家に入られたくない

弘瀨美加

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テーマ:高齢者の整理収納



雨漏りがするようになったので、
家の補修工事をしなければと思ったBさん。
しかし、なかなか踏み切れません。
早く補修工事をしなければと思いながらも数年が経過。
天井や床板も傷んできたので、いよいよ覚悟を決めないと
と行動におこそうとするけれど、
雨漏りの原因を突き止めて修理をするには、
家の中に業者の方を入れて視てもらう必要がある、
けれど、Bさんには
『他人に家の中に入られたくない』
という理由があるので出来ないでいたのです。
それを知ったBさんのお子さんが、
数年ぶりに実家に帰って、
玄関のドアを開けてビックリ!な状態に。
『他人に家の中に入られたくない』理由が、
一瞬にして分かったということで、相談に来られました。



こういったケースは、Bさん宅だけではありません。
高齢になるとご本人も
「なんとかしなければ」と思ってはいても、
歳を重ねることによる体力や気力の衰えから、
家事全般が、これまでの様に十分に出来なくなり、
家の中にモノがたまっていき、
ある程度の状態を超えてしまうと、
自分の力ではどうにもできなくなってしまう事は、
少ないことではありません。
周囲との交流が薄く孤立状態にあったり、
近くに頼れる人がいても自尊心からか、
「助けて欲しい」と言えないケースが多いのです。
そりゃそうですよ・・・。
私だって散らかった家の中を人に見られるのは嫌です。
けれど、そうしていると、
見られたくないから人を家に入れない、
その結果さらに部屋の中が乱れて、生活状況も乱れいく……
という悪循環に陥って生活の質も下がってしまいます。
しかし、外からでは分かりにくいので、
その様な状態にならないようにするには、
時折、様子を伺いに行くというような対応も必要です。
これまでは、そんなことが無かった方が
家の中が散らかっている状態になるには、
ある程度の時間を経ています。
様子を伺う目安としては約6ヵ月くらいが適切なようです。



Bさんのような状態になられた場合、
それを目のあたりにした子の立場だと、
「何故、家の中が、このような状態になったのか」
と親を非難したくはなりますが、
「この状態をなんとかしたい」と思っているけれど、
多くの方は、やれなくなっている自分と葛藤をされています。
それを知ろうともせずに、一方的に非難するのは良くありません。
また、親子という昔からの関係性があるがゆえに、
気持ちを抑えて接したとしても、
子のいう事に対応しにくい場合もあります。
そのような時には、ご本人の関係を優先し、
適切なキーパーソンを確保することが有効です。
Bさん宅のように
私がその役割をすることも多くありますが、
もともとからの馴染みではないので、
色んなお話をする事からはじめます。
家族の歴史や、
これまで、どんな風に生きてこられたか、
何を大切にしている?
社会や家族の中でどんな役割をされてきた?
などなど・・・
家の片付けとは関係ない話をしているように
思われる方もいらっしゃるでしょうけれど、
少し時間はかかりますが、
その方のこれまでの人生を振り返りながら、
習慣や大切にしてきたものを尊重し、
「今までできていたこと」と
「今はできなくなったこと」での
葛藤をほぐし整理しながら、
「できていること」を少しでも長く出来る様に
家の中の環境を整える事によって、
「家に入れたくない」悪循環から外れることも出来るのです。

高齢者の心身の特性に配慮した整理収納・comfy living

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弘瀨美加
専門家

弘瀨美加(講師)

comfy living

在宅介護経験者だから伝えられる実践的な整理収納スキルに強み。高齢者の心身の特性に配慮した収納のテクニックで安全で安心な住環境の整え方を提案。介護する人される人、双方の気持ちの負担も軽くなるよう努める。

弘瀨美加プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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