なんとかしたい!-捨てたいけれど捨てられない洋服-
奥様と二人暮らしの80歳代の男性。
奥様が認知症を患われてから、
今日まで、家事も介護も
自分一人でされているのだそうですが、
ご自分の年齢を考えて、
大きな事故をおこす前に
運転免許を来年の春の更新をせずに
自主返納する事を決められたのを機会に
家事や介護でも
『他の人の手も借りてみよう』
と思いはじめたのだけれど、
ヘルパーさんに家に来てもらう前に
『家の中を少し片づけたい』
と私の所に来られました。
私の仕事は、
お家の中を整え直すことなので、
プライベートな部分に入ることになります。
なので、全部までとはいかなくても、
心を開いていただかないと、
出来ないことが多いのです。
だから、作業に入る前に
色々とお話をさせていただきます。
この男性とも沢山の話をしました。
運転免許を自主返納されると仰っていたので、
その事に触れると、
この方がされていた仕事、
トレーラーの運転手時代の話になって、
随分と盛り上がりました。
住所だけ渡されて、地図を見ながら、
トレーラーで日本全国を回られたそうで、
行ったところの風景や、人との出会い、
狭い道をトレーラーで通るのに苦労したことなど、
カーナビもなく、道路も今ほど整備されていない時代の話は、
知らない事も沢山、その時代の人の知恵や人情も沢山で、
聞いていて楽しかったし、勉強になったので、
会話も弾みました。
背筋をピンとしてシャキシャキ歩かれ、
口調もしっかりされているし、
私が普通のトーンで話しても、
ちゃんと聞こえてらっしゃる
とても元気なこの男性ですが、
『覚えていることを思い出すまでに時間がかかる』
といった加齢による物忘れは、
会話をする中で、何度となくみられました。
『えっと・・・。あれは・・・。』
『あそこの、あれが・・・。名前が・・・。』
と仰いながら、額に手を当てて
一生懸命に思い出そうとしてらっしゃいました。
その間、
思い出そうとしていることが私に分かれば、
ヒントを出す事もありますが、
基本は、急かさず、口を挟まず、のんびりと
思い出されるまで待っています。
すると、
『あっ!そうそう!〇〇だ!』
と思い出されて、また、次のお話になって、
そのお話を 相槌を打って聞いていると、
だんだんと心も開いて下さいます。
こんな風に書くと、話を聞いている方は、
高齢の方の話につきあってあげている様に思えますが、
高齢の方の話は、知らない年代の知識や豊富な経験があるので、
とても勉強になりますし、話の内容に興味も湧いてきます。
それにイキイキと話をされている姿は、とても素敵に見えます。
加齢による物忘れは、
年齢を重ねると誰にでもあります。
私も、『あれ』、『それ』、『これ』という
代名詞を使った会話してる事もよくあります…^^;
急かさず、(口を)挟まず、のんびりと、
高齢の方のペースにあわせることで、
上手に会話を楽しんでみてください。
そうすると互いの心も解れて、
コミュニケーションも円滑になり、
その結果、私の場合、
作業もスムーズになる事が多いのですよ。