インプラントにすべきか、入れ歯はダメなのか
骨粗しょう症やその治療を受けている方と歯科治療の関係については、まだ不明な点が多いのが現状です。さまざまな仮説が立てられていますが、一般的に骨粗しょう症の方や治療を受けている方は、侵襲性の高い歯科治療を避けるべきとされています。
歯科治療の方針に大きな影響を与えるため、骨粗しょう症の診断を受けた方や新たに治療を開始した方は、歯科受診時に歯科医師へ必ず伝えるようにしてください。
ここでは、侵襲性の高い治療の一つである「インプラント治療」と骨粗しょう症の関係について説明します。
骨粗しょう症とインプラント治療
骨粗しょう症とインプラント治療の関係について、次のような報告があります。
- 骨粗しょう症はインプラントの生存率を低下させる。
- 骨粗しょう症はインプラント周囲の骨損失を増加させる。
- 骨粗しょう症はインプラント治療の成功率を低下させる。
一方で、骨粗しょう症がインプラント治療に影響しないとする報告もあり、骨粗しょう症の方がインプラント手術を受けられないという明確な根拠はありません。しかし、標準的な歯科治療の観点から、侵襲性の高い処置は避けるべきとされており、インプラント手術を推奨しないことが一般的です。
骨粗しょう症を予防する方法
骨粗しょう症の発症にはさまざまな要因が関係していますが、現時点で推奨されている予防策は以下のとおりです。
- カルシウムとビタミンDを適切に摂取する。
- 禁煙し、アルコールの摂取を控える。
- 適度な運動を習慣にする。
骨粗しょう症治療中の歯科治療のリスク
骨粗しょう症の治療中の方にとって、最も注意すべきリスクの一つが「顎骨壊死」です。多くの場合、抜歯などの侵襲性の高い処置をきっかけに発症しますが、歯周病の治療でも引き起こされることがあります。
顎骨壊死が発症すると完治が難しく、症状の緩和や生活の質(QOL)への影響を抑える対症療法が行われることが一般的です。近年では、症状の消失や治癒を目指した治療も可能になりつつありますが、治療方法や期間によっては負担が大きくなる可能性があります。
まとめ
骨粗しょう症の治療を受けている方や、過去に内服・注射による投薬を受けたことがある方は、歯科治療に一定の制限がかかる可能性があります。顎骨壊死の発症頻度は低いとされていますが、正確なデータは報告されていません。
そのため、骨粗しょう症の治療を開始する前に、必要な抜歯やインプラント治療を終えておくこと、また日頃から口腔内を清潔に保つことが重要です。



