~受講者様の涙~「片付けない」と親にいう前に

弘瀨美加

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テーマ:高齢者の整理収納



先日のセミナー終了後、
受講者のお一人が私のところに来られて、
「亡くなった主人のモノが捨てられない」
と悩みを打ち明けて下さいました。
ご自分より長生きされると思っていたご主人が、
突然亡くなられてから10年。
ご主人のモノを手離していかないとイケナイと
自分に何度も言い聞かせているけれど、
それが出来ないでいるのだそう。
お話を聞いて、
「それは、まだ、ご自身にとって必要なモノなのです。
無理して手離す必要はありません。
時間をかけて、
ご主人様との思い出とモノとに向き合って、
今後のご自身の人生に必要なモノを選び取らて下さい。」
というと、
「頑張って手離さなくてもいいのですか?」
と仰る目に涙が・・・。
張りつめていた気持ちが緩んだのでしょう。



この方にとって、ご主人のモノは、
まだ、必要なモノなのに
離れて暮らすお子様達からすると必要でないモノで、
「いつまでも持っていても仕方ない」と思ってらして、
その事が、「少しでも早く手離さないといけない」と
この方にプレシャーをかけていたのです。
確かにお子さんのおっしゃるように
10年という月日が経てば、
少しくらいは手離すことが
出来ても良いのかもしれません。
そうしないと、この方が、
いつまでも悲しみの中から抜け出せず、
前を向いて暮らしていけないと、
お子様はご心配もされているのだと思います。
しかし、この方が会話の中で
「子供達は、一緒に住んではくれない」と言われたことで
「ご主人を亡くされた喪失感をお子様と共有出来ていないのでは?」
という事に気が付きました。



お子様たちは、自分の家族を持ち、
別の場所に家を建てて暮らし、
時折、顔を見に来てはくれるけれど、
じっくり話をする時間はない。
お互いが思い合ってはいても、
何故、そうなのかという理由も
分かっていない事が多いのに
親離れした子は年老いた親に
自分の価値観を押し付けてしまう。
この方の場合だけでなく、
こういったことは良くあることです。
でも、親子であっても、
育ってきた時代、環境などなどが違うのですから、
価値観も違っていて当然なのです。
子が自分の価値観を老いた親に押し付ける前に
親のこれまでの人生や思いを聞いて、
共有するという事をしていただきたい。
(モノの仕分け作業を一緒にすると
押入れや天袋で眠っていたモノ達が
その手助けをしてくれると思います。)
そして、お気持ちに寄り添ってさしあげて欲しいのです。
これを飛ばして、子の思いや価値観だけで、
親の家の片付けをしたところで、
親にとっての住み心地の良い家にはなりません。
「親の思いを共有しお気持ちに寄り添う」ことは、
実家の片付けをするのに一番大切で重要なことなのです。


シニア世代の心身の特性に配慮した整理収納・comfy living

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弘瀨美加
専門家

弘瀨美加(講師)

comfy living

在宅介護経験者だから伝えられる実践的な整理収納スキルに強み。高齢者の心身の特性に配慮した収納のテクニックで安全で安心な住環境の整え方を提案。介護する人される人、双方の気持ちの負担も軽くなるよう努める。

弘瀨美加プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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