もう悩まない!鍼灸でめまいをスッキリ解消する体験談
耳は東洋医学でいうところの「腎」の病気や症状が現れる場所です。
突発性難聴やメニエール病、めまい・耳鳴りなどで鍼灸治療に来られる方が多くいらっしゃいます。
最近、耳たぶにしわのある患者さんを診ることがあったので調べてみました。
フランクサインと動脈硬化・冠動脈疾患との関係
フランクサイン(Frank's sign)とは、耳たぶに対して斜めに走るしわ(耳朶斜線)のことを指します。1973年にアメリカの医師Sanders T. Frankが、この耳たぶのしわと冠動脈疾患の相関を報告したことからこの名がつきました。
研究や臨床での指摘:
フランクサインがある人は、冠動脈疾患や動脈硬化のリスクが高いといわれています。
特に両側性のしわ、深いしわがある場合、心血管イベント(心筋梗塞など)の既往がある確率が高いという報告もあります。
正確な機序は解明されていませんが、「耳たぶの血管の微細な血流障害」が、全身の動脈硬化と連動している可能性があると考えられています。
東洋医学における腎虚との関係
「腎は耳に開竅する」という東洋医学の概念から、フランクサインを腎虚の現れと見る考え方があります。
東洋医学の視点:
腎は先天の本(せんてんのもと) とされ、生命力、成長、老化、生殖などに関与すると考えられています。
また、「腎は耳に開竅(かいきょう)する」とされ、 耳の異常は腎の機能低下(腎虚) と関係づけられることが多いです。
耳鳴り・難聴・耳の乾燥・しわなどは腎虚のサイ ンのひとつと見なされます。
フランクサインと腎虚:
フランクサイン=耳のしわ → 腎の衰えの兆候と解釈されることがあります。
特に腎陰虚(潤いの不足)や腎精不足(生命エネルギーの衰え)と関連づける東洋医学的な解釈がされています。
フランクサインは老化なのか?
結論から言うと:
フランクサインは老化現象のひとつとも言えますが、それだけではありません。
加齢によって皮膚の弾力が落ちたり、微小血流障害が進むことにより、耳たぶにしわができやすくなります。
しかし、若年者でもフランクサインがあり、かつ冠動脈疾患を持っている例もあるため、単なる加齢変化とは言い切れません。
「心」の異常と考えてもよさそうですね。ちなみに「心」は舌に開竅するといわれています。
老化+病的変化のサイン:
フランクサインは「加齢に伴う自然な変化」+「病的な動脈硬化の兆候」の両面を持つと考えられます。
つまり、「老化の一部かもしれないが、心血管リスクのサインとして無視すべきではない」ということです。
まとめ
フランクサインとは耳たぶにできる斜めのしわ
西洋医学の見方:冠動脈疾患、動脈硬化との関連が示唆される
東洋医学の見方:腎虚(特に腎陰虚・腎精不足)の兆候
老化との関係:老化現象の一環だが、病的な血流障害のサインでもある
耳に出やすい腎虚のセルフチェック
耳に出やすい腎虚セルフチェックリスト
- 耳鳴りがする(キーン、ジーという高音が多い)
- 聴力が低下してきた(特に高音が聞こえにくい)
- 耳が乾燥しやすい、皮がむける
- フランクサイン(耳たぶのしわ)がある
- 耳たぶがしぼんだように見える、ハリがない
- 耳の色がくすんでいる(黒ずみ、青っぽい、血色が悪い)
- 急に耳が詰まるような感覚があることがある
- 冷えると耳が痛くなりやすい
- 疲れると耳の症状が悪化する
判定の目安
1~2項目該当:軽い腎の弱りか、疲労の蓄積がサインに出ている可能性。生活習慣を見直して。
3~5項目該当:腎虚傾向が進行しているかも。早めのケアや養生が必要です。
6項目以上該当:はっきりとした腎虚の状態が考えられます。鍼灸など専門的ケアを取り入れてみましょう。
なぜ「腎」は耳に現れるの?
東洋医学では、
「腎は耳に開竅する」=腎の状態は耳に現れる
「腎精(じんせい)」=生命の根本エネルギーであり、耳や骨、髪、脳の働きにも影響する
つまり、腎のエネルギー(腎精)が不足すると、耳が弱くなり、機能も衰えると考えられています。
腎虚におすすめのセルフケア
足のツボ刺激:「太渓(たいけい)」「湧泉(ゆうせん)」など腎を補うツボを温めたり、押したりする
耳マッサージ:耳を引っぱったり、もみほぐすことで気血の巡りが改善され、腎の働きもサポートされます
黒い食材をとる:黒ごま、黒豆、ひじき、昆布など、腎に良いとされる「黒い食べ物」がおすすめです
早寝・冷え対策:腎は寒さに弱いので、冷えを防ぎ、特に夜11時までには就寝を
腎を補う代表的なツボとして、以下の3つを図解でご紹介できます:
腎を補う基本のツボ3選
太渓(たいけい)
〇 内くるぶしとアキレス腱の間のくぼみ
〇 腎経の元気の出発点。温めると腎のエネルギーを補いやすい。
湧泉(ゆうせん)
〇 足裏、足の指を曲げたときにできる最も深いくぼみ
〇 腎の気を呼び起こすツボ。疲労や冷え、足腰の弱りに。
腎兪(じんゆ)
〇 腰の高さ(第2腰椎)より指2本分外側、左右に1つずつ
〇 腰痛や冷え、腎虚に。温灸や指圧がおすすめ。
腎虚の時の食べ物や食事について
腎虚のときの食事は、東洋医学の視点から「腎を補い、体を温め、精(エネルギー)を養う」ことが大切です。特に黒い食材・温性食品・滋養強壮に優れた食材が推奨されます。
腎虚におすすめの食材と食事法
1. 「黒い食材」で腎を補う(腎=黒に属す)
黒ごま:腎精を養い、髪や耳にもよい
黒豆:老化防止・疲労回復に
昆布・ひじき・わかめ:ミネラルが豊富で腎機能のサポートに
黒米:腎を温め、気血を補う
2. 体を温める食材で「腎陽(じんよう)」を助ける
羊肉・鶏肉:特にスープにして温かく摂ると効果的
エビ(特に干しエビ):腎陽を強く補う代表格
にら・生姜・シナモン(桂皮):体を内側から温め、冷え対策に
3. 滋養と精を補う食材(腎精・腎陰を助ける)
山芋(長芋):消化によく、腎と脾を同時にサポート
くるみ:脳や腰の力を補う腎精食
枸杞の実(クコの実):目や肝・腎にやさしく、老化予防にも
卵・うなぎ・ナッツ類:生命エネルギーを養う食材
腎虚のタイプ別おすすめメニュー(簡単例)
腎陽虚(冷え、疲れやすい)
冷え、むくみ、腰痛
温性食品中心、スープ系羊肉と生姜のスープ、黒豆ごはん
腎陰虚(ほてり、不眠)
口の渇き、寝汗、耳鳴り
潤す・冷やしすぎない、山芋とクコの実の炒め煮、黒ごま粥
腎精不足(老化、白髪)
耳鳴り、記憶力低下、疲労
滋養強壮、黒い食材多め黒米ごはん、うなぎの蒲焼き、卵スープ
避けたい食習慣
冷たい飲食物の摂りすぎ(氷水・冷たいサラダなど)
甘すぎるもの、油っこいものの摂りすぎ(腎の精を消耗)
食事の抜きすぎや過度なダイエット(腎を弱めやすい)
まとめ:腎虚にはこんな食事が理想
「黒くて、温かくて、やさしいもの」
を、毎日少しずつでも取り入れるのがポイントです。
おわりに
鍼灸師は医師ではないので医学的検査で病気を判断することができません。患者さんに病院でのお話をお聞きして、東洋医学的な見立てを行い、両方で治療方針を立てます。
春先は陽気が上がってきて上半身の病気が増えると東洋医学では考えます。鼻や耳の症状も多く現れます。日頃からの養生で腎を養い守り健康で過ごすようにしましょう。



