1日で、笑顔を。の根拠とは(ALL-on-4)
当院では、ALL-ON-4やフルブリッジに代わる第3の選択肢を用意しております。それはLocator Fixedです。Locator Fixedは固定式フルアーチの上部構造体ですが、取り外し式と完全な互換性があります。「すぐ咬める!インプラントは4本だけ」だとしてALL-ON-4はかつて幅広く臨床応用されてきました。当院でも施術例があります。現在ではさらにエビデンスに基づき、低侵襲で、低コストな治療方法があります。
高い快適性
Locator Fixedは侵襲性の低い手術で機能と審美性を高められます。患者さまに固定されたフルアーチのブリッジを提供します。
安心の治療プロトコル
Locator Fixedは、Locator Removableと用いる道具は同じです。リムーバブルブリッジでインプラントの安定性とかみ合わせの構築を確認した状態で、これらの情報を完全に模倣した固定式上部構造体を製作します。トラブルがあっても、ただちにリムーバブルブリッジに切り替えることができます。
優れた効率性
Locator Removableは既存の確立された治療プロトコルに準拠しています。リムーバブルブリッジをインプラント埋入後即時に接続することは様々な論文で安全性が確立しています。
Locator Fixedはリムーバブルブリッジを仮歯としますが、リムーバブルブリッジの安定を確認し、活用できます。
経済的負担が少ない
Locator Fixedは、インプラントと上部構造体をつなぐ装置がすべて規格化されています。ALL-ON-4やフルブリッジのようにオーダーメイド製品ではありません。必要インプラントはリムーバブルブリッジで最低2本。Locator Fixedは最低4本であり外科侵襲性が低くなるため患者さまの全体的なコストはALL-ON-4やフルブリッジよりも削減されます。
ALL-ON-4とは?
ALL-ON-4またはALL-ON-6は、インプラントを4本(または6本)埋入しその上に上部構造体を特別なネジで固定する術式です。ボロボロで困っている方、歯科治療をする時間がない方に提供されてきました。
術後すぐ、もしくは数カ月で上部構造体が手に入り速やかに顔貌と機能を回復できる利点があります。外科的な制約が大きく、手術にはリスクがあります。例えば、使用するインプラントの長さや太さは基本的には大きなものである必要があります。
ザイゴマインプラントも4本で上部構造体を支えるため、ALL-ON-4の代表格と言えばザイゴマインプラントと言えます。ザイゴマインプラントは顎の骨が少ない方に頬骨に届く長く大きなインプラントを埋入します。
長く大きなインプラントを埋入するために、顎の骨を斜めに貫通するような手術計画がとられることもあります。
斜めに埋入されたインプラントや長く太いインプラントは、インプラント周囲炎に罹患すると大きなトラブルになることがあります。
ALL-ON-4の上部構造体は、ネジ止めするために穴が開いており強度面において仮歯では長く使用することができません。すぐ咬めるようになるとは言え、仮歯の期間は十分に取る必要がありますが、その間の仮歯が壊れるリスクは高いものがあります。
バックオフ戦略のあるインプラント治療を
2013年にProf.Frauke Müller(スイス)は、「インプラント治療では患者が高齢となり歯科医院に容易には通えない事態も想定すべきだ。インプラント治療計画においては歯科医療従事者でなくても、本人がいつでも被せもの外せるようなセルフケアしやすい状態にすべきだ。」※というバックオフ戦略を提唱しております。つまり、この言葉を拝借するのであれば、超高齢社会に即したインプラント治療とは「可逆的な設計による治療計画であることが望ましい」といえます。
ALL-ON-4は、上部構造とインプラントが特別なネジで固定されています。これを外すには専門家の手を借りねばなりません。また、ALL-ON-4やFull Bridgeはエックス線撮影を阻害する影となることもあります。場合によっては、頭部の検査をするときに上部構造を外さなければいけません。その際に、咬めなくなるような事態も十分考えた上でインプラント治療計画を立案すべきだと考えています。
※Müller F,Schimmel M: Implant-Overdentures for the elderly edentulous patient. Forum Implantol,9:96-103,2013