたお金の管理方法の難しさがあります。個人的なお金をほとんど利用することのない企業であれば簡単です。会社名義の銀行預金、現金などの口座の合計を管理すればよく、それは会計帳簿ともほぼ一体化すると思います。一方、どんぶり勘定で回している家族経営の資金には経営者自らが工面したお金も多く含まれています。多くというのは大袈裟かもしれませんが、そもそも少額なお金が回っていますので、ポケットマネー程度のお金でも十分効果があるものです。具体的な手法は後編で改めてご説明しますが、ここでは、入金(はいる)、出金(でる)、残高(のこる)を正確に把握することがお金の動きを把握し、お金を回すことにつながることを知っておいてください。こうした基本が整えばお金の流れが見える化され、日々の判断がぐっと楽になります。次回は”三つの『る』”の効果についてお話しします。
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