半夏厚朴湯の不思議
いつもコラムをご覧下さり誠にありがとうございます。
石川県白山市の漢方専門福の樹薬局 薬剤師の伊藤です。
新型コロナウイルスによる肺炎、とどまることを知らず拡大してますね・・・
WHOも「緊急事態宣言」を出しましたね。
今回の新型肺炎ですが、初期症状が
①発熱
②頭痛
③筋肉や節々の痛み
④悪寒
⑤咳
と一般的な肺炎やインフルエンザと変わりないので大きな特徴が無いそうですね。
さらに、
⑥吐き気
⑦下痢
といった胃腸症状まで出るとなると、この時期のインフルエンザやノロウイルスなどとも見分けがつかないですね。
つまり、インフルエンザの感染力とノロウイルスの感染力の両面を兼ね添えた感染力を持っているということですね。さらには無症状でも感染するとか・・・これって「マスク着用」でも難しくないですか?自分以外全員疑うことになりますもんね・・・
専門家もTVでここまでくると予防ではなく次の先を考えないといけない。とおっしゃっていました。確かにその通りですね。
ウイルスには抗生物質も効かないしどうすればいいの?って思いますがこんな時は自分の免疫力を信じましょう!
温故知新で新型肺炎を考える
漢方の古典に「傷寒論」という今から1500年程前に書かれた書物があります。
主に感染症・急性熱性疾患などの漢方療法が書かれた書物です。
この書物の面白いところは、病邪(ウイルスなど)がどの位置に存在するかを症状から推測してそれにあった漢方薬を用いることで治癒を早めるという治療法です。
ここに出てくる太陽病編にこのような文があります。
太陽病、頭痛発熱、身疼腰痛、骨節疼痛、悪風、無汗而喘者、麻黄湯主之。
漢文ですが、なんとなく理解できますよね。
頭痛や発熱があり、身体や腰が痛む、骨などの節々が痛む、風があたるのを嫌がり、汗がでず咳が出るものは「麻黄湯」が合ってるよ。
という意味です。どうですが、新型肺炎の初期症状にも使えそうに思えませんか?
「麻黄湯」といえば近年インフルエンザで注目されている漢方薬ですね。
医療機関で手軽に処方していただけると思います。
でも、注意点があります。
一般の風邪薬のように熱を下げたり症状を止める薬ではないんです。
麻黄湯は、発熱を促し、免疫力を高めてウイルスを体内で不活性化させます。ですので、服用後は熱がさらに高まることも・・・そこでの解熱剤はNGです。熱が出るとすぐに解熱剤使う人いますよね。これはウイルスを再び野に放つ行為です。長引く原因になります。
それにしても、「免疫」VS「ウイルス」の戦闘中は辛い・・・
ここでのポイントはただ寝る。これしかない!
でもね、水分補給は大事ですが、「栄養付けなきゃ」といって「食事」をすると免疫細胞は戦闘中にもかかわらず食事休憩に入ってしまうので食事はしないでくださいね。
免疫力は「空腹時」が最大限に機能します。ここ大事です忘れないでください。
先程の「麻黄湯」ですが、温めても布団に入っても汗が全然出ない、寒気や痛みが強いというときに使います。汗がじっとり出始めたら継続して服用する必要はありません。中止してください。
汗が出ているのに使い続けるとかえって体調を崩しますので気をつけてくださいね。
また、体力が落ちている方や循環器系のお薬を服用している方には「麻黄湯」は向いていないことがありますので、服用の際は漢方の知識のある医師・薬剤師・登録販売者に相談して服用してください。