思い出箱が教えてくれたこと 〜Aさんからのお手紙〜

弘瀨美加

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テーマ:受講者さまの声



以前、私の高齢者向け整理収納講座を受講してくださったAさんから、とても心に残るお手紙をいただきました。

Aさんは、奥様が空へ旅立たれてから1年ほどたった頃、寂しさを胸に抱えながらも「このままではいけない」と思い、遺品整理に取りかかろうと決意されました。
けれども、いざ始めてみると、奥様の大切なモノがわからない、何から始めたらよいのかわからない・・・などなどで、手が止まってしまったそうです。

「これは奥様にとって大切なものだったのではないか」
「自分が勝手に手放してしまってよいのだろうか」

そんな迷いが積み重なり、心の中で悲しみが再びあふれてきたのだと教えてくださいました。

お子様と一緒に作業してみても、価値観の違いから喧嘩になってしまい、かえって辛くなることもあったそうです。そんなとき、私の講座を見つけてくださり、ご参加いただきました。

講座のあと、Aさんからお話をうかがい
「処分に迷う奥様の残されたモノは、まだご自身にとって必要なのかもしれません。無理に決めなくても大丈夫ですよ。“思い出箱”に入れて、時間をかけながら見直していきましょう。お子様と一緒に取り組むことで、思い出を分かち合うことができるはずです。」とお伝えしました。

それから2年近く。
Aさんはお子様と時には喧嘩もしながら、「思い出箱」を少しずつ見直し続けてこられました。整理の途中で、奥様との楽しかった日々や、共に乗り越えた出来事を思い出し、改めて心に刻むことができたそうです。

そして今、Aさんはこう振り返ってくださいました。
「モノはなくなったけれど、妻の生きた証は自分や子どもたちの中に残りました。気持ちも整理されて、これからは前向きに生きていこうと思えます。」

最初は「モノと一緒に気持ちを整理できるなんて本当だろうか?」と疑っていたAさん。
けれども今、その言葉を実際に体験され、納得されたとのことでした。

Aさんのお手紙を通じて、私自身も改めて「整理収納とは、モノを減らすことだけでなく、心の整理につながる大切な時間なのだ」と改めて深く学ばせていただきました。
Aさん、本当にありがとうございました。


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シニア世代の心身の特性に配慮した整理収納・comfy living

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弘瀨美加
専門家

弘瀨美加(講師)

comfy living

在宅介護経験者だから伝えられる実践的な整理収納スキルに強み。高齢者の心身の特性に配慮した収納のテクニックで安全で安心な住環境の整え方を提案。介護する人される人、双方の気持ちの負担も軽くなるよう努める。

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