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猪野由紀夫

介護福祉事業の利益拡大を応援する経営コンサルタント

猪野由紀夫(いのゆきお) / 税理士

DCC株式会社

コラム

排泄介護ロボットの導入で、介護者の心理的負担を大きく軽減

2020年1月22日

テーマ:介護

コラムカテゴリ:医療・病院

(概要)
生活する上で必要不可欠な生理現象である排泄の介護は、とても重要な項目です。そして排泄介護には、介護者、要介護者の両方にとってデリケートな問題を含んでいるとも言えるでしょう。
介護において重要かつ課題の多い排泄介護の負担を少しでも軽くする。そのためにあるのが排泄介護ロボットなのです。

(本文)
介護側と介護される側の心理的負担
排泄介護でいちばん考えなければならないことは、介護者と要介護者両方の心理的負担についてでしょう。

<介護の負担>
排泄介護の内容は、要介護者の身体状況によって変わってきます。トイレへの移乗程度で済むのならまだ負担も少ないでしょう。

・おむつの交換
・排泄時の見守り
・排泄が間に合わずに汚れたシーツや衣服などの着脱と処理
・排泄後の拭き取りとその後の確認

上記のように介護の状況が進むにつれて、匂いや排泄物を目の当たりにする心理的負担も大きくなっていきます。

さらに介護姿勢ではリフティングやズボンなどの上げ下ろし、後始末時の姿勢など身体的負担も加わってきます。
また、家族が介護をする場合には、自分の親などの排泄に関わることはショックも大きいでしょう。

<要介護者の負担>
健康だった若い頃には何も考えずにできた排泄が、年をとったことでできなくなってしまう。これは本人にとって屈辱とも言えるショックを与えます。
加えて、自分ひとりではできない排泄を誰かに手伝ってもらう申し訳なさと、介護者が家族の場合には恥ずかしさも大きいものです。さらに尿便失禁をした場合には、自尊心を深く傷つけることもあります。

排泄介護のポイント
前述したように、心理的負担の大きい排泄介護ですが、介護する際には気をつけたいポイントがあります。

【それぞれの要介護者に見合った排泄介護】
これはどんな介護にも言えることですが、介護者される人の状態によって介護内容を考えることが大切です。
「寝たきりなのか」「身体の一部が動かないのか」「自分でできる行動内容はどれくらいなのか」など、障害の進行度に合わせた段階的な介護が必要です。

特に排泄介護は、その仕方によって介護される人の生活が変わってしまうこともあるので注意したいところです。

<排泄のパターンを覚える>
要介護者の排泄パターンはどんなものなのか? 食事や水分を取った時間帯と量、排泄したくなる時間帯や尿便の量、漏れなどの失禁があるならその前後の様子などを記録してパターンを覚え、その要介護者に見合った介護をします。

また、身体に重度の障害のある人は別ですが、そうではない場合にはおむつの使用は控えて、なるべく自分自身で排泄をさせるように介護することも重要です。

<要介護者の体調を整える>
要介護者のお腹の調子を整えることも、大切な排泄介護のひとつです。食事内容の工夫や、運動、マッサージなどをして、決まった時間帯に排泄ができるように誘導することも心がけたいところです。

ただし、排泄回数を減らすために食事内容や水分の摂取を減らすようなことは、逆に要介護者の体調を悪化させることにもなるので厳禁です。


<排泄するための環境を整える>
トイレまでの距離が遠かったり廊下が暗かったり、便器などが使いにくかったりすると、要介護者も排泄することに拒否反応を起こしてトラブルの元になります。

自分で排泄をしようとする気持ちを失わないためにも、排泄の環境を整えることも介護のひとつとです。

排泄介護ロボット導入の基本的なメリットは、この環境を整えることにもあると言えるでしょう。

排泄介護ロボット導入によるメリット
介護者と要介護者の心理的、身体的負担の大きい排泄介護を、少しでも軽減してくれるのが排泄介護ロボット導入のメリットです。

排泄介護ロボットは、現在では排泄にかかわるさまざまなシーンを想定したタイプが作られていて、介護施設だけではなく、一般家庭で使える種類も増えてきています。
要介護者の状態に合わせた排泄介護ロボットを導入することで、日々の生活の中での不安や負担を少しでも減らすことができるでしょう。

<排泄介護ロボットの主な種類>
排泄介護ロボットの種類は、ベッドのある室内で排泄ができるものをメインに、要介護者の尿意などの関知や排泄の動作の支援、寝たきりの人がベッドの上で排泄できるものなどがあります。

・次世代ポータブルトイレ式
自力でトイレまで行くことが難しい人向けです。
往来のポータブルトイレとは違い、水洗や熱圧着方式によって排泄後の処理も可能です。匂いもなく、排泄物処理の手間が省けるので介護者の負担を大幅に軽減できます。
ただし、工事費やランニングコストがかかることがデメリットになります。

・全自動排泄処理支援式
寝たきりの人が、ベッドの上で排泄できるタイプの排泄支援ロボットです。
ベッドに寝ている要介護者の下半身に専用カップを装着、排泄を感知して自動で吸引、洗浄、乾燥までを行います。排泄物はタンクにたまるので、介護者がトイレに流して処理します。

対象者は限られますが、ベッドの上で排泄できるのでシーツや衣類を汚さずに済みます。

・排泄予測式
排泄のタイミングを知ることや自分で排泄の意思表示が難しい要介護者向けで、排泄を予測することで自立支援に役立ちます。
要介護者の排泄を膀胱の膨らみなどからセンサーで感知して、そのデータを元に排泄時期をお知らせ、失禁などを防いでくれます。

いわゆるトイレではないので、必要であれば介護者は要介護者をトイレまで誘導、排泄を介護することが必要です。

・排泄動作支援式
ある程度自分で移動できる人向けで、トイレなどで衣服の着脱の動作を支援します。要介護者が自分自身で、または介護者ひとりの支援があればトイレまで行って排泄することができ来ます。
移乗支援ロボットの排泄介護版といった排泄支援ロボットです。

<排泄介護ロボット導入時の注意点>
排泄介護ロボットを使うためには、介護者がその介護ロボットのできることや操作方法を覚える必要があります。

それゆえ、高齢の介護者などは「自分には使いこなせない」といった心の壁を作ってしまうことも少なくありません。

排泄介護ロボットの導入を考えているなら、介護者のサポートも重要になってくることを忘れてはならないでしょう。

この記事を書いたプロ

猪野由紀夫

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猪野由紀夫(DCC株式会社)

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