整理収納から未来へ！あらゆる環境を『素敵』にするために（2/3）

大切なのは新しさではなく住む人の心地よさ

嬉しいはずの新しい家がストレスの原因になっていたことにショックを受けた遠矢さん。「家を建てる前にお客様がどうやったら楽しく生活できるのかを考えることが大切なのでは？」との思いは日を追うごとに確信に変わります。従来の家づくりは箱ものばかりに目が行き、それぞれの人が望む暮らしやすさに目が届いていなかったのかもしれないと考えた末に辿り着いた結論は、「家づくりに大切なことはお施主様がどう住みたいかをきちんと引き出すこと」。お施主様の本意を引き出しきれない家づくりの現状を踏まえ、建築士という生き方をやめて暮らしやすさを追求する整理収納アドバイザーとしての活動に力を入れることを決意したのでした。

しかし方向転換したばかりの頃は、せっかく建てた家に再び手を入れることに工務店やメーカーから批判されることもあったそう。時には逆に「仕事は大丈夫なのか？」と心配されることもありました。それでも遠矢さんの目指す『お客様がどう暮らしたいか』を形にするというコンセプトは、一度としてぶれることはありませんでした。

やがて信念に基づいた遠矢さんの仕事はお客様から評価を受けるようになります。するとそれまで批判的だった人たちからも認められ、今では工務店とお施主様の橋渡し役としての役割を担うこともあるそうです。遠矢さんが目指す整理収納は、家を建てる前から始まる『何年たっても好きな私の家』を作るためになくてはならないデバイスのひとつとなりました。

＜次ページへ続く＞

【次ページ】型にあてはまらない整理収納の大きな力

次のページへ