更年期の不調を乗り越える!自律神経を整える鍼灸の力-更年期をもっと穏やかに過ごすために-
WBC侍ジャパンの世界制覇、阪神の優勝、バスケットボールワールドカップで日本代表がパリオリンピック出場権獲得、大谷翔平選手の活躍と、今年はスポーツ界華やかなりし一年でした。
感動をありがとう!
さて、今回ご紹介する論文はスポーツ選手のはり治療事情についてアンケート調査をもとに分析したものです。以前より鍼灸治療はスポーツ分野に応用されてきました。オリンピック選手やメジャーリーガーなどなど。ここぞという時の鍼の活躍は表には出ませんがアスリートたちを支えてきたことに間違いはありません。
「鍼治療がスポーツ選手の競技活動に及ぼす影響ー鍼刺激感覚とタイミングに着目した調査研究ー」藤本秀樹先生ほか10名の先生方の研究です。
原著ですのでオリジナルの研究です。出典は全日本鍼灸学会雑誌,2021年第71巻2号,76-85。
目的は選手の競技活動に鍼がどんな影響を及ぼすかを調べること。方法はアンケート調査です。
アンケート項目は
①年齢や性別などの基本的なことのほかに
②はり治療を受けた直後に体を動かしてみてどう感じたか、鍼の刺激感覚が続いた時間、刺激の強さ、刺激感覚と治療効果の関係
③鍼治療をうけたタイミング
④鍼治療後のプレーに影響があったかどうか
結果、有効回答数1525人のうち鍼治療の経験者は841人。
②の結果は「軽くなった」が43.9%で最多でした。約10%に鍼の痛みが残ったなどのネガティブな回答がありました。
刺激感覚がすぐに消えたと答えた方が59.8%、刺激感覚が適度だったが58.6%、刺激感覚があり効果が実感できたが48.3%でした。
③治療のタイミングは練習後・試合後21.8%で最多。
④プレーに影響があったと答えた人が60.1%でした。
これらの結果から研究者はガイドラインに準じた鍼治療を行い、競技・試合日程や刺激量を考慮することで競技活動に支障をきたすトラブルを未然に防げると結論付けました。
つぼなかぢ院長の感想
過去にないテーマの論文です。日々臨床をしている鍼灸師にとってはスポーツ選手も高齢者も何も違いはありません。治療前より悪くしないこと、痛くしないこと。当たり前のことですがこの論文ではそれをアンケートで数値化してくれました。
「鍼は痛くない」と言いますが、まったく痛くないわけではないとわかりました。治療の目的は治療前より良くなって帰ってもらうことです。
スポーツ選手への治療は即時性と即効性が求められます。
トップアスリートになればなるほどシビアな対応が求められます。そこがおじいちゃんおばあちゃんの治療と違うところでしょう。
つぼなかぢはローカル・アスリートや市民ランナーの治療をしています。
過去には試合に同行し、帰ってからはメンテナンスをしてあげて。それは充実した楽しい治療でした。
心身ともに健康な若人に治療するといっぱい元気がもらえました。現在ではおじいちゃんおばあちゃんの治療を多く手掛けているせいか、元気を吸い取られてしまってしなしなです。
というのは冗談で、自分が年をとったせいなんですけどね。水は高き所から低き所に流れるのです。
治療の目的を明確にしてしてあげられることとできないことをお伝えし、より良い状態にもっていくのが鍼灸治療の本分です。