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企業のインフレ手当

冨田義広

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今年の値上げラッシュによる物価高騰をきっかけとして、インフレ手当を支給または、支給予定とする企業が12%にのぼるとの調査結果が出ました。
検討中は14%程となり、合わせると4社に1社がインフレ手当に取り組んでいることになります。
その一方、支給する予定がない企業は約64%で、自社の業績悪化により手当を出す余裕がないという理由が一番大きいようです。
支給した企業からは、「社員の生活が困窮しないように」という実質賃金の減少を補うための理由や、「少しでも社員のモチベーションが上がればよい」「人材流出の防止策」といった人材の定着などを狙った理由などが出ています。

一時金の支給金額は、平均5万3700円で、一番多かったのは、「1万~3万円未満」でした。次に多かったのは「3万~5万円未満」で、この2つの項目で約半数となりますが、10万円以上支給するとした企業も15%あり、企業によってかなりバラつきがあります。
また、一時金ではなく、4月に実施するベースアップで現在のインフレに対応するといった企業もあります。こちらは、1万円未満と答える企業がほとんどで、平均は6500円でした。
やはり、月額手当にしてしまうと、変動させることが難しくなるため、一時金で対応する企業の方が多いようです。
政府や自治体としては、一時金よりもできれば基本給を上げてもらいたいという願いがあります。ここで、ベースアップによる賃金の引き上げをアピールして、少しでも企業側の努力や社員の生活を支えたいという思いが伝わり、労使ともにウィンウィンの状態になることが理想でしょうが、企業側も今後の景気次第のところがあるため、一時金で様子をみたいという意図があるようです。

どちらにしても、物価高や円安で冷えた日本経済のためにも、業績の上がった企業には、社員にできるだけ多くのインフレ手当を含む給与アップをしてもらえれば有難いと思います。

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冨田義広
専門家

冨田義広(社会保険労務士)

冨田社会保険労務士事務所

事業運営の中で発生する、さまざまな労務問題に対応。人事の現場経験で培った知識とノウハウを軸に人事や労務、法律に関する相談から給与計算や社会保険手続きにも応じています。

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