「相続」ってなに? ~教えて!相続のキホン@岩手 盛岡~
相続人・法定相続分に関してよくあるご質問
Q1 養子は、養親の相続人となりますか?
A1 相続に関して、養子は実子と同じように扱われますので、養子は養親の相続人となります(民法727条)。この場合、相続分も実子と違いはありません。その結果、養子は実の親と養親の両方から相続を受けることができることになります。
ただし特別養子の場合は違います。特別養子縁組では実親及びその血族との親族関係が終 了しますので、特別養子には実父についての相続権はありません。
Q2 再婚した場合の連れ子は、相続人となれますか?
A2 連れ子は、相続人となることはできません。もし連れ子を相続人にしたいのであれば、再婚時に連れ子との間で養子縁組をする必要があります。
Q3 被相続人より先に死亡している子がいる場合、その子の妻(夫)は相続人になりますか?
A3 被相続人よりも先に死亡している子に、さらに子(被相続人の孫にあたる)がいる場合は代襲相続人となりますが、亡くなった子の妻(夫)は相続人とはなりません。
Q4 子が一切相続しないように相続分を奪うことができますか?
A4 虐待や重大な侮辱があった場合など、家庭裁判所に、相続人廃除の申立をして審判をすることができます(民法892条)。また、廃除は遺言によっても行うことができます(民法893条)。
Q5 おなかにいる子供(胎児)に相続権はありますか?
A5 胎児は、相続人になります(886条1項)。ただし、死産だった場合は相続しません。(886条2項)。
Q6 兄に全財産を残すという父の遺言書が見つかりました。他の兄弟は何も相続できないのでしょうか?
A6 遺留分があるので遺留分減殺請求ができます(民法1031条)。この権利の行使は受遺者に対する意思表示があれば可能で、必ずしも裁判上の請求による必要はありません(最高裁判例昭和41年07月14日)。ただし、遺留分減殺請求権には期間制限があり、「遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間」または、「相続開始の時から十年」で時効消滅します(民法1042条)。
遺留分があるのは、兄弟姉妹以外の相続人です。
Q7 特別縁故者とは?
A7 相続人がいない場合、家庭裁判所に申し立てて、被相続人の特別縁故者として認められれば、相続人でなくても遺産がもらえることがあります。例えば、同居していた内縁の妻(夫)とか、被相続人の療養看護に尽くした人などです。
Q8 内縁の妻は相続人になれますか?
A8 民法で相続権を認められているのは、子、親などの血族と配偶者です。したがって内縁の妻には相続権がありません。
Q9 配偶者を相続人から廃除できますか?
A9 廃除の対象となるのは遺留分を有する推定相続人ですので、配偶者でも廃除の申し立てをすることは可能です。離婚すれば相続権はなくなりますが、急な場合や子供の為に離婚したくない場合などに廃除することも考えられますが、よほどの理由がない限り、廃除は権利を奪う審判ですので、その決定は慎重に審理される傾向にあります。
Q10 「遺骨」は誰が「相続」しますか?
A10 判例は、「祭祀の主宰者」に帰属するとしています(最高裁平成元年7月18日判決)。
Q11 非嫡出子の法定相続分は?
A11 非嫡出子とは、法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子のことです。非嫡出子の法定相続分は、平成13(2001)年7月以降に開始した相続については、嫡出子と同じです。
旧民法900条1項4号ただし書きは、非嫡出子の相続分を嫡出子の相続分の2分の1と定めていましたが、最高裁平成25年9月4日判決はこれを違憲としたため、民法改正により相続分は嫡出子と同じと改められました。上記最高裁判決は、遅くとも平成13年7月には違憲になっていたと判断していますが、平成12年9月に開始した相続においては違憲ではないという最高裁判決もありますので、その間に開始した相続については、グレーゾーンとなっています。
Q12 半血兄弟とはなんですか?
A12兄弟姉妹間の相続で、被相続人とは異母・異父の兄弟姉妹の相続分は、両親を共通にする兄弟姉妹の相続分の2分の1となります。
これは行政書士試験の勉強をすると必ず出てくるのですが、なかなか理解しにくい言葉で、私も苦労した記憶があります(笑)
例えば被相続人が離婚・再婚した後の、相続人が兄弟間の場合に起こります。
非嫡出子の違憲判決の際に判決兄弟の議論がありましたが、こちらのほうは半分だけ「血縁」を共通にするというある意味合理性があり、憲法違反ではありません。
まだコラムで触れていない言葉も出てきますが、重要なポイントは追って説明していきたいと思います。
ここで紹介したような事例に出くわすと、初めての相続ではなかなか大変かもしれません。そんなときはご相談ください。
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