反り腰矯正計画 はりで痛みを軽くしておうちでストレッチ&筋トレ

中田和宏

中田和宏

テーマ:健康とはり


反り腰ってなに?


反り腰で起こること


腰痛でお悩みの方、こんな症状はありませんか?

  • 長時間のデスクワークで腰が痛くなる
  • 立っているとだんだん腰が痛くなってくる
  • 妊娠後期からずっと腰痛がある(女性)
  • 子供を抱っこすると痛くなってくる
  • 小学校のころから激しい運動、サッカーや野球などの部活をしてきた
  • バレエ、新体操、ダンスなどの芸術性のあるスポーツをしてきた
  • 自分は良い姿勢だと思う
  • 太って腰が痛い
  • ヒールの高い靴を履くことが多い(女性)
  • 腰痛だけでなく股関節も痛い


もしかしたら反り腰のせいで腰痛が起こっているかもしれません。
反り腰とは立った時に腰がそっておしりが突き出た姿勢になっていることです。反り腰があると高い確率で腰痛を起こします。

素敵な立ち姿に見える反り腰


反り腰の人は姿勢よく見えます。しかしその姿勢はからだの重心がずれていているのです。「鳩胸でっちり」というコトバがあります。鳩胸は胸を前に突き出した感じ、でっちり(出っ尻)はお尻が後ろに突き出た姿勢。本当の鳩胸は胸郭の形成異常(特に病気や障害はない)ですが、たとえて言っています。出っ尻は骨盤が前傾しているためお尻が後ろに突き出た状態です。魅力的なお尻とも言えますが、腰痛の原因になります。人種によっても出っ尻度合いが違います。黒人は骨盤の前傾に加えて強靭な殿筋を持っているので大きく後ろに飛び出たお尻をしています。陸上競技が大変強いですね。日本人は出っ尻に「出っ腹」が加わることが多いので、これではかっこ悪いし腰痛がひどくなります。

女性で出産経験がある方やヒールの高い靴を履く機会が多い方は骨盤の前傾が強くなります。おなかに赤ちゃんがいるとからだは前下方向に引っ張られています。骨盤が前傾します。

ヒールの高い靴を履く方は姿勢を保持するために骨盤を前傾させて歩行します。

また、学童期に激しい運動をすると腰椎分離すべり症を発症することが多いといわれています。成長期のスポーツは注意が必要です。やりすぎないようにしなければなりません。

芸術点を競うスポーツはわざと胸とお尻を突き出した姿勢で美しさをアピールします。そして子供のころからトレーニングを続けています。
反り腰から起こる腰痛。パターンはお分かりになったでしょうか。

原因

単一の原因で起こっている反り腰はありませんし生活習慣が影響しているものがほとんどです。

1.脊椎の異常


腰椎分離すべり症は反り腰を起こす原因の一つです。10歳代のスポーツ競技で繰り返される腰への負担が椎体と椎弓の分離を引き起こします。その後すべり症となって反り腰をおこします。痛みはウエストのあたりに、しびれは太ももの前のほうに現れることが多いです。

2.骨盤の前傾

妊娠や繰り返される重量物の運搬、ハイヒールの使用などで骨盤前傾になります。腰だけでなく股関節の痛みを訴えることがあります。

3.筋力低下

加齢とともに筋力が低下します。腸腰筋などのインナーマッスル、大殿筋などのお尻の筋肉に筋力低下が起こると反り腰が強くなり脊柱起立筋の負担が増えて腰痛が起こります。

4.肥満


おなかにたくさんの脂肪がつくと骨盤の前傾が強くなり2と同じように痛みが起こります。

骨盤の前傾


原因は様々ですが何が起こっているのでしょうか。骨盤の前傾について説明します。腰椎と骨盤のつながりは正常な角度があります。腰椎と仙骨のつながり角度を腰仙角といい、10度とか145度とか、測定方法によって正常角度が様々です。ここでは145度正常でお話します。腰椎の中心線と仙骨の中心線の角度が145度ということですので、145度よりも小さな角度だと骨盤が前傾しているといいます。逆の場合は骨盤の後傾といいます。
145度で上半身の体重を支えるのが最も安定しているわけですから、前傾していると重心は前(おへそ側)に移動します。腰の筋肉に圧がかかって痛みが出ます。

反り腰の調べ方

反り腰かどうか心配な人はこの検査をしてみてください。

1.立ってする方法

壁に寄りかかって立ちます。後頭部・お尻・かかとを壁につけます。壁と腰のあいだに手を入れてみます。手をグーに握って入るなら反り腰の可能性大です。正常範囲であれば指を伸ばして差し込んではいる程度です。

2.寝てする方法

足をのばし仰向けに寝て床と腰の間に手を入れてみてください。手のひらが入る程度なら問題ありませんが、床と腰の間に入れた指が動かせるようであれば反り腰です。仰向けで足を伸ばした時点で腰が痛いようであれば反り腰の可能性が高いです。両膝を曲げると痛みが軽減するようであれば確定です。

腰がそると何が起こる

腰がそることで筋肉の負担が増えます。腰を支えている筋肉はいろいろあります。脊柱起立筋は数種類の筋肉の総称です。背骨を支えからだを後屈する際に働きます。腰がそることでこの筋肉に常に力がかかります。力がかかると筋肉は縮んだ状態になり血流障害が起こり痛みをおこします。そして立ち上がるなどの動作をすると急に伸ばされるためぎっくり腰をおこします。
脊柱起立筋よりももっと奥にあって椎骨をつないでいる多裂筋にも血行障害を起こします。
血行障害が続くとこりができます。こりが取れずにいると慢性腰痛となります。

痛みはどこに起こる?

腰部全体に痛みが出ます。特に腰椎と仙骨のつなぎ目当たり、腰仙移行部と呼ばれる部分の深いところに多裂筋があります。しつこくてつらい腰痛をおこします。

二次的障害(臀部)

腰だけでなく臀部の筋肉も緊張します。姿勢を保つために股関節に無理がかかるためです。大殿筋という大きな筋肉は仙骨と大腿骨をつないでいます。この筋肉に無理がかかり続けるとこりができて血行障害を起こし、坐骨神経痛のような痛みを足に出します。太ももの裏からすねの辺までに痛みとしびれ感が起こります。

二次的障害(仙髄自律神経失調症)


何年も放っておくと自律神経失調症を起こします。仙骨にある仙髄自律神経に影響がおよびます。腹痛、便秘や足の冷え、女性なら月経痛などの婦人科疾患の原因になります。

はりでどう対応する?


はりで反り腰を治療するにはまず、どこの筋肉にこりがあって血行障害を起こしているかを調べます。脊柱起立筋と多裂筋、大殿筋を中心にみていきます。

はり治療のポイント


コリの探し方はまずからだを動かしてどの状態で痛みが出るかをみます。おおよその見当がついたところで今度は筋肉の硬さや押さえた時どこに痛みがあるか(圧痛点)を探します。
東洋医学では古来からいろいろなタイプの腰痛にどのツボを使ったらよいかがわかっています。反り腰をもととする腰痛の場合は「腎兪」「大腸兪」「関元兪」「腰の陽関」を使います。
大殿筋のこりが出やすいツボは「胞肓」「秩辺」「環跳」です。このツボを探ってはりをします。
からだはバランスをとって機能します。腰やお尻の緊張に加え、からだの前側の状態を調べることが必要です。腸腰筋、大腿四頭筋にこりが出ていることがあります。それも施術対象とします。
長期にわたる痛みの場合、股関節の可動域が狭くなっている方がいます。検査して股関節が動くようにします。また、自律神経障害を起こしているほどの重症の場合はそちらも考慮して施術していきます。

施術とセルフケアについて

はりで痛みが取れたとしても反り腰が治るわけではありません。反り腰を少しでも正常な位置に戻すためのセルフメンテナンスが必要です。痛みの原因は筋肉のコリと血行障害です。放っておくとまた痛くなります。それを予防するためにストレッチと筋トレをしていきます。

痛みを取った後のストレッチ

反り腰の検査のところで腰の隙間の話をしました。その隙間を小さくすることが反り腰対策になります。

腰仙移行部の後湾ストレッチ

反り腰の改善ストレッチ


  1. 床に仰向けになり膝を立てます
  2. 腰を床に押し付ける感じでおなかに力を入れてください
  3. 少しお尻を浮かせると腰と床のすき間がうまりやすくなります
  4. 腰の真ん中にいた気持ちいい感じが出たら成功です
  5. その状態を5秒キープしてから脱力します
  6. これを5回繰り返します
  7. 一日1セット~2セット行います
  8. 朝起きた時ベッドの中で、またお風呂上りにすると効果的です。

このストレッチができた人にはもう一段階効果的なストレッチをお勧めします。

ドローインとブレーシングを組み合わせて行う反り腰ストレッチ

ドローインとは呼吸法の一つで腰痛予防に効果的な方法です。息を吐き切ると同時にお腹を凹ませて、腹横筋の働きを活性化させる呼吸法です。
反り腰ストレッチで腰を床に押し付ける際に息を吐き切っておなかをへこませましょう。
ブレーシングはドローインとは逆にお腹を凹ませずに力を入れて外側の筋肉による圧力に抵抗するイメージで、インナーマッスルに力をかけて腹圧を高める方法です。つまりおなかを膨らませたまま腰を床に押し付けます。
ドローインストレッチとブレーシングストレッチは別々にしてください。例えば朝はドローインストレッチ、お風呂上りはブレーシングストレッチというように。慣れてきたら交互にしても大丈夫です。
最初はうまくいかないでしょうが繰り返しすることでコツがつかめてきます。

あおむけで寝ると腰が痛む女性

49歳の女性はパート職員。家庭の事情で仕事をやめていましたが5年前再開したところ腰痛が悪化しました。小学校のころから姿勢が悪く腰痛がありました。ぎっくり腰は何度も経験しています。
朝起きるときから腰が痛み立ち上がる際に注意が必要です。すっと立てないそうです。「いたたたた」という感じで腰を少しずつ伸ばします。ですから最近ではお布団の中で体操をしてから起きているそうです。日中は何をしていても痛みがあります。デスクワーク後に立ち上がろうとするのが一番つらいとのことです。痛みで腰が伸びません。少し時間がたつと伸びるので何とか仕事をしているそうです。
家に帰っても同じ感じ。お風呂に入ると少し楽になるそうです。お布団に入ってすぐにはあおむけになれません。足を伸ばそうとすると腰が痛みます。横になってひざを曲げてしばらくたつと足を伸ばせるようになるので仰向けになるそうです。寝返りでも痛みがあり目が覚めてしまいます。
からだを見せてもらいました。体の動作ですが後屈は痛くてできません。それ以外の動きに問題はありません。神経の異常を疑う所見はありませんが、腰椎の4番と5番の間に段ができています。これはすべり症が疑われる所見です。4番がちょっと前のほうに(おへそ側)ずれています。あおむけで寝てもらうと腰とベッドの間に大きなすき間ができます。反り腰は本人も自覚があり、そのせいで腰が痛いくなっていると認識が一致しました。
小学校のころからの腰痛はおそらくすべり症によるものと考えられます。脊柱起立筋と多裂筋の緊張が強かったのではり治療で緊張を取ったところ後屈での痛みはなくなり可動域が正常になりました。
そこでストレッチを実地指導してお家でしてもらいました。以後、何度かはり治療を行いましたが、初診の時のような痛みはなくいい状態で経過しているので月に1回見せてもらうメンテナンス治療を継続しています。

まとめ

反り腰は慢性腰痛を起こす原因の一つです。反り腰の姿勢は元に戻せるものと戻せないものがあります。筋肉の緊張だけが原因の場合は反り腰を戻せますが、すべり症があって筋肉の緊張が起こっている場合だと腰椎の位置を戻さない限り反り腰は戻りません。ですが筋緊張を軽減することで痛みを取ることは可能ですし、ストレッチを続けることで悪化を防ぐことができます。
また産後の反り腰の場合、筋力低下が筋緊張とセットになっている場合があるので筋トレも必要になってきます。
問題は痛みです。痛みは筋トレやストレッチでは改善しません。はりで痛みをとってから自宅で筋トレ&ストレッチが最も効果的です。

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中田和宏
専門家

中田和宏(鍼灸師)

トキの森鍼灸院

初診時のカウンセリングでどんな状態か明確にし、できることを説明します。施術計画を立てて最適な施術を提供します鍼灸治療にたずさわって約40年のベテラン鍼灸師が優しく対応しますお困りならまずご相談を!

中田和宏プロは北陸放送が厳正なる審査をした登録専門家です

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