育児疲れでもうへとへと。お母さんの強い味方、それはこのツボ!
こむら返りって何?
今回はあの夜中に足に激痛が走るこむら返りの話です。
こむら(腓)とはふくらはぎのこと。このふくらはぎがけいれんを起こすことをこむら返りといいます。運動中に起こることが多いのですが、この季節就寝中特に朝方に布団の中で起こります。
むかしオリンピックのマラソンで、ある女性ランナーが太ももの裏を押さえて走るのを中断していました。急性の筋けいれんです。痛そうにびっこをひいていました。
そしたらその選手、なんとゼッケンを止めている安全ピンで太ももを刺したではありませんか!自分でハリ治療をしたんです。で、けいれんを止めたんです。
ロシアの選手でした。ちゃんと緊急対応策を知っていたのですね。おそロシアです。
どんな時になるの?
こむら返りはふくらはぎにある腓腹筋という筋肉が何かの拍子に激しく収縮します。運動して使いすぎた時、早朝の気温が低下しているときなど。
冬の早朝。お布団の中はあったかい。
寝返りをする。
「ビキッ!」つった!
「いででで~痛い!」
こんな感じでおこることが多いでしょう。
なんでなるの?
就寝中、暖かくして動かないでいると足の筋肉は緩んでいます。血液も体幹に集まっています。そんな状態でいるときに寝返りという筋肉を動かす指令が脳から足に出ると、足の筋肉はあわてます。あわてると筋肉のセンサーが誤作動を起こし筋肉を収縮させますます。(注1)
この誤作動、疲労のほかにカルシウム、カリウム、マグネシウムなどのミネラルバランスの乱れ、水分不足などが関係しています。お酒を飲んだ後に起きやすいのはそのせいです。おつまみにはミネラル豊富なナッツ類やチーズ、わかめなどの海藻がいいでしょう。
また寝る前に牛乳や水を少し飲んでおくと予防につながりますしアキレス腱伸ばしなどのストレッチをするとよいでしょう。お医者様に相談すると漢方薬を出してくれます。芍薬甘草湯です。寝る前に服用します。
芍薬甘草湯
筋肉の緊張をとる漢方薬です。実はこの芍薬甘草湯、皆さんがご存じの胃腸薬に入っています。
大正漢方胃腸薬は胃のはたらきを良くする安中散と胃の緊張をほぐす芍薬甘草湯でできています(注2)。胃も筋肉でできています。「食べる前に、のむ」と小栗旬さんがCMで言っていますが、
「寝る前に、のむ」とつぼなかぢが言っています。
こむら返りの予防には、このツボに効け!
こむら返りは冷え性や高齢者に多いようです。夜間のこむら返りに効くツボはいくつかあります。
まず陽陵泉(ようりょうせん)。コラム「膝の痛みで坐骨神経痛?」で紹介しました。すねの外側で膝の下に出っ張った骨の突起があります。この下のへこみにあります。
そして今回ご紹介するのが「中封(ちゅうほう)」
足厥陰肝経に所属する経穴(ツボ)で、足首の筋の内側にあります。押さえるとこりがある人は飛び上がるくらい痛いツボです。
「中封の中は精神を指し、封は収蔵を指す。精神を収蔵し、情動の働きと関係するところの経穴の意。」と参考書に書かれています。(注3)
また封は盛土で仕切られた領土の境という意味がありますから、すじ(前脛骨筋腱)を盛土とたとえたとも考えられます。
足厥陰肝経は筋(すじ)をコントロールしている経絡です。ふくらはぎなどの足の筋肉のつりにはよく効くツボがいっぱいです。
ではどうやって夜中にツボを刺激したらいいの?
株式会社セイリンという鍼灸のはりを製造している会社が販売している「こりスポッと」をこのツボに貼ります。
滅菌されたシールの真ん中にプラスチックの突起がついています。これをツボに貼ることで指圧的効果を持続させます。大変よく効きます。私の仕事がなくなるぐらいよく効きます。
だいたい3日貼りっぱなしでもかまいません。入浴でごしごしこすらなければはがれませんし、軽く押さえて水分をとればはがれずにすみます。頻回にこむら返りが起こる人は一度試してみてください。
当院でご購入の場合は症状に合わせたツボに貼るサービスを行っています。
注1:東京メディカルクリニック
https://www.c-takinogawa.jp/column/016.html
注2:大正漢方胃腸薬について
https://brand.taisho.co.jp/kanpou/5saikara/#sec3
注3:『ツボ単』形井秀一ほか、株式会社エヌ・ティー・エス出版