ある日、突然始まる 後悔しないための介護ハンドブック
食事をする時は、椅子に座って、
箸や皿を手で持ったり、顔をテーブルに近づけたり、
体の重心を前方に移動させる動作をするので、
腹筋や背筋、足の踏ん張る力が必要になってきます。
力を入れやすくするためには、
椅子やテーブルを適切な高さに調整し、
食事の環境を整えることが重要になってきます。
テーブルや椅子を選ぶ際には、差尺が大きなポイントになります。
差尺とは、「テーブルの天板の高さ」と
「椅子の座面の高さ」の垂直距離のこと。
一般的には、多少の個人差はありますが、
理想的なテーブルと椅子の高さは、
自分の座高の3分の1の高さから2〜3cm引いたものが
最も良いとされています。
例えば、座高が86cmの方の
(座高が86cmの人の平均身長は158cmくらい)
最適な差尺は約26cm〜約27cmくらいが適正ということになります。
食欲が落ち、体力がなくなり、
昼間でも寝ていることが多くなった高齢の方が、
いつも、食事をしてる場所の
テーブルと椅子の高さを見直して
適正な高さに調整することで、
食欲も出て、元気になられたということもあるくらい
食事の環境を整えて、食事の際の姿勢を正すことは、
元気に過ごすための大きなポイントと言えるのではないかと思います。
自分に適正な差尺を知って、見直してみてください。
また、背中が曲がっている方の場合、
食事のときに前方に重心が移動した姿勢で顔を上げると、
空気が通りやすい、顎を突き出した格好になり、
誤嚥しやすくなることもあります。
医師、リハビリ、看護などの
専門スタッフと相談しながら、食事の環境の調整を行って下さい。