歯医者に行く時間も暇もない!
多くの人にとって、歯を抜くことには抵抗があるかもしれません。しかし、1本の歯を無理に残すことで、他の健康な歯の寿命が縮んでしまう場合があります。そのため、歯を守るためには、あえて抜歯を選択することも必要です。
自分にとって最適な治療を選ぶためには、抜歯のメリットとデメリットをしっかり理解し、納得したうえで治療方法を決めることが重要です。
現在、多くの歯科医院ではセカンドオピニオンが一般的に行われており、患者さんが納得して治療を選択できるようになっています。当院でも、他の専門医による診断を受けられるよう保存の可否についての依頼書をお渡ししています。
抜歯が必要となるケース
1. 重度の歯周病
歯周病は、歯を支える骨(歯槽骨)が溶けていく病気です。進行すると、最終的には歯がグラグラになり、噛む力に耐えられなくなります。
歯周病が中等度までであれば、適切な治療を行うことで歯を残せる可能性があります。しかし、歯槽骨が歯根の2/3以上吸収されてしまった重度の歯周病では、歯を保存することはできません。
さらに、重度の歯周病を放置すると、問題のある歯だけでなく周囲の健康な歯にも悪影響を及ぼすことがあります。そのため、進行した歯周病の歯を抜くことで、他の歯や骨への悪影響を防ぐことができます。
2. 重度のむし歯
むし歯が進行し、歯ぐきの下(歯肉縁下)まで達してしまった歯は、周囲の組織の正常な構造が破壊されてしまいます(フェルールの喪失・根尖病巣の形成)。
この状態が改善できない場合、周囲の歯や骨に悪影響を及ぼすのを防ぐため、抜歯が必要となります。
フェルールの喪失とは?
フェルールとは、被せ物(クラウン)で覆われる健康な歯の部分のことです。
フェルールがある場合 → 歯にかかる力が分散され、歯の破折リスクが低くなる
フェルールがない場合 → 力が歯根の先端に集中しやすくなり、歯根破折のリスクが高まる
そのため、フェルールを確保できない歯は、抜歯の対象となることがあります。
3. 神経を失った歯(歯の脆弱化)
神経を抜いた歯は、血液の供給がなくなり、内部でむし歯を発症したり歯根破折を起こしやすくなります。
神経を失う主な原因はむし歯の進行です。そのため、むし歯を予防することが、歯根破折を防ぐ最善の対策となります。
4. 矯正治療のための抜歯(便宜抜歯)
顎の骨が小さく、すべての歯を並べるスペースが足りない場合は、歯並びを整えるために**便宜的に抜歯すること(便宜抜歯)**があります。
矯正治療において、適切なスペースを確保することで、歯並びや噛み合わせを改善し、将来的な歯の健康を守ることができます。
まとめ
歯を抜くことはできるだけ避けたいものですが、無理に残すことで他の歯や骨に悪影響を及ぼす場合は、抜歯が最善の選択肢となることがあります。
大切なのは、抜歯のメリットとデメリットを理解し、自分にとって最適な治療を選ぶことです。歯を残せる可能性がある場合は、専門医の意見を聞いたうえで判断することをおすすめします。